四国からNPBへ…名選手を輩出できるワケ 実感する独立Lの難しさ、元広島4番が語る魅力

元広島でコーチや四国ILの香川で監督などを務めた西田真二氏
NPBに20人以上の選手を送り込んだ。元広島外野手の西田真二氏(野球評論家)は2007年シーズンから四国アイランドリーグ・香川オリーブガイナーズ監督を務めた。いきなり前期、後期でいずれも優勝、リーグチャンピオンシップ、独立リーググランドチャンピオンシップも制する最高のスタート。以降も好成績を残し続けて香川を「常勝軍団」と呼ばれるほどのチームにした。「選手に恵まれました」というが、まさに勝ちながら育てた。
西田氏は1995年に現役を引退し、1999年から2001年までは古巣・広島で1、2軍の打撃コーチを務めた。2005年に四国アイランドリーグ・愛媛マンダリンパイレーツの監督に就任。1年で退任となったが、2007年シーズンからは香川オリーブガイナーズを指揮することになった。「四国アイランドリーグを(創設者の)石毛(宏典)さん(元西武、ダイエー)から引き継いだ鍵山(誠)さんに『一緒にやってください』って言われてね。で、知らない間に13年もやった(笑)」。
香川監督として西田氏は手腕を発揮し、実績を積み重ねた。退任する2019年までの13年間でリーグ優勝5回、独立リーグ日本一3回を成し遂げた。しかも勝つだけではなく、NPBドラフトにかかる選手を数多く育てた。「結果的に優勝できたのは選手に恵まれたことがあったと思う。結構、出来上がった選手が多かったんですよ。その中で、ピースに当てはめて、新しい選手を獲ってきたり、いろいろやりましたけどね。選手も最終的にはみんなプロに行きたいんでね」。
“西田ガイナーズ”からは2007年大学・社会人ドラフト・ヤクルト6位の三輪正義内野手(現ヤクルト2軍内野守備走塁コーチ)を皮切りに毎年のようにNPB選手が誕生した。2011年ドラフト、ソフトバンク育成2位でプロ入りした亀澤恭平内野手はその後、中日に移籍して1軍でも活躍。2013年中日2位の又吉克樹投手(現オイシックス)は1年目からセットアッパーを務めるなどフル回転して、独立リーグ(現地域リーグ)出身初のFA権行使選手(ソフトバンクに移籍)にもなった。
2020年から2025年までは社会人野球・セガサミー監督を務めた
「亀澤も又吉も(岡山市の)環太平洋大出身。まぁ、地域密着で、香川と岡山は近いのでね。そういうつながりもあるんですよ」と西田氏は話す。そんな“つながり”を大事にスカウティング活動に励む一方で、プロ人脈も生かし、NPBサイドに香川の選手をさりげなく売り込んで、独立リーガーたちの夢実現に動いた。指導も自主性を重んじ、選手たちを信じて、自信をつけさせるためのきっかけ作りにまず力を注いだそうだ。
日本人選手だけではない。2012年シーズン途中にアレッサンドロ・マエストリ投手が香川からオリックス入り、2015年シーズン途中にはドリュー・ネイラー投手が香川から中日入りを果たした。「それは代理人の関係でね……。まぁ、外国人の場合はドラフトじゃなくて移籍になるからやりやすいじゃん。(NPB球団に)見てもらって、よければ獲ってもらうってことでね。マエストリは(2013年に7勝を挙げるなど)頑張ってくれたし、ネイラーは中日で先発ローテーションに入った。怪我(右肩痛)したけどね」。
西田氏は「1年ごとに手を替え、品を替えて」香川をアピールしながらチームも強化していった。「地域に根ざすっていう部分ではやっぱりそういうふうにやっていかないと、お客さんはなかなか入ってくれない。難しい部分もあるんですよ。で、やっぱり勝つことは大事。それはどこの指導者も一緒だけど、独立(リーグ)もなんやかんやいって、ちょっと優勝した方が選手は嬉しい。プロに行けたらもっと嬉しいでしょうけどね、行ける人は……」。
そんな13年間の香川監督生活の後、2020年から2025年まで社会人野球・セガサミー監督を務めた西田氏は、2026年4月に今度は香川の球団アドバイザーに就任した。「(四国アイランドリーグで)今は徳島(インディゴソックス)が強い。何がいいかって、その時のニーズに合った選手がいるか、いないかだけだと思いますけどね」。以前と立場は違うものの、ここ数年は最下位低迷の苦しい戦いが続く“古巣”香川をできる限りバックアップしたい考えだ。
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)