長谷川は左有鉤骨鉤切除術を受けた「ファウルでパキ!」
2軍メンバーが引き上げた西武の室内練習場に、バットを手にした長谷川信哉外野手が姿を見せた。今月7日に左有鉤骨鉤切除術を受け、手首付近には傷口を保護する太いテープが貼られたまま、右手だけでバットを持って打撃練習用マシンと向き合っていた。
リハビリ組として3軍で調整している24歳は現在の状態と、好調ながら離脱してしまった胸中を語った。
一定のリズムでマシンから放たれる緩い球に対し、バットを合わせる。打ち返すというよりはタイミングを重視し、ファウルを打っている感じだ。手術を受けた左手はバットに添えず、ダラリと下げていた。
「目線というか、正面から来るボールに対してのアプローチが全然できていなかったので、そこを確認しているのと、右手一本だけじゃどうしても強く振れないので、間の取り方というところをおさらいではないですけど、しっかりもう1回、という感じですかね」
6月26日の日本ハム戦で1打席で2度、自打球を左足に受けて途中交代。その後、2試合を欠場し、30日のソフトバンク戦から戦列に戻るも、翌7月1日のソフトバンク戦にフル出場すると、同2日に出場選手登録を外れ、7日に手術が発表されていた。
「ファウルでパキ! っていった感じです」
実は、左手首の痛みはシーズン開幕時からずっと抱えていたという。「キャンプ中からずっと……いや、自主トレ中もちょっと痛みはあったんです。でも、バットが振れないというほどではなかったので、練習や試合にも出ることはできましたけど、離脱した時は“一発”でした。痛みが先行してバットを振ることができないなと思ったので、試合でプレーすることはできないと思って、(首脳陣に)言わせてもらいました」。
痛みと戦いながらレギュラーとして結果を残してきた、ということだ。「逆に言うと、痛みがあった中で交流戦で首位打者を獲れたので、今思えばよくやったなと思います」と笑った。球団が初優勝を飾ったセ・リーグ球団とのマッチアップでは、2試合連続サヨナラ打など打率.367でMVPにも輝いていた。
上位を死守するチーム「本当に頼もしい」
気になるのは現時点の回復具合と試合での復帰見込みだ。取材した7月23日の時点で「5針縫ったんですけど、来週には取れてウオーミングアップも普通にやる予定です。まだ握力が戻っていないので、良くなるために、という部分は考えています」。実戦に戻る目処にも言及する。
「僕のプラン的には8月末には1軍に帰れたらいいなとは思っていますけど、無理に急いで長引いてしまうのはよくないので、しっかり治してから、というところは考えています」。打率.286、9本塁打、30打点。6盗塁、得点圏打率.296、OPS.834と成績を残していた。
「いや、まあ正直悔しいですけど、ずっと痛かったところだったので、いつかはなる(離脱する)だろうな、という思いでやっていました。でも、そんなに悲観することなく、シーズン終盤には帰れる、競技復帰できるので、そのために今しっかりリハビリを重ねています」
穏やかな口調に焦りは感じられない。「確かに、焦りは全然ないですね。チームが十何連敗とかしていたら多少はあるかもしれないですが、逆転勝ちもしていますし、安心はできないですけど、本当に頼もしいと思います」。もちろん、完治したといっても自分が1軍に再び呼ばれるという確証はない。
「状態が戻らなければ呼ばれないと思います。握力が戻るんかなとか、バットが振れるんかなとか、ちゃんと傷口は治るんかなっていう、そういう不安要素は山ほどあります。今やれることをしっかりやり続けて、いざ復帰した時、元のパフォーマンスまでしっかり戻せるっていうところを今やっています。野球をやりたいですね」
桑原も怪我で離脱…同じ右打ちの俊足外野手の若林が復帰
1軍の試合は欠かさずチェックしているという。「ずっと見ています。ホークスの試合とかファイターズの試合とか、順位が近いチームの試合はパ・リーグTVで見回していますね」。いつでも戻れるように自軍の状況と、Aクラスで争うライバル球団の情報は自分の目で収集している。
離脱中、1軍メンバーからリハビリの進捗を問うような連絡は届いているのだろうか。
「いや、まったくないです(笑)。気にもかけてもらっていないんですかね」
自虐的に笑う。「無言の激励ということですね」。記者の声かけに「そうなんですかね」とまた笑った。
一方でファンからの復帰を切望する声は続々と届いている。「嬉しいことに、そう言ってもらえるところまで今年は来れたので、はい。今年のシーズン最後もそうですけど、来年もそう言ってもらえるように継続して成績を残すためにやっていきたいなと思います」。
桑原将志外野手も怪我で離脱していたこともあり、チームは2024年6月に巨人へトレード移籍していた若林楽人外野手の復帰を発表した。同じ右打ちの俊足外野手として、新たな競争相手が増えた。しかし焦らず、着実に。グラウンドに戻る日を見据え、長谷川は今日もマシンと向き合っている。
(湯浅大 / Dai Yuasa)