4月7日にプロ初登板も…3試合すべて5回を投げきれず5月上旬から2軍調整
「やっぱり悔しかったですし、やってやろうっていう気持ちですね」
DeNAの深沢鳳介投手が言葉に力を込める。プロ5年目はこれまでにない“変化”のシーズンだ。
4月7日の中日戦(横浜)でプロ初登板のチャンスを掴むと、4回6安打1失点。初回に1点を失ったものの粘投を続けていたが、好機で代打を送られての降板となった。
21日の阪神戦(横浜)は4回1/3を8安打5失点に沈み、5月6日の広島戦(横浜)は4回2/3を8安打8失点(自責3)で敗戦投手に。防御率は6.23。相川亮二監督も「今回3回目の5回を投げきれないという投球になっているので。先発投手として調整してきたのであれば5、6回は投げきってほしい」と苦言を呈していた。
深沢自身も“5回の壁”に跳ね返された3登板を「1巡目はなんとか抑えられたとしても、2巡目、3巡目に球威が落ちたり変化球の切れがなくなったりして厳しくなるのは自分でも感じました」と振り返った。
2軍では6月5登板で防御率1.29の好成績、平均球速の“課題”にも光
そこから2軍での調整を続けているが、6月は5試合に登板(3先発)して3勝0敗、防御率1.29。確かな“兆し”が見えている。サラサラヘアをなびかせながら、爽やかな笑顔で22歳が明かす。
「1軍で投げさせてもらって、イニングを重ねるうちに球速が落ちて、真っすぐも『ここぞ』ってときに弾き返されたりしていたので、そこにフォーカスして取り組んでいます。平均球速も最後まであまり下がらなくなって、その辺は良くなったところだと思います」
先発して6回1失点だった6月24日のファームリーグ・ヤクルト戦では平均球速は143.8キロを計測。1軍の試合では141キロまで落ちていたが、最後まで強さを維持することができた。
そんな右腕の姿に目を細めるのが、そばで見守る入来祐作2軍チーフ投手戦術・育成コーチだ。1軍で結果を残すことができずにファームに戻ってきたあとのことを、「ストレートを投げきれなかったことを実感したはずです。尻に火がついた感じで、キャッチボールから様子が違いましたよ。ちょっとずつ考える力がついているなとは思って見ています」と明かした。
プロ初勝利へ「チームに貢献できるような投球をして、その先に」
1軍の世界を見たことは、深沢にとっても大きなことだった。
「今までは『ファームで抑える』という部分で、ウエートとかも試合前は調整気味に入ったりというところもありました。でもやはり、上で活躍しないといけない。『ファームは通過点』というのを改めて感じて、ファームの試合をないがしろにしているわけではないですけど、調整より『強化』に意識が向けられるようになりました。1軍の経験は、悔しかったですけど今の自分にプラスになっています」
若手にとっては、ファームで結果を出してアピールしないことには1軍での機会は巡ってこない。今でもそこは大前提にあるものの、もっと先を見られるようになった。実際に6月は結果で示し、再び声がかかるのを待つ。
本拠地で浴びた大歓声に、次こそ応えられるように――。3度届かなかった「プロ初勝利」への思いは、増すばかりだ。
「毎回5回持たずだったので、先発として最低でも5回を投げきらないといけないという気持ちは強くなりました。まだ全然チームに貢献できていないので、チームに貢献できるような投球をして、その先に自分が勝利投手になれたらいいかなと思います」
プロ3年目の2023年に右肘のトミー・ジョン手術を行い、育成契約を経験しながら昨年6月に実戦復帰を遂げた背番号43。味わった悔しさを力に変え、今こそ花開くときだ。
(町田利衣 / Rie Machida)