初タイトルへ着々、ロッテ右腕が“覚醒”したワケ キャリア最低「6.48」の裏にある進化

リーグトップのセーブを挙げているロッテ・横山陸人【写真:球団提供】
リーグトップのセーブを挙げているロッテ・横山陸人【写真:球団提供】

混戦模様のパ・リーグ…熾烈極める最多セーブ争い

 今季のパ・リーグは混戦模様が続き、タイトル争いも熾烈な展開が予想される。現在リーグ1位のセーブ数を記録しているロッテの横山陸人投手の特徴や強みを紐解くとともに、今季の最多セーブ争いの行方に迫る。(数字は15日の試合終了時点)

 パ・リーグで2桁セーブを記録している投手の中では、横山が24セーブを挙げ、2位に4個の差をつけてリーグトップに立っている。今季のロッテで複数回のセーブを記録した投手は横山ただ1人で、防御率1.35という数字が示す安定感も相まって、絶対的な守護神として君臨している。オリックスのアンドレス・マチャド投手もリーグ2位の20セーブを記録し、セーブ王の座を射程圏内に捉えている。防御率1.17、奪三振率8.80、K/BB7.50と投球内容も優れており、来日3年目で自身初タイトルを手にするかに注目である。

 日本ハムの柳川大晟投手は19セーブを挙げているが、6月は月間防御率5.63と苦しみ、6月25日に1軍登録を抹消された(7月5日に復帰)。西武は新人ながらリーグ4位タイの18セーブを記録している岩城颯空投手も防御率4.15と疲労の色が見え始め、6月24日に1軍登録を抹消されている。両投手が後半戦で巻き返しを見せるか否かも、タイトル争いに影響を及ぼしそうだ。

 昨季のセーブ王であるソフトバンクの杉山一樹投手は5月に月間防御率0.00、6月に同0.93と1軍復帰後は快投を見せている。楽天の藤平尚真投手も18セーブを挙げ、5月は月間防御率8.53と苦しんだが、6月は7試合で無失点と復調を示した。杉山と藤平の両投手ともに、今後の展開次第では再びタイトル争いに加わり得る存在である。

制球力を生かした投球スタイルの転換が奏功

 セーブ数トップに立つ横山は、キャリア初期の登板数こそ少なかったものの、2021年は奪三振率10.24、2022年は同13.50と高い数値を記録した。2023年にも39回1/3で42個と投球回を上回る三振を奪い、奪三振率も9.61と優秀な成績を維持していた。一方で、防御率に関しては2021年が4.66、2022年が27.00、2023年が5.26と、高い奪三振率とは裏腹に投球の安定感に課題を抱えていた。

 この期間は3年連続で被BABIPが.352以上と一般的な基準値である.300を大きく上回った。運に左右される側面が大きい指標であることを踏まえると、2023年に関しては不運が成績に影響した可能性は否めない。しかし、直近2年間の奪三振率はやや控えめな水準となっている。2024年は7.93、2025年は7.51を記録。今季の奪三振率は6.48とキャリアで最も低い数字となっており、近年は打たせて取る投球へとシフトしつつある。

 それに伴い、防御率も2024年が1.71、2025年が2.08と劇的に改善され、今季はキャリアベストの防御率1.35を記録している。直近3シーズンはいずれも被打率.185以下、被BABIP.230以下と安打を許すケースも減少した。投球スタイルの転換によって飛躍的に安定感が高まったことが示されている。

 投球スタイルの転換を実現できた理由の1つとして、一定以上の制球力が挙げられる。1軍での登板機会が増加し始めた2023年の与四球率は4.12とやや高かったが、2024年は2.79、2025年は2.56と2年続けて優れた数字を記録した。今季の与四球率は3.78と上昇しているが、投球の安定感は健在。被安打と与四球の双方が少ないことは、1イニングごとに出した走者の平均数を示す「WHIP」にも好影響をもたらしている。

 2024年以降は3シーズン続けてWHIPが1.00未満で、1イニングで許した走者の数が1人以下と走者を溜めるケースの少なさが、防御率の改善につながっている。タイトルが「最優秀救援」から「最多セーブ」に変更された2005年以降、ロッテ在籍時に同タイトルを獲得した投手は、小林雅英氏と益田直也投手の2人のみ。通算200セーブ以上を挙げた偉大な先達に続き、横山も勲章を手にできるか。

 マチャド、柳川、岩城、杉山、藤平といった各球団の抑えが待ったをかけるか。杉山を除く5人にとってはいずれも自身初タイトルとなることも含め、後半戦の争いに注目である。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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