TJ手術から復活も2年後に戦力外 元ドラ1が新規球団で感じた“差”…別格右腕は阪神へ

くふうハヤテ(現ハヤテ)時代の田中健二朗氏【写真提供:産経新聞社】
くふうハヤテ(現ハヤテ)時代の田中健二朗氏【写真提供:産経新聞社】

ドラフト1位でDeNAに入団し、活躍した田中健二朗氏

 2019年8月にトミー・ジョン手術(左肘の靱帯再建手術)を受けた元DeNAの田中健二朗氏は、長いリハビリの末に1軍へ復帰を果たすも、その2年後のオフに戦力外通告を受けた。現役続行を選び、2024年からはNPBのウエスタン・リーグ(現ファーム・リーグ)に新規参入した「くふうハヤテ」(現ハヤテ)に加入したが、目にしたのは1軍球団との明らかな“違い”だった。

 手術明けの復帰登板は2021年9月12日の阪神戦(横浜)、7点リードの9回2死の場面だった。コロナ禍の影響で声援はなかったが、スタンドから大きな拍手が注がれた。

「鳥肌が立ちました。リリーフカーに乗っている時、リハビリのしんどかった期間が一気に蘇って泣きそうだったんですよ。でも泣いている場合じゃないって。ぐちゃぐちゃな感情でマウンドに行きましたね」

 同年は8試合の登板に終わるが、2022年は47試合に登板して13ホールドをマーク。周囲には完全復活を印象付けたが、当の本人の手応えはまるで違っていた。「100%じゃない感じ。投げる感覚が変わってしまった。変化球の曲がりがイメージと違うんです。引っかかるし、抜けてしまう」。生命線のカーブに「自信が持てなくなってしまった」と苦悩を明かした。

 違和感を抱いたまま迎えた2023年は開幕前に左太ももの肉離れで離脱。11試合の登板に終わると戦力外を通達された。「まさかとは思ったけど、成績は残せなかったので」。球団の功労者として引退試合を打診され、1度は返答を持ち帰ったが、その日のうちに「現役を続けるので大丈夫です」と電話で伝えた。

DeNAなどでプレーした田中健二朗氏【写真:湯浅大】
DeNAなどでプレーした田中健二朗氏【写真:湯浅大】

1年目のハヤテに流れていた“緩やか”な空気

 新天地はハヤテだった。「NPBはどこからもオファーがなくて、ハヤテから話をいただいた。一から立ち上がるチームに関われるのってなかなかないと思い、決めました」。新規球団からのNPB復帰が新たな目標となった。

 できたばかりの“2軍球団”は今まで自分が身を置いていた世界とは大きく違っていた。「ウオーミングアップを流すようにやっていて、でもバットは一生懸命振る、みたいな。そういった姿勢が気になりました。なんのためのアップなのか。みんなもNPBに行きたくて入ったとは思うけど、本当に行きたいというのは伝わりにくかったな、と思いました」。

 当時は一線で戦う集団とは言い難い環境だったが、田中氏が一目を置いていたのが現在は阪神でプレーする早川太貴投手だった。「すごく練習していました。ご飯に誘っても『トレーニングするのですみません』って。本当に毎日必死にやっていましたね」。

 早川は2024年のドラフト会議で育成3位でNPBへ。1年目で支配下登録を勝ち取り1軍デビューも果たした。「早川が活躍しているのは、めちゃめちゃ嬉しいし、励みになります」。トミー・ジョン手術からの復活、戦力外を経て新規球団で過ごした日々もまた、田中氏の野球人生に欠かせぬ一部となった。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

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