リーグトップの26HP、山崎康晃の登録抹消に伴い守護神へ
DeNAは今月3日、通算250セーブまであと4に迫っている山崎康晃投手の出場選手登録を抹消。代わってクローザーの座に就いたのが、来日1年目で203センチの長身、最速161キロの速球を誇るショーン・レイノルズ投手だ。チームメート思いで熱い人柄も、徐々に明らかになってきた。
28歳右腕は今季開幕当初から貴重な中継ぎとして活躍し、33試合2勝0敗、防御率1.54、リーグトップの26ホールドポイントをマーク。35イニングで49三振を奪い、奪三振率(9イニングあたりの奪三振数)は12.60と非常に高い。守護神就任後は5日のヤクルト戦と8日の中日戦でセーブを挙げた。(成績は11日現在、以下同)
パドレス時代の2024年にメジャーデビューし、MLB通算30試合に登板した実績がある。「マイナーリーグの1A、2A、3Aを経てメジャーリーグへ上がっていく過程で、クローザーを含め、試合終盤の緊迫した場面を任されてきました。なじみのある役割です」と重職にも自信をうかがわせる。
登板を命じられると、リリーフカーを固辞し、ブルペンから走ってマウンドへ向かい、マウンドの土の上に指で何やら文字を書くことがルーティンとなっている。
「アメリカにはリリーフカーがなかったので、気持ちと体を整えながら走っていく時間が心地いいのです。リリーフカーより自分の足の方が、少し速いと思いますしね」と笑う。土の上に指で書いているのは、両親の誕生日で、12.10.51(父の誕生日が1951年12月10日)、11.18.54(母の誕生日が1954年11月18日)と書き込んでいるという。
「両親の存在なくして今の自分はない、という思いを忘れないように、数年前から始めました。このルーティンを始めてから良い投球ができるようになったので、ずっと続けています。両親と一緒にマウンドにいるような感覚になれて、心強い気持ちになります」と泣かせるセリフを吐く。
「失敗だらけの5年間でしたが、お陰で投手としての自分がある」
高校時代の2016年、MLBドラフト4巡目でマーリンズから指名されプロ入りした。当初は外野手で長距離打者としてプレーし、2021年の途中から投手に転向した変わり種である。
「野手として約5年、自分なりに努力したつもりです。才能もそれなりにあったと思いますが、試合でプロの打者に求められるメンタル、精神的な強さを身につけることができませんでした。幸運にも自分には強い肩があり、マーリンズから投手としてプレーする機会を与えられるという恩恵を受けました」と振り返る。
野手として成功できなかったことも「野手時代のたくさんの失敗、経験が、今の投手としての自分に物凄く活きていると思います。打者はどのように感じているのかとか、打者はこう考えているからこそ、投手としてはこういうことが必要だとか、いろいろな学びがありました。失敗だらけの5年間でしたが、そのお陰で今、投手としての自分があると思っています」と前向きにとらえている。
「子どもの頃から高校まで、投手としての経験も結構ありました。今振り返ってみれば、自分は打者より投手としての方が優れていたと思います。しかし若い頃は毎日試合に出たいという思いが強くて、結果的に野手としてドラフトされました」とも付け加える。
DeNAでは来日1年目にして、ムードメーカーの一面も発揮している。7日の中日戦(横浜)に4-0で勝利した後、レイノルズはロッカールームのテーブルを手のひらでバンバン叩きながら、「マキさん、ホームラン!」(牧秀悟内野手が3回に先制ソロ)、「アサヒ、ツーヒッツ!」(宮下朝陽内野手が2安打)、「ヨシ、ダブル!」(筒香嘉智内野手が6回に二塁打)、「ワンヒット、コンプリートゲーム、シャットアウト、ユータロ!」(石田裕太郎投手が1安打完封)と次々にヒーローを指差し声を張り上げながら称えた。
指された選手はガッツポーズで応えて、チームは大いに盛り上がった。この様子を収めた動画がSNSで拡散されると、DeNAファンも「この盛り上げ方は主将」と胸を熱くした。
完封勝利の石田らナインを熱烈祝福 ムードメーカーぶりも発揮するレイノルズDeNA公式YouTubeチャンネル
ニックネームは“スカイ”「僕は良いチームメートでありたい」
「僕は良いチームメートでありたいし、みんなで共に戦っているという姿勢を見せたい。特に僕のように試合終盤を任される投手は、野手のみんなが大変な仕事をこなし、リードを奪ってくれて初めてマウンドに上がれる。だから、勝利はみんなでお祝いしたい。それに自分自身、(野手時代の経験で)打つことの難しさを身に染みて知っているので、野手のみんなの活躍を称えたいのです」と力を込める。
ニックネームは「スカイ」。米国では「スカイライン(skyline)」と呼ばれていた。「空を背景とした山、高層ビルなどの輪郭」という意味で、米国でも際立つ長身が由来。愛用のグラブにはカタカナで「スカイライン」と刺繍されているが、DeNAでは短縮され「スカイ」の呼び名が浸透している。
米国と日本の違いを「球場の雰囲気が違う。日本のファンは試合の最初から最後まで、応援歌を歌ったりして、試合にのめり込んでいる。ファンも試合の一部であり、チームの一員であると感じさせてくれます。米国のファンは逆に、何か良いことが起こるのを待ち構えていて、何かが起こった後に歓声を上げ、盛り上がる感じでした」と表現する。新天地でのプレーを楽しみながら、日に日に重くなる役割をこなしている。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)