横浜が警戒する1年生「いいらしいですね」 宿敵・東海大相模と激突…打球直撃のエース織田の状態は

第1シードの横浜がノーシードの東海大相模と対戦する【写真:大利実】第1シードの横浜がノーシードの東海大相模と対戦する【写真:大利実】

第1シードの横浜が16日にノーシードの東海大相模と対戦する

 5日に開幕した「第108回全国高校野球選手権神奈川大会」は14日に3回戦が終わり、16日から4回戦に突入する。全国的に注目を集めるのが、16日にサーティーフォー保土ヶ谷球場で開催される横浜対東海大相模だ。全国制覇の経験を持つ神奈川の両雄が早い段階で激突。4季連続甲子園を目指す第1シード横浜に対して、ノーシードの東海大相模が挑む構図となる。

 横浜は3回戦で住吉を11-0の5回コールドで下し、危なげなく4回戦にコマを進めた。林田滉生、中嶋海人、小林鉄三郎、池田聖摩と、登板した4投手がすべて140キロ台のストレートを投げ、小林は自己最速を更新する149キロを記録。今年の強みである、投手陣の層の厚さを見せた。

3回戦の住吉戦に登板した横浜・林田滉生【写真:大利実】3回戦の住吉戦に登板した横浜・林田滉生【写真:大利実】

 打線は、主将の小野舜友(しゅんすけ)がコンディション不良でスタメンを外れたが、2回に江坂佳史のタイムリーで先制すると、上位から下位までまんべんなくヒットが生まれ、12安打11得点を奪った。

 それでも、試合後の村田浩明監督は、初回に無得点に終わった攻撃陣について課題を挙げた。1死二、三塁と攻めながらも、先発左腕の原田夏熙(なつき)に対して、4番の安食(あじき)琥太郎がサードファウルフライ、5番の川上慧がキャッチャーファウルフライ。いずれも高めのボールを打ち上げた結果だった。

「最初のところで点数が取れないのが、うちの課題というか、スロースターターなんですよね。高めにくるピッチャーなので、上から叩くように言っていたんですけど。これから戦っていくうえで、ちょっと不安を残した感じです。その後修正してくれたのは良かったですけど、入りからやってほしいですね」

主将の小野舜友は3回戦を欠場も…次戦は出場へ

 小野のベンチスタートについては、「次戦には出ます。今はまだ無理するところではないので。代わりに出た大山がいい形で打ったので、逆に良かったかなと思います」と、「9番・一塁」で出場した大山結永(ゆうと)の名を挙げた。

 選抜ではスタメンで出場した大山だが、大会後に左手有鈎骨の手術を行い、戦線離脱。リハビリを経て、夏の大会に合わせて復帰を果たした。2打数1安打1打点と、主将不在を感じさせない活躍を見せた。

 2回戦で左足首付近に打球を受けたエースの織田翔希は、骨には異常はなく、大事には至らなかった。試合前にはキャッチボールを行い、次戦以降に備える姿があった。

「織田はもう、本当におかげさまで。今日、投げさせようかなぐらいの気持ちだったんですけど、もう投げてきているので大丈夫だなと。小林がここに来て、一気に成長していて、林田も気合が入っている。織田だけに頼らない、いいチームになってきています」と村田監督。「織田投手の状態は?」と聞くと、「もう大丈夫です。本人に聞いてください」と笑顔を見せた。

 織田自身の感覚はどうか――。

2回戦で打球直撃のエース織田「まったく問題ありません」

「練習ではブルペンにも入っていて、まったく問題ないです。異常ありません。(今日も投げようと思えば?)はい、全然行けました」

 次戦に向けては――。

「どの試合でも、どの回戦でもやるべきことは変わらない。今は野手のみんなと、ほかのピッチャー陣がすごくいい形でやっているので、自分もそこに入って引っ張っていけるように頑張りたいと思います」

 実は取材中、次戦の相手は正式には決まっていなかった。5回コールドで終わった横浜に対して、東海大相模は茅ケ崎とロースコアの接戦。取材が始まる直前に、東海大相模が1点を勝ち越していた。

 村田監督に「次は東海大相模の可能性が高いですが」と質問を振ると、「勝っていますか?」と逆質問。「1点勝ち越しました」と伝えたところから、次戦に向けての話が始まった。

「わからないですよね、やってみないと。しっかりとうちの野球をやっていく。東海大相模さんがあって、われわれも成長できていますし、お互いにリスペクトし合えるような素晴らしい試合ができたらいいなと思っています」

横浜の現3年生は東海大相模と過去6度対戦

横浜・小野舜友(左)と東海大相模・安嶋浬久【写真:大利実】横浜・小野舜友(左)と東海大相模・安嶋浬久【写真:大利実】

 横浜と東海大相模は、現3年生が入学してからは、実に7度目の対戦になる。
(以下、横浜から見た対戦結果)
・24年春 準決勝⚫︎1-5
・24年夏 決勝 ⚫︎4-6
・24年秋 決勝 〇5-2
・25年春 決勝 〇5-4
・25年夏 決勝 〇11-3
・25年秋 準決勝〇11-6

 横浜が最後に負けたのが、2024年夏の決勝戦。8回裏に4点を奪われ逆転を許し、9回表に2死一、二塁まで攻め込むも、最後は当時1年生の江坂がショートゴロに倒れ、悔し涙にくれた。

 今年の横浜はスタメンに6~7人の左打者が並ぶ。大会中、横浜の試合を見ていたシード校の監督から、「やっぱり、横浜には左投手ですよね」という声が聞かれ、「横浜打線を抑えるには左腕」とはライバル校の多くが考えていることだ。

 東海大相模は2回戦、3回戦ともに右腕の伊藤遼が先発。3回戦でリリーフした背番号1の左腕・三渡琢真のほかに、まだ1イニングも投げていない1年生の吉永颯大(そうだい)、玉代勢湊(たまよせ・みなと)と左腕が3枚控える。吉永と玉代勢は練習試合で結果を残し、夏のベンチ入りを勝ち取った。大会前、原俊介監督が「うちはチャレンジャーなので」と口にしていたことを考えると、ぶっつけで1年生を先発させることも十分に考えられる。

 横浜側からも、「1年生の吉永がいいらしいですね」という声があり、このあたりは情報戦となりそうだ。

横浜のカギを握る右打者

 対左腕を考えたときに、横浜打線のカギを握るのは右打者。足のある千島大翼(たいよう)、パンチ力が魅力の脇山魁音(かいと)、そして1年夏の悔しさを知る江坂の名が挙がる。

 江坂は3回戦では三塁打を含む2打数2安打。大会前に足を痛めていたが、激走で三塁にスライディングする姿もあり、コンディションは上がっている。

「安静にして、しっかりと治療してもらったので、良くなってきています。足が良くなれば、バッティングも良くなる。左バッターが結構多いので、やっぱり右がカギになると思っています。特に自分たちが苦手というか、課題にしているのが左の軟投派。指導者からも、『カギを握るのは右バッターだぞ』と言われているので、しっかりと準備していきたいです」

 夏は3年連続の対戦となる東海大相模への想いは強い。「楽しみです。やっぱり、相模とやらないと盛り上がらないので。やれるだけでも嬉しいです」。

 16日9時プレイボール。夏休み前の平日になるが、全国一とも言われる高校野球ファンの熱量を考えると、外野開放、さらに満員札止めも予想される。数々の名勝負を繰り広げてきたライバル同士の一戦に、大きな注目が集まる。

(大利実 / Minoru Ohtoshi)

○著者プロフィール
大利実(おおとし・みのる)1977年生まれ、神奈川県出身。大学卒業後、スポーツライターの事務所を経て、フリーライターに。中学・高校野球を中心にしたアマチュア野球の取材が主。著書に『高校野球継投論』(竹書房)、企画・構成に『コントロールの極意』(吉見一起著/竹書房)、『導く力-自走する集団作り-』(高松商・長尾健司著/竹書房)など。近著に『高校野球激戦区 神奈川から頂点狙う監督たち』(カンゼン)がある。

@mino8989

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