「また来ますね」を本当に続けた男 巨人・門脇誠が特別支援学校の球児に見せた“当たり前”の凄み
「甲子園夢プロジェクト」の支援を続ける巨人・門脇誠。左手首には繋がりを示すバンドが見える【写真:小林靖】今でも鮮明に覚えている“普通の光景”
巨人・門脇誠内野手には、ドラフト指名直後から通い続ける“場所”がある。特別支援学校の生徒が甲子園を目指す「甲子園夢プロジェクト」だ。2022年12月、創価高校。その日の姿を、門脇も、創設者の久保田浩司氏(現・青鳥特別支援学校監督)も、今も鮮明に覚えている。あの日から、一つのキャッチボールが続いている。
2022年12月、都内にある創価高校の東大和グラウンド。「第18回甲子園夢プロジェクト合同練習会」に、巨人にドラフト指名されたばかりの門脇が母校の練習会にゲスト参加した。登場は当日まで知らされていないサプライズだった。
久保田氏は都立青鳥特別支援学校の教諭で、野球部の監督を務める。社会人硬式クラブで13年間指導し、特別支援学校ではソフトボール部で敵なしと言われるチームを育てた。「知的障がいのある生徒にも硬式野球を」。その思いから2021年3月、夢プロを立ち上げた。
門脇との縁は、1台のバッティングティーから始まっている。ティーを製造する門脇の父と、久保田氏は知人を介して知り合った。父は道具を置いていくだけでなく、時折り様子を見に来てくれた。そのやりとりの中で息子の巨人入りが決まり、合同練習会の話が持ち上がった。
グラウンドで久保田氏が見たのは、どこまでも普通の光景だった。門脇は遊撃の位置に着いてノックを受け、守備の見本を示し、気づいた点はその場で短く伝えた。知的障がいのある子どもたちには、言葉での説明より、目の前の見本こそが何よりの教科書になる。「同じ野球選手として、同じ目線でプレーしてくれた。それが一番印象的でした」。その当たり前を当たり前にやることが、誰にでもできるわけではない。
“夢”が取れ…甲子園を本当に目指すプロジェクトに
現在は都立青鳥支援特別学校の監督を務める久保田浩司氏【写真:楢崎豊】練習後は、求められたサインや写真撮影に一人一人笑顔で応じ、会は終始和やかに幕を閉じた。変化は次の練習会に表れた。門脇の投げ方や、捕ってからのステップを真似しようとする子が増えたのだ。「門脇君にこう教えてもらったんだよな」と口にしながらプレーする子がいた。なかなかできはしないが、やろうとする姿勢が生まれていた。
(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)