“ドラ1”が持ち前の力を発揮し始めた。DeNAの小田康一郎内野手は、ファーム・リーグ前半戦で70試合に出場して打率.261、3本塁打、31打点、OPS.743。6月に1軍を経験もわずか8日で2軍落ちの悔しさを味わったが、村田修一2軍監督も絶賛する「野球センス」と「人間性」を武器に、“ハマのBuu”が静かに牙を研いでいる。
「ちょっとずつ安定してきた感じはあります。すぐに結果が出なくても辛抱強くやり続けて結果が出始めたりというのもあるので、継続するというのがひとつキーになっているところかなと思います」
小田自身が手応えを口にしたように、2軍での成績を見てみると、6月は12試合で打率.359、OPS1.007。7月は16試合で打率.322、OPS.945を誇っている。
鈴木尚典2軍打撃育成コーチ兼巡回打撃育成コーチ補佐(7月2日付けで1軍打撃戦術・育成コーチに配置転換)と重いマスコットバットを振って体に強いスイングを覚えさせる取り組みを続けてきた成果が表れ、村田2軍監督も「空振りしてもいいからハードヒットしに行くイメージでバッティングしようぜと。打球速度がだいぶ上がってきて、対応能力はすごくあります。出塁率も高いので、そういう意味では将来性豊かだと思います」と目を細めた。
「まず野球センスがあるので、当て感だったり、守備のポジショニングだったり、あとスチールもできる。それからいい姿勢で野球をします。いい言葉を使いますし、一生懸命野球をする人間。僕も中軸として育てていきたいと思っていますし、彼にも『そのつもりで付いてこい』という話はしています。徐々に力をつけていて、来年、再来年と打線の中に入っていける選手だと思います」
そんな小田を、村田2軍監督は「ボール回し隊長」に指名。イニング間に内野陣がボールを回す際のリーダーだ。ここにも「将来チームを引っ張ってくれる中軸選手になれるような人間に育てられれば」との思いが込められている。
先輩がいたとしても、小田が声で、プレーで、ボール回しをけん引する。「任命していただいたからには『質を上げていきましょう』という話はしています。今は暑くてしんどいですけど、絶対に抜かないように意識しています。たかが1球、それぞれ投げるだけですけど、その後のプレーに影響する部分ですから」と話す背番号3は実に頼もしい。
守備では一塁、二塁、三塁を守り、練習試合では遊撃にも就いた。「記録ではミスになっていないところでも『今はもっとこうできたな』とか、気付くことはたくさんあります。いろいろなところを守ることで見えてくる課題もあるので、そこはすごく勉強になっているところです」と先を見据えた。
6月にプロ初昇格も無安打&守備でも“ミス”「失敗談は常に頭の中に」
わずか8日間に終わった1軍で味わった悔しさは、忘れることはない。「このままじゃダメなんだというのを再確認できました」。6月7日にプロ初昇格も、3試合計8打席(7打数)で無安打3三振に終わった。「7番・二塁」で初スタメンとなった11日の日本ハム戦(エスコンフィールド)ではベースカバーの遅れが失点につながり「完全に敗因をつくってしまった」と肩を落とした。15日には出場選手登録抹消になったが、ほろ苦い経験は糧とするしかない。
「切り替えて精神的に引きずらないようにはしました。ただ忘れてしまうと同じミスを繰り返してしまう可能性があるので、そうならないように失敗談は常に頭の中に入れながら、さらに上のプレーを目指せるようやっています」
プロの世界で何年も戦う先輩たちの姿を見たことはプラスになった。意識の高さ、準備の質を目の当たりにして「ベテランの方は何十年もああいうことを続けてこられている。本当に意識が高く、意図のないことはしていなくて、自分は全然まだまだ甘いと思いました」とかけがえのない時間にもなった。
同期の宮下朝陽内野手(3位)は1軍に定着し、攻守で存在感を放つ。島田舜也投手(2位)と片山皓心投手(4位)はプロ初勝利を挙げ、成瀬脩人内野手(5位)も現在は2軍調整中ながら1軍20試合で12安打を放った。「悔しい反面うれしい、複雑な気持ち」と仲間たちへの偽らざる思いを明かすが、再びその舞台で戦う覚悟はできている。
「僕自身、今状態が悪くはないので、いつ呼ばれてもいいようにという準備をしています。ただ上の方々もみなさん調子が良く、勝つゲームも増えてきているので、入れ替わりは本当に良くも悪くもいつ起きるか分からない。逆に言うと、次に(1軍に)行った時が今シーズン最後かもしれない可能性もあるので、本当にそのワンチャンスを逃さないように。ファームでも、試合の中のワンチャンスを大事にしながら、1スイング、1球というのを大事にしてやっていきます」
22歳の心に、逆襲への思いが燃えている。