楽天で監督交代が相次ぐワケ OB語る難しさ…求められる“大物”と「強く言葉が言える」資質

ヤクルト&楽天で活躍の飯田氏…橋上氏は「無難、王道」
今年のプロ野球は、2球団で指揮官がシーズン途中に交代した。1軍トップを担うことになったのは巨人の橋上秀樹・監督代行と楽天の吉井理人・新監督だ。盗塁王のタイトルを獲得するなどヤクルト、楽天で走攻守3拍子揃った外野手として活躍した野球評論家の飯田哲也氏は、両者とは野村克也監督が率いたスワローズ時代に同僚だった。2人の魅力を聞いた。
橋上監督代行は、阿部慎之助・前監督の辞任に伴い、オフェンスチーフコーチから急きょ5月26日に就任した。現役時代はジャイアンツでのプレー経験はなく、巨人では2リーグ分裂後では初の“外様”の指揮官。伝統と人気を誇る名門球団の重圧は如何ばかりか――。しかし、飯田氏は懸念していない。
「プレッシャーなんて無いんじゃないですか。阿部監督が辞めて、最初は『えっ、俺』って気持ちだったかもしれませんが。今まで色んなチームで経験を積んでいる事が大きいと思いますよ」。橋上監督代行は現役では日本ハム、阪神のユニホームにも袖を通し、引退後も楽天時代の野村政権下でのヘッドコーチなど西武、古巣ヤクルト、独立リーグでも指導した。
飯田氏は橋上監督代行のスタイルを説明する。「怒る先輩じゃなかったし、突き放すコーチでもない。知識が凄いので、選手たちから信頼されているはず。引き出しが多いから、助言を与えた後は選手がどれを選択するかみたいな。『ああやれ』『こうやれ』じゃなく、『こういった考え方もあるよね』とヒントを出すのが上手です」。
橋上監督代行は交流戦から指揮し、その交流戦ではセ・リーグ球団で唯一の勝ち越しに導いた。飯田氏は采配の基盤に野村ID野球を感じ取る。「もう100%。野村さんもそうでしたが“無難”です。奇策があるように見えて無難。“王道”と表現してもいいかも知れません。この場面はバントだろうなとか想像通り。実はそれが一番強い、というね」。
吉井新監督は「選手目線」、球団に「強い言葉が言えないと」
一方のイーグルス吉井監督は趣が異なる。飯田氏は「ピッチャー出身なので、野村さんの野球というよりは“独自”。野手に関してはコーチ、選手に“お任せ”だと思います」と見る。
低迷していた楽天は6月10日に三木肇監督の休養を発表した。塩川達也ヘッドコーチが監督代行を務めた後、同17日に電撃的に新監督が誕生した。吉井監督は昨年までロッテの指揮官。「いやー、これは本当に驚きましたね。吉井さんはロッテを辞める時に凄く悔しがっているように見えた。リベンジ、『やったるぜ』みたいな気持ちは強いのでは。同じパ・リーグに居たので、選手の特徴は分かっている。球団サイドは雰囲気を変えたかったのでしょう。違う監督になるとガラリと変わる事もありますから」。
吉井流の監督術をどう捉えるのか。「現役時代は熱い人。でも監督の時の姿を見ていたら冷静。でも、お茶目な所もあるし、非情に徹する所もあるし、優しい所もありますよね。指揮官としては選手目線のタイプ。投手の起用法でも、リリーフで極端な連投は避けて休みを取らせるとか」。
楽天は球団創設時から短期間での監督交代が際立つ。飯田氏は推察する。「結局やり辛いですよね。“大物監督”じゃないと駄目なんじゃないかと考えちゃうんですよね。三木が大物じゃないという訳ではないんですが、それなりに長く監督をやったのは野村さん、星野(仙一)さんぐらい。お2人のような大物で、会社にも文句じゃないけれど強く言葉が言えるような監督じゃないと、なかなか難しいのかな」。
退団した三木前監督、球団の石井一久GMもヤクルト出身。飯田氏は「監督は勝敗に関して重要。でも責任は監督だけではない。編成とか球団サイドも外に出て来て説明した方がいいと思いますね。三木がちょっと可哀想じゃないかなぁ……」と各々の立場を慮る。
(西村大輔 / Taisuke Nishimura)