満身創痍の大谷翔平、見えぬ投手復帰 気になる右腕の状態…ド軍が“必要としない”事情

ダブルヘッダーに連続フル出場し、先制二塁打も
ドジャース・大谷翔平投手は20日(日本時間21日)、敵地でのフィリーズ戦に「1番・指名打者」で出場し、4打数無安打に終わった。前日19日(同20日)にはヤンキースとのダブルヘッダーに臨んでおり計9打数3安打。この第1試合の試合前には、投手として先発予定だった22日(同23日)のフィリーズ戦の登板を回避することが明らかになった。投手復帰の時期は未定だ。
野手としては万全に見える。ダブルヘッダーには連続フル出場し躍動した。残念だったのは、第2試合の第4打席。ドジャースは1点ビハインドの8回、先頭の代打トミー・エドマン外野手が同点ソロを放ち、さらに1死一、二塁のチャンスをつくって大谷に打順が回った。ヤンキースはたまらず、ここで守護神のデービッド・ベッドナー投手を“前倒し”でマウンドへ上げた。
それまで19イニング連続無失点だったベッドナーは、155キロのストレートが2球外角高めに抜けた他は、キレのあるスプリット、落差のあるカーブを外角低めに集めた。結局大谷は5球目のスプリットを振らされ、空振り三振に倒れた。
「相手に素晴らしい投球をされたので、あれはしょうがない。ベッドナーがコースを間違えなかったことがポイントでした。打者としての大谷は“普通”の状態で、おそらく、ここからさらに調子を上げて、最後は3割を打っていると思います(日本時間21日時点で打率.287、22本塁打60打点)」。こう評したのは現役時代に日本ハム、ダイエー(現ソフトバンク)などでNPB通算89勝を挙げた右腕で、メジャー中継の解説などを務める野球解説者・武田一浩氏だ。
一方、大谷の投手としての不安は拭えない状況である。現時点で今季最後の登板は今月3日(日本時間4日)のパドレス戦で6回7安打3失点。打者としても7回に代打を送られてベンチに退き、大谷自身がスイングの際に、右上腕二頭筋に違和感を感じたことを明かした。
チームは2位に10ゲーム差つけ独走
その後、左膝の違和感を理由に10日(同11日)、ダイヤモンドバックス戦の先発登板を回避。潤滑剤を注射する治療を受けたというが、再び22日の先発登板を回避することになった。
武田氏は「当初は膝に溜まった水を抜くと聞いていて、それだけなら10日間くらいで登板できるのではないかと思っていました。球団も首脳陣も本人も慎重になっているのは確かですが、経過があまり良くないのかもしれません」と推察する。
「ひょっとすると、膝だけでなく、(上腕二頭筋に違和感を感じた)右腕にも不安を感じているのではないか。最近の経過を見ていると、そんな気がします。過去に右肘を2度手術している大谷にとって、万が一3度目が必要な事態になれば投手生命に関わりますから、球団も首脳陣も本人も、それだけは避けたいはずです」と見ている。
ドジャースは20日(同21日)現在、ナ・リーグ西地区で2位のダイヤモンドバックスに11ゲームの大差をつけ独走している。武田氏は「戦列を離れている先発要員のブレイク・スネル、タイラー・グラスノーが復帰すれば、さらに先発ローテに余裕ができて、大谷に無理をさせる必要はなくなります」と指摘。「大谷は投手として復帰するにしても、最初は中10日とか、間を開けることになると思います」と予想し、「あるいは7、8月は登板せず、9月から投げ始めて、調子が良ければポストシーズンに投げるというパターンもありえます」と付け加えた。
投手として今季8勝2敗、防御率1.79と抜群の成績を挙げている大谷。シーズン序盤はサイ・ヤング賞候補との呼び声もあったが、6月以降は登板もままならない状況となっている。自身の野球人生で、慎重な判断を求められている局面なのかもしれない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)