“名門”廃部に「寂しい思いがある」 新人王ら輩出も…長き指導者人生、明かした最後の夢

元広島外野手の西田真二氏は四国ILの香川やセガサミーで監督を歴任
豪快に笑いながら、でっかい夢を口にした。元広島外野手の西田真二氏(野球評論家)は2007年から2019年まで四国アイランドリーグ・香川オリーブガイナーズ監督を務めて5度のリーグ優勝、3度の独立リーグ(現・地域リーグ)日本一に導いた。2020年からは社会人野球・セガサミー監督に就任し、そこでも都市対抗2年連続ベスト4など結果を残した。2025年に退任したが「体が動く限り、また何かチャンスがあれば……」と意欲的で、今後に向けても、明るい“西田節”が炸裂した。
西田氏は2019年シーズン限りで13年間務めた香川監督を退任して、2020年1月1日付でセガサミー監督に“転身”した。「以前から社会人野球には興味があって、ちょうどセガサミーが監督交代の時期ということで面談してもらって、5人くらい候補がいたなかで選んでいただいた。その時59歳、60歳の還暦の年に行った。タイミング的にもちょうどよかったというか……」。だが、いきなりコロナ禍が立ち塞がった。
「緊急事態宣言で、もう缶詰めで、チーム全体での練習はその間、できなかった。リモートで話し合いながら、各自などで練習はやりましたけどね」。2020年は東京五輪開催予定に伴い、通常秋の社会人野球日本選手権大会と通常夏の都市対抗野球大会の開催時期を入れ替えて行うことになっていたが、コロナのため五輪は1年延期となり、日本選手権は中止。西田氏の社会人監督時代は、そんな環境下でスタートした。
都市対抗は何とか11月22日から東京ドームで開催されることになったが「どこのチームも調整が難しかったと思う」。9月23日の東京地区2次予選第1代表1回戦(大田スタジアム)ではJR東日本と対戦。「伊藤将司投手(現阪神)から3発ホームラン。全部ソロだったけどね。でも(3-0の)8回に8点取られて負け。継投に失敗した。でも、そこから(の敗者復活戦で)またみんな頑張ってくれたんですよ」。
第2代表決定戦ではNTT東日本に敗れたが、第3代表決定戦で鷺宮製作所を3-0で下して都市対抗出場を決めた。本戦では1回戦で栗林良吏投手(現・広島)を擁するトヨタ自動車を2-0で撃破して、勢いに乗って4強入り。「準決勝はHondaに(延長10回)タイブレーク(の2-6)で負けたけど、会社からもよくやってくれたと言っていただいた。次は優勝ですね、って感じだったんですけど(翌年も)またベスト4で……」。

思い描くWBC監督「夢だからいいじゃん」
西田氏はPL学園でも、法大でも、広島でも、香川でも日本一を味わったが、2025年まで6年間、監督を務めたセガサミーではそれを成し遂げられなかった。「社会人は3位で終わりました。銅メダルで」と笑顔で話したが、悔しい結果には違いない。「まぁ、それなりの成績は残したけど、結局(都市対抗や日本選手権で)優勝はできなかった。(2024、2025年の)最後の2年は(予選敗退で)都市対抗に出られなかったしね」と話した。
それでもセガサミーからオリックス・横山楓投手(2021年ドラフト6位)や、2025年セ・リーグ新人王に輝いたヤクルト・荘司宏太投手(2024年ドラフト3位)をプロに送り出すなど、西田氏の指導者としての実績はさらに積み重なった。2025年の監督退任後は野球評論家として活動するとともに、2026年4月には古巣・香川の球団アドバイザーに就任。野球界のために尽くすべく動いている。
そんななかセガサミー野球部の2026年シーズン限りの廃部が決まった。西田氏は全く知らなかったそうで「6年間、携わってきた身としては、正直、寂しい思いでいます」と話す。残念ながら2026年都市対抗は予選敗退となったが、まだ秋の日本選手権出場を目指す戦いが残っている。「選手たちは、ぜひとも佐藤(俊和)監督を盛り上げて、最後を飾ってほしいと切に願っています」と言葉に力を込めた。
「(選手としての)アマチュア時代をエリートコースで来て、プロも経験して、(監督として)独立では忍耐、社会人では本当に1球の重みとかいろんなものを学びました」と西田氏はしみじみと語る。もちろん、古巣・カープについても「結果を出してほしいと思っています。あとは感動を与えるとか、元気を与えるとか……。広島ファンは多いんでね」とエールを送る。母校・法大野球部のことも常に気にしているそうだ。
2016年夏以降、休部状態のPL学園野球部再建は厳しい状況が続くが「(OBの)中川(圭太外野手=オリックス)は本当に頑張っているし、マエケン(楽天・前田健太投手)も日本に帰ってきた。(OBに)解説者は多いけど、現役は少なくなったし、応援しています」と声を大にした。そして、2026年8月3日で66歳になる西田氏自身もまた、やる気に満ちあふれており、ドカーンと豪快にこう言った。
「チャンスがあれば、また頑張ってみたい。体が動く限りはね。まぁ、年齢とともにニーズは狭くなるだろうけどね。夢はWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の監督。笑いながらそう言った、って書いといてよ。夢だからいいじゃん。夢は儚いっていうけどさ」。天才的な打撃力に、天下一品のキャラクターと話術も兼ね備えて、選手としても、指導者としても、インパクト抜群の西田氏の野球人生はまだまだ続く。次はどんな“伝説のドラマ”を見せてくれるのか、楽しみにしている野球ファンは多いはずだ。
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)