藤浪晋太郎に満塁弾で「終わったわ」 即降格→翌年TJ手術…ドラ1左腕が苦悩した3年間

田中健二朗氏は中継ぎ専念で活躍も…肩肘に疲労蓄積
元DeNAの田中健二朗氏は高校生ドラフト1位入団から6年目の2013年に入ると徐々に結果を残し始め、2016年、2017年は2年連続で60試合登板と活躍した。だが、2018年に調子を崩し、阪神戦では藤浪晋太郎投手から満塁弾を浴びる屈辱も味わった。翌2019年8月には左肘の靱帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)も受けるなど、長い離脱も経験。苦しい時期を過ごすこととなった。
2015年にそれまでのキャリアハイとなる35試合に登板し16ホールドを記録。勢いにのって2016年は61試合に登板して23ホールドを挙げ、球団初のクライマックスシリーズ(CS)進出に貢献した。2017年も60試合に投げるなどフル回転のシーズンが続いた。
登板数が増えた“代償”は2018年に表れた。「体が動かないみたいな感じになって、シーズンを通してコンディションが上がらなかった1年でした。肩もずっと痛くて、なんとか投げていましたね。騙し騙しの、さらに騙し騙し、みたいな感じでした」。
苦境を象徴する一戦が9月16日の阪神戦(横浜)だった。先発の今永昇太投手が早々につかまって降板。田中氏は3回無死満塁の場面で登板するも、制球が定まらない。2者連続で押し出し四球を与えると、投手の藤浪には満塁弾を浴びた。その後も四球を出すと今度は大山悠輔内野手に2ランを被弾。2/3回を投げて2被本塁打3四球5失点という散々な内容だった。
「ストライクが入らなくて、どうしようっていう感じ。藤浪君はバッティングがいいとは前々から言われていたけど、とはいえホームランまではないでしょ、と。早くマウンドで修正して自分の球を投げられるようにしなきゃいけないなか、探っている中でバーンと打たれてしまった。終わったわ、って感じでしたね」

TJ手術から目が覚めると「腕がパンパンに腫れて」
屈辱的な一発ではあったが「藤浪君に打たれたことよりも、あそこで何も修正できずに降板した自分が情けなかったことにメンタルをやられましたね」。翌日に2軍に降格。この試合がシーズンラスト登板となった。
翌2019年になっても左肩の痛みは取れず、あらゆる治療でも改善しない。2軍での登板もできぬまま8月にトミー・ジョン手術を決断した。「傷めた靭帯をかばっていたから肩に痛みが出ていた。100%投げられるようになるかどうかもわからないので、できれば手術は受けたくなかったんです。でも、もう手術しかないねって。しなきゃ投げられないし、しなかったら多分戦力外ですから」。
術後、目が覚めた時の衝撃は忘れられない。「腕がパンパンに腫れて、グーもパーもできないし、まったく動かない。自分の腕じゃないみたいで怖かったです」。1軍復帰登板は2021年9月の阪神戦。藤浪にグランドスラムを浴びた試合から約3年を要した。
(湯浅大 / Dai Yuasa)