ボロボロになっても…大谷翔平の“贈り物”は「本当に特別」 エ軍退団から2年、サンドバルが記者に託した伝言

怪我を乗り越えレッドソックスでプレーするパトリック・サンドバル【写真:黒澤崇】怪我を乗り越えレッドソックスでプレーするパトリック・サンドバル【写真:黒澤崇】

復帰直前に襲った再発「心がすり減る感覚だった」

 レッドソックスのパトリック・サンドバル投手が、波乱に満ちた2年間のリハビリ生活と、かつてエンゼルスでチームメートだった大谷翔平投手(現ドジャース)との“変わらぬ絆”を明かした。左肘の手術と退団、新天地での全休という苦難を乗り越えて掴んだ復帰。その陰には、今も大切に手元に置いている大谷からの“特別な贈り物”があった。

 悪夢のような出来事から約2年が経った。エンゼルス時代の2024年6月。敵地・ドジャース戦で左肘の尺側側副靱帯(UCL)を損傷したサンドバルは、そのままシーズンを終了して手術を決断。同年11月にノンテンダーFA(契約不提示)となり、12月にレッドソックスと2年総額1825万ドル(約28億2000万円)で契約を結んだ。しかし、リハビリに費やした2025年シーズンも全休を余儀なくされた。

 マウンドに戻るまでの道のりは、想像を絶するほど平坦ではなかった。復帰のゴールが見えかけた矢先に、何度も怪我が立ちふさがったという。

「一番こたえたのはメンタル面、精神的な疲労でした。ピッチングの強度を少しずつ上げていって、『あともう少しで実戦復帰できる』という段階まで来ると、肘の痛みや違和感が再発してシャットダウン(投球休止)になる。そこからまたゼロに近い状態から立ち上げて……ということの繰り返しでしたから。本当に心がすり減るような感覚でした」

エンゼルス時代に左肘を負傷し長期離脱した【写真:ロイター】エンゼルス時代に左肘を負傷し長期離脱した【写真:ロイター】

 今年前半にも、3イニングを予定したリハビリ登板で60球近くを投じた際に肘に痛みが走り、再び数週間のシャットダウンを余儀なくされた。それでも諦めることなく地道なリハビリを重ねた左腕は、今年7月9日(日本時間10日)の敵地・ホワイトソックス戦で待望の復帰登板を果たした。復帰後はここまで4試合に登板して防御率3.32と、ブランクを感じさせない安定感抜群の投球。22日(同23日)のオリオールズとのダブルヘッダー第1試合までの、球団タイ記録となる15連勝に貢献した。

「素晴らしいエネルギーに満ちたチームです。僕がリハビリをしている間、外から見ていてもこのチームの戦いぶりは魅力的でしたが、実際にその輪に入ると結束力の強さを肌で感じます。相手に先制されても次のイニングにはすぐに反撃する。誰も諦めないし、戦い続ける精神がある。この場に戻ってこられて最高です」

「僕にとっては本当に特別な記念品なんです」

 過酷なリハビリ期間中、そして鮮やかな復活を遂げた今も、サンドバルが大切に愛用している“相棒”が存在する。エンゼルス時代に大谷翔平からプレゼントされた5本指ソックスだ。

 2022年頃に大谷から受け取ったというその一品について尋ねると、サンドバルは愛着を込めて笑顔を見せた。

大谷と過ごした時間は大きな財産となっている【写真:アフロ】大谷と過ごした時間は大きな財産となっている【写真:アフロ】

「すごく気に入っていて、ブルペンに入る時や自分が登板する日には今でも絶対に身につけています。使い込みすぎて、もう結構破れちゃってるんですけどね(笑)。でも僕にとっては本当に特別な記念品なんです」

 2年の歳月が流れてチームを離れ、自身が大手術を経験してもなお、かつての盟友からの贈り物は左腕にとって心の支えであり続けている。生地が破れるほど使い込んでいる事実は、彼がどれほどそのアイテムを大切にし、リハビリの糧にしてきたかを物語っていた。

 取材に応じてくれたのは、敵地でのドジャース戦の真っ只中。大谷との再会について問われると、「インスタグラムなどでたまにメッセージを送るくらいで、頻繁に連絡を取っているわけではないよ。ましてや、今日もしグラウンドや通路で見かけたら挨拶したいね」と楽しみにしている様子を見せた。

ドジャースとの対戦をベンチから見守った【写真:黒澤崇】ドジャースとの対戦をベンチから見守った【写真:黒澤崇】

 しかし、大谷は準備や治療などで試合前練習でグラウンドへ出てくることは滅多にない。その“日常”を伝えると、サンドバルは思わず爆笑。「あはは! まったくショウヘイらしいね(笑)」と声をあげた。

 会えないかもしれないと悟った左腕は、笑いながらこう伝言を頼んだのだった。

「じゃあ、もし会えなかったら僕から伝言をお願いします。『サンドバルがよろしく言ってたぞ。今はレッドソックスにいるぞ!』ってね!」

 怪我の苦しみ、古巣との別れ、そして新天地での復活――。激動の2年を乗り越えたサンドバルの傍らには、今も大谷から贈られた破れた5本指ソックスと、ともに戦った記憶が静かに寄り添っている。チームのポストシーズン進出に向け、サウスポーはさらなる好投を誓っていた。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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