イチロー氏が明かす25歳愛弟子への思い 52歳も衰えぬ“向上心”「強いと思わせたい」

「第2回 イチロー DREAM FIELD DAY」に登場したイチロー氏【写真:藤岡雅樹】
「第2回 イチロー DREAM FIELD DAY」に登場したイチロー氏【写真:藤岡雅樹】

高校野球女子選抜戦の完投は使命「大きな挑戦」

 絶対に譲れない思いがある。マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏は27日、東京都新宿区のMUFGスタジアム(国立競技場)で行われた体験型スポーツイベント「第2回 イチロー DREAM FIELD DAY(ドリームフィールドデイ)」に参加。トークイベントでは現在、挑戦していることを問われ、自身のこだわりを語った。

「年に1度の真剣勝負があります。僕はピッチャーをやっている。マウンドから降りることはできないんです。対戦を楽しみにして来てくれている女子高生がいるので、マウンドから降りることは絶対にあってはいけない。そのためにどういう調整が必要かといえば、ブルペンで最低120球は投げられる体力が必要で、日々練習しています」

 イチロー氏は毎年、「高校野球女子選抜」と対戦。投手として先発完投することが身上となっている。昨年8月31日の対戦でも9回を1人で投げ抜いた。球速は常時130キロ台を計測し、111球を投げて1安打14奪三振で完封勝利。5年連続での完投だった。

 52歳の現在も、年齢による衰えに抗おうと努力を続ける。「彼女たちは永遠に17歳。僕は毎年、年を重ねていって年齢の差はどんどん広がっていっている。コーナーに追い込まれて、ボコボコにされる状態だけど、何とか今のところ耐えている。徐々に状態を上げていくのを毎年続けているのは大きな挑戦です」。1日でも練習を休むと、取り返すのに時間がかかる。日々の調整は欠かせないのだ。

 マリナーズではシーズン中、選手と一緒に汗を流す。愛弟子である25歳のフリオ・ロドリゲス外野手とのキャッチボールは日課となっている。「一番運動能力が高い選手。彼とキャッチボールや遠投をやるんですけど『負けられない』と思ってやっています。ただのキャッチボール相手じゃない。『こいつ、俺より強い』と思わせたい」。

6年連続完投へ「追い込んでいかないと」

 引退してもなお、現役選手に負けない力を示すイチロー氏は、健在ぶりを見せつけて後輩たちの奮起を促す。それは自身の挑戦でもあり、毎年対戦する女子高生との試合にも「つながっていく」という。さらに「他の野手にも負けると思わないし、僕よりクオリティの高いキャッチボールができる選手はなかなかいない」という自負がある。

 高校野球女子選抜との対戦での完投は「大きな挑戦」という位置づけ。そのために「追い込んでいかないといけない。毎日(練習を)やらないといけない」と前を向く。日々の取り組みは現役時代から変わらない。そして現役時代の思いも明かした。

「162試合あるといっても、その日しか試合を見に来られない人もいます。だから『球場に行ったら、必ずライトにイチローがいる』というものを見せたかったんです。何なら、景色の一部でありたかった」

 衣料品メーカー「ユニクロ」の協力で、次世代の夢を育む活動として実施された今回のイベントには小中学生165人が参加。毎日、練習することはイチロー氏にとっては苦ではなく「楽しくないと超えられないものです」と訴えたシーンにも野球愛がにじんだ。10月に53歳を迎えるレジェンド。その情熱は衰えを知らない。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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