投手・大谷翔平を“一時休止”にした背景 二刀流を必要としない2つのチーム事情

ドジャース・大谷翔平【写真:ロイター】
ドジャース・大谷翔平【写真:ロイター】

大谷は23日フィリーズ戦の登板を回避、投手復帰は不透明に

 ドジャースの大谷翔平投手が22日(日本時間23日)の敵地・フィリーズ戦の先発登板を回避することが決まった。左膝の違和感に伴う措置だが、デーブ・ロバーツ監督が「日々の経過観察ではなく、少し時間がかかる」と明かした背景には、2つのチーム事情が絡んでいる。

 大谷は無理をすればマウンドに上がれる状態ではあったという。しかしロバーツ監督は「今の時期にリスクがメリットを上回るとは思えない。100%でないなら無理をさせる必要はない」と一蹴し、早期の予防的措置へ舵を切った。

 この決断を後押ししているのが、ナ・リーグ西地区を独走するチームの状況だ。18日(同19日)まで2位ダイヤモンドバックスに12ゲーム差をつけて首位を快走するドジャースにとって、レギュラーシーズンでの多少のローテーション再編は織り込み済み。10月のポストシーズンで世界一3連覇することこそが至上命題であり、大谷の膝の勤続疲労をこの段階で完全にリセットしておくことは、極めて合理的な判断といえる。

 もう一つの大きな好材料が、エース左腕ブレイク・スネル投手の存在だ。スネルは前日にマイナー戦で2イニング近くを投げるなど復帰へのステップを上がっており、今後、首脳陣は5回・75球を目安に段階的なビルドアップを計画している。

 指揮官が「予定を前倒しするつもりはない。しっかりと段階を踏ませる」と語る通り、大谷の離脱期間中も山本由伸投手らでローテーションを再編しつつ、スネルが本来の輝きを取り戻して完全復活を遂げるまでの絵図が描けているからこそ、大谷を安心してマウンドから一時離脱させることができる。さらにこの期間を利用し、カイル・ハートら若い先発候補をテストする余裕まで生まれている。

 大谷は今後も指名打者(DH)として打者での出場は継続するため、チームの得点力が落ちる心配はない。投打の歯車がガッチリと噛み合うドジャース。二刀流の「投」を一時休止させる決断は、王者の風格すら漂う、世界一を見据えた戦略的撤退である。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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