大谷翔平が待っていた“一瞬” 専門家が分析…特大18号の裏にあった駆け引き「狙っていないと」

アスレチックス戦で18号を放ったドジャース・大谷翔平【写真:ロイター】
アスレチックス戦で18号を放ったドジャース・大谷翔平【写真:ロイター】

6試合ぶり18号が飛び出した背景、新井宏昌氏が説明

【MLB】ドジャース 9ー4 アスレチックス(日本時間30日・サクラメント)

 まさに狙いすました一撃だった。ドジャース・大谷翔平投手は29日(日本時間30日)、敵地で行われたアスレチックス戦に「1番・指名打者」で出場。4打席目に6試合ぶりとなる18号3ランを放ち、チームの3連勝に貢献した。

 3打席目までは先発左腕のジャンプに無安打。迎えた6回無死一、二塁、2番手左腕・クルックのスライダーを右翼席に運んだ。カウント2-2と追い込まれながら豪快な一発。現役時代にNPB通算2038安打を放ち、MLBにも詳しい野球評論家・新井宏昌氏は「もの凄く素晴らしいホームランでした」と称えた上で、この日の大谷の狙いに言及した。

「アスレチックスのこの球場はホームランが出やすい。そして試合前からライト方向にいい風が吹いていました。今日の大谷選手は最初から、左投手の変化球をライトに放り込んでやろうという気持ちで打席に立っていたように見えました。4打席目の最後に、ようやくホームランにできるスライダーが来ましたね」

 初回の第1打席は2球目の甘めの直球を見逃すなどカウント2-2と追い込まれて一ゴロ。2回1死一、三塁では初球の真ん中高めの直球を見逃し、最後も外角直球を見逃して三振に倒れた。「甘いフォーシームを見逃したり、振り遅れてファウルにしていました。特に2打席目は三塁走者を還すには高めを打ちにいくのが鉄則。打点のことも考えると打ちにいくのがセオリーですけど、簡単に見逃していました」。変化球が頭にあったのは間違いない。

 4回1死二塁の第3打席は、初球と3球目の低めスライダーを空振り。明らかなボール球に手が出ており「明らかに変化球狙いだとテレビを通してでも分かりました」と指摘した。5球目のスライダーを捉えたが二直。「いい当たりでしたけど、センター方向ではなくライト方向へのライナー。ライト方向に打とうという気持ちが出ていました」と説明した。

背中から向かってくるスライダー「狙ってないと見逃す」

 そして2点リードで迎えた6回、試合の行方を決定づける大きな3ラン。内角ボールゾーンから入ってくる左腕のスライダーを完璧に捉えた。左打席の大谷にとって、背中から向かってくるような1球。新井氏は「自分の体に当たりそうな軌道でボールが来ていますから、頭に入れてないと左打者はバットが出ない場合があります。そういう変化球を狙っていないと見逃すことが多い球です」と解説した。

「内角ではなく外角なら、結果は違ったかもしれません。ラッキーなことに内角に来ました。この日の変化球で唯一、ホームランにできる球。大谷選手は、チームにホームランを求められているのは本人も分かっている。甘い球が来たら仕留めてやろうという気持ちで打席に立っていて、ようやくそういう球が来ましたね」

 8回には右腕モリスから右前打。フルカウントからの高め直球を叩きつけた打球は、高く弾んで一、二塁間を抜けていった。いい当たりではなく「打ち損じです。前の打席のホームランのように角度をつけて遠くに飛ばしたかったと思うんですけど、捉えられるスイング軌道ではなかった。ラッキーなことに飛んだコースが良かったです」と解説。「きょうは幸運なところもありました」と運も味方につけた2試合ぶりのマルチ安打だった。

 もちろん、運だけではない。「途中までは狙いがうまく収まっていなかったのですが、4打席目に、ものの見事に捉えてホームランにしたのは状態がいいからです。状態が悪い時は、ライトの右側にファウルとなってしまう可能性がありますから、今の大谷選手はいい状態をキープできています」。狙いがはまって飛び出した6月8本目のアーチ。ここからさらに勢いが増していきそうな気配が漂っている。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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