吉田正尚の“生きる道”…「強くスイングできるように準備」
どんな境遇でも、愚直に生き抜く。レッドソックスの吉田正尚外野手が5日(日本時間6日)、敵地でのエンゼルス戦に「5番・指名打者」でスタメン出場し、今季2度目の3安打を放った。4試合連続で出場機会がなかった中、5打数3安打1打点の活躍でチームの3連勝に貢献。固め打ちを披露し、打率を.261とした。
「1打席目が結果的にヒットになってくれて、スムーズに(試合に)入れたかなと思います。(5試合ぶりの出場で)モチベーションに関しては難しいところもありますけれど……。運動量もしっかりとコントロールして調整しています」
4試合出場機会なし。この期間は、今季最長だった。キャリアを振り返っても、スターティングメンバーの欄に「吉田正尚」の名前は常にあった。ただ、今は左投手が先発の場合にベンチスタートとなる傾向がある。「あんまり深く考えずに。強くスイングできるように準備しています」。冷静な男は感情を表に出すことなく、いつも淡々と語る。
この日は2回1死の第1打席で二塁手を強襲するヒットを放つと、3回2死の第2打席も左安打をマーク。今季10度目のマルチ安打を記録すると、7回1死一、二塁での第4打席も左安打を放ち、3安打。貴重なダメ押しタイムリーで試合を決めた。
ベンチで戦況を見つめる日々を過ごした。鬱憤を晴らすかのような活躍に「フラットな気持ちで挑んでいます。いろんな角度で物事を見てますね」と言葉を前に出す。「基本的に(自身のキャリアは)スタメンで出ていたので。控え(選手)の状況だとか、メンタル面だとかをあんまり考えたことがなかったのでね。もちろん(ベンチスタートが)良いとは思わないですけど、1つの経験として、という感じではあります」。そう話しながら、ゆっくりと頷いた。
吉田が語るフルスイング「力づくに振っているわけじゃない」
打席での強いコンタクトは鍛錬の賜物。「やっぱり、ホームランを打った日、もしくは自分の納得する打席が送れたときは、また1つ次のステージに上がっていけている感じがしますね。レベルアップじゃないですけど、また1つステージをクリアした感覚に近いです」。幼少期から、強く振ることへのこだわりは深い。
「これは僕のこだわりの部分になってくるんですけど……。フルスイングって言葉は、ただ(表現として)まとめられているだけだと思うんですね。見たものをそのまま言葉にするとフルスイングなのかもしれませんけど……。力づくに思い切り振っているわけじゃない。1つずつの動作を連動させて(全体に)繋げていく。そして、大きな力に変える。だから、フルスイングと言うのは少し違うのかなと思っています」
ここ最近では、指名打者での出場、ベンチスタートで代打での登場にも、野球の奥深さや難しさを感じている。「基本は守備について、野球のリズムを感じたいですよね。流れを現場で見ておくのは絶対に大事。やっぱり、野球は“流れ”のスポーツなので」と試合前練習でも守備を欠かさない。
「指名打者だと、体は楽なんですけど、頭の方が……。ベンチ裏でも動いているんですけど、試合から一旦、外れる形になってしまう。グラウンドでマックスの力を出すために準備を万全にしないといけない。守備に出ていれば、ある程度のリズム感とか、そこがわかる。指名打者は休める分、そこ(MAXの状態)にコンディションを持っていくのが難しいんです」。だからこそ、試合後にもウエートトレーニングなど取り入れて状態の向上に努める。
7月で33歳になる。今季は5年契約の4年目。メジャーの球場も全30球場でプレーした。「(試合で)良いパフォーマンスを出すことだけを考えて」。ひたむきに、まだまだ「頂」を追い求める。
(真柴健 / Ken Mashiba)