DeNA・松本凌人、森唯斗に「コテンパンに言われた」 刺さった教え…3年目で生まれた覚悟、“超進化”をもたらした2つの要因

3年目を迎え“進化”を遂げているDeNA・松本凌人【写真:町田利衣】3年目を迎え“進化”を遂げているDeNA・松本凌人【写真:町田利衣】

3日に1軍昇格で2戦計2回1/3を無安打無失点、四死球も与えず

 3年目の今、ポテンシャルを開花させようとしている。DeNAの松本凌人投手が3日に今季初昇格を果たし、12日の巨人戦(横浜)で初登板すると、1回を無安打無失点。15日の広島戦(マツダスタジアム)では東克樹投手が6回途中6失点とまさかの乱調だった後を受け、1回1/3を無安打無失点と仕事を果たした。

 サイドハンドから放たれる直球は平均球速151.7キロで150キロ超を連発し、最速155.5キロもマーク。「四捨五入したら156キロなので、自己最速が出ました」と笑う。スライダーの制球も安定。2024年は10回2/3で8四死球、2025年は3回2/3で4四球と課題を残していたが、今季は計2回1/3でいまだ四死球を与えていない。

「ファームでやってきたことをやれています。真っすぐも状態がよくて、それを投げられているので、いい結果に繋がっているのかなと思いますね」

 ファームリーグでも20登板で防御率0.96をマークし、4月19日の同中日戦で1回3失点して以降、15試合連続無失点と結果で示し、1軍のチャンスを掴んだ。とはいえ、昨季は2軍でも49登板で防御率4.36だったことを思えば、進化は疑いようがない。“魔改造説”もささやかれる中、背番号38は笑う。

入来コーチと取り組み「掴んだものがあって、いい感じで続いています」

「自分の中では“変わった”というより、うまく表現できるようになったというか。今は自分の強い球を操れているという感覚の方が強いんです。100%のところを70%しか出せなかったのが、100%に近いものが出せるようになっているって感じですかね」

 自分を表現できるようになった要因のひとつには、入来祐作2軍チーフ投手戦術・育成コーチと2人3脚で続けた取り組みにある。「トレーニングも教えてもらいましたし、投球についても足りないところを入来さんと継続してやって、ちょっと自分の中で掴んだものがあって、それがファームからいい感じで続いています」とうなずく。

自身の投球に手応えを掴み始めているDeNA・松本凌人【写真:町田利衣】自身の投球に手応えを掴み始めているDeNA・松本凌人【写真:町田利衣】

 もうひとつは、メンタル面だ。昨季までは制球を乱して自滅するケースもあり「自分の一番の球が打たれたら『うわ、どうしよう。また打たれるんじゃないか。次投げにくいな』みたいなのがあったんですけど、今は『ちょっと内側に入ったから、次はもっと厳しくいこう』とか。打たれるのは原因があると思うので、それを次の打者で修正していくことが今はできています」。心技体の好循環がうかがえる。

 ブルペンを担当する藤岡好明1軍投手戦術・育成コーチは「ボールの行き先が安定しました。本人もそれでだいぶ自信を持って投げられている。自滅もないだろうし、ボールを低めに集められていて、安心して送り出せる存在です」と太鼓判を押した。

2年間結果を残せず「印象を覆せるのは自分しかいない」

 2023年ドラフト2位で名城大から即戦力の期待を受けて入団したが、2024年は開幕1軍入りも10登板で防御率5.91、2025年は4登板で同7.36にとどまった。「チャンスをもらっている中で結果を出せない自分がいたので、まず自分が変わらないといけない。1軍で活躍できていない印象を覆せるのは自分しかいないと思うので」と覚悟を持って3年目に入った。

 ドラフト同期で同学年の石田裕太郎投手は、15日にコンディション不良で出場選手登録を外れたものの、開幕から先発の柱のひとりとしてチームを牽引してきた。「刺激になっていますけど、試合に勝ちたい気持ちでやっているのは変わらないので、刺激し合えたらいいなと思います」と言葉に力を込めた。

 松本凌といえば、昨季限りで現役を引退した森唯斗氏を慕い、今季から背番号「38」を継承した。帽子からのぞく金髪や気合いのこもった投球も、どこか師匠を思わせる。森氏の話題になると、松本凌はうれしそうに切り出した。

昨季限りで現役を引退した森唯斗氏【写真:小林靖】昨季限りで現役を引退した森唯斗氏【写真:小林靖】

「(1軍に)上がるときに連絡したら『心配やわ』とか言っていて、登板が終わったら『次が大事だぞ』って言われました。1年目のときからいろいろ言われていて、3年目になってしまったんですけど、いいものを見せられたらいいなと思います。連絡はたまにです。暇なときに電話してきたりするんです。僕からはしないですよ(笑)」

背番号受け継いだ“師匠”森唯斗氏には「コテンパンに言われていたので」

 森氏は引退した昨オフ、2026年に期待したい若手について「松本凌人」と即答。「絶対に考え方ひとつ。けちょんけちょんに言ってきたんですけど、それが響いていると僕は思って言っていました。もったいないなと思うのが一番あるので。あいつがどう変わっていくのか、どうなっていくのか、自分の中では楽しみですね」と熱いメッセージを送っていた。

「もちろん響いていますよ。コテンパンに言われていたので」という松本凌は、今も胸に刻む教えとして「自分の中では練習をしているつもりでも、足りないところがあった。そういうところや、四球を出したり勝負から逃げているっていうのは結構言われていました。あとはキャッチボール、トレーニングも……」と一端を明かした。

 現在のブルペン陣は横須賀でともに汗を流した仲間も多く揃う。仲のいい宮城滝太投手や岩田将貴投手も結果を残して自ら“序列”を上げていっている。「ブルペンから活気があっていいですね。若い人も頑張っているので負けられないです。1軍にいられるの、楽しいです」と充実の表情を浮かべた。

 まだ2登板ながら、成長は確かに示した。今後どんな存在になっていくのか、それも自分次第だ。「チームにとって多分いらない立場ってないと思うので、どの立場でもチームの力になりたいと思います。一番は自分のピッチングをして、いいテンポで帰ってきて、どんな場面でも打者に流れを作れたらと思います」。遅れてきた剛腕の巻き返しが始まった。

(町田利衣 / Rie Machida)

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