5月に電撃トレードで加入…1軍では5試合出場も無安打で6月4日に2軍落ち
電撃トレードから2か月半、DeNAの井上朋也内野手が覚醒の兆しを見せている。7月は2軍13試合で打率.364、1本塁打、11打点、OPS1.075。同じ右打ちの大砲であり、ドラフトで騒がれたという“共通項”を持つ村田修一2軍監督が、プロで生き抜く“心得”を注入している。
井上朋のトレードが発表されたのは5月12日。そこからすぐ、同26日に初めて1軍に昇格した。しかし5試合計8打数無安打4三振に終わり、移籍後初安打を放つことなく6月4日に出場選手登録抹消となった。
2軍調整となると、テークバックを見直し。手元に入る癖を修正しようとしていた井上朋に、村田2軍監督は「昔からそうやってきたんだから、直そうとしなくていい。タイミングを早くしよう」と右手の引きを早くすることをアドバイス。2軍で6月の月間成績は8試合で打率.286、2本塁打、7打点、OPS.930とすぐに結果となって表れた。
2020年ドラフト1位でソフトバンク入団した井上朋は、5年間で1軍出場は28試合にとどまり、新天地にやってきた。2002年ドラフト自由枠で日本大から横浜(現DeNA)に入団した村田2軍監督にとっては、技術以上に伝えたいことがあった。
「ドラフト1位で入ってきて色々苦労はあるだろうと。俺もそうだった。苦労したから。人がどうこうじゃなくて、自分がどうやりたいか。そういう風にやってくれれば問題ないということは言っています。“ドラフト1位”と言われるけど、毎年入ってくるわけですから、その先は自分で掴むしかない。結局誰も助けてくれないから、自分でやり抜くしかない。だからこそ、人がどうこうより自分がどうしていくかを考えるべきなんです」
2軍で一塁、三塁、左翼、右翼を経験「ポジションを決めるというより…」
NPB通算1865安打&360本塁打を誇る村田2軍監督から見ても、同じ右の大砲としてのポテンシャルの高さは十分に感じている。高卒5年目の23歳で、仮に大学を経てプロ入りしていればまだルーキーの年。「中距離を狙いながら長距離を打てる選手かなと。僕もそういうイメージで長距離を打ってきたので。本塁打を狙うというより、確実に芯にしっかり当てれば打球速度は出る。まだまだ伸びしろもありますし、鍛えないといけない部分はありますけど、将来中軸を打てる可能性は大いにあると思います」とうなずいた。
今後1軍で活躍するために必要なことは“見極める力”を挙げる。「今は投げ切られると、どうしても形が崩れたまま終わってしまうので。1軍では簡単にゾーンに投げ込まれることはないので、見極めてゾーンを上げさせて、自分でゾーンに投げさせる努力をしないといけない」と課題を口にした。
1軍では一塁と右翼を守り、2軍では加えて三塁と左翼にも就いている。“育成法”も幅広く考えているという。
「ゴウ(筒香嘉智内野手)にしても、岡本(和真内野手=現ブルージェイズ)にしても、レフトをやったりサード、ファーストをやりながら4番を打つ選手もいますから。そういう意味では、打撃を生かしながら中軸を打てるオールラウンダーはすごくありがたい存在になると思います。ファームはいろいろ挑戦できるので守備を満遍なくレベルアップさせながら、ポジションを決めるというよりは『打撃がいいからどこを守らせようか』となるのがベストじゃないかと思っています」
明かした素顔「一生バットを持っている子です。グラブも持たないと」
攻守で期待の高い存在であることは確か。そしてもう一つ、村田2軍監督が強調した点がある。
「一生懸命、野球に取り組むので、その辺はすごく良い子かなとは思いますね。ちょっと天然なところもあって、こう(視野が狭く)なりすぎちゃうマイペースなところはありますけど。野球が好きすぎて一生バットを持っている子です。グラブも持たないと、守るところがないと打席もないんですけどね(笑)」
自ら村田2軍監督に「サードもできます、ファーストもできます、外野もいけます!」とアピールしてくることもあったという。「ポジティブシンキングはすごく良いところですね」と頼もしそうに背番号40を見つめて笑った。
移籍をキッカケに野球人生が“一変”する選手も少なくない。ベイスターズブルーのユニホームを身にまとい、泥臭く努力を続ける続ける井上朋。「ポテンシャルはすごく高いんじゃないかと思います。1軍で通用するかは正直まだわかりませんけど、2軍でこれだけ打てれば可能性は大いにあるでしょうね」という村田2軍監督の言葉通り、次なるチャンスが楽しみだ。
(町田利衣 / Rie Machida)