佐々木朗希との忘れられぬ一枚「すごくナイスで良い子だし、一緒にいて楽しい」
元ロッテでレッドソックスのタイロン・ゲレーロ投手は、最速104マイル(約167.3キロ)の剛球を武器にNPBのファンを魅了した。現在は再びメジャーリーグで右腕を振るうが、ロッテ時代にブルペンで絆を深めたチームメート、技能向上を目指した日本の野球文化について、今も深いリスペクトを抱いている。インタビュー後編では佐々木朗希投手(現ドジャース)やロッテ時代の同僚との友情、そして現役投手ならではの日米野球論に迫る。
メジャー2年目の佐々木は開幕から先発ローテーションに入り、19試合登板で5勝5敗、防御率4.64。飛躍のシーズンとなっている。2022年にロッテで同僚だったゲレーロに佐々木について尋ねると、誇らしげに目を細めた。7月31日(日本時間8月1日)にはドジャースタジアムで再会を果たした。
「2022年に初めて見た瞬間から分かっていたよ。『この選手はものすごい才能を持っている。すぐにメジャーに来るだろう』ってね。昨日も彼がグラウンドで走っている時に会って話をしたんだ」
ゲレーロのスマートフォンには、今も大切に保存されている1枚の写真がある。2022年5月13日のオリックス-ロッテ戦(京セラドーム)。佐々木がシーズン4勝目を挙げ、ゲレーロが来日初セーブを記録した試合の思い出の写真だ。
「この写真は僕の初セーブで、彼は勝利投手になった時のものなんだ。再会した時に『また会えて嬉しいよ』って声をかけたよ。彼はすごくナイスで良い子だし、一緒にいて楽しい。静かだけど、本当に良いやつなんだ」
メジャーの環境への適応について、ゲレーロは佐々木の成功を確信している。
「ヤマモト(山本由伸)やイマナガ(今永昇太)がそうだったように、最初はアメリカの打者のパワーやボールの違いに適応する時間が少し必要なだけさ。メジャーの感覚をつかめば、彼はもっと素晴らしい投手になるよ。海を渡ってくる日本の選手には全員、ここで大成功できる才能があるし、それを証明し続けているんだ」
通算250セーブ達成の益田直也は「日本での投げ方を教えてくれた人」
ロッテのブルペンをともに支えた守護神・益田直也投手が4日に通算250セーブを達成したことについても、我が事のように喜んだ。
「本当に嬉しいよ! 僕が日本にいた頃からその瞬間を楽しみにしていたし、一緒に祝いたかった。マスダは僕の師匠。日本での投げ方やパ・リーグのことをたくさん教えてくれた人なんだ。何度も一緒にご飯に行ったりもしたし、今でもインスタグラムのメッセージで連絡を取り合っているよ」
メジャーで160キロ超の剛速球を投げていたゲレーロにとっても、日本の打者を打ち取ることは容易ではなかったという。剛腕が痛感した日米の野球の違いとは何だったのだろうか。
「一番難しかったのは『三振を取ること』だね。日本の打者は高めも低めもボールを見極めてスイングしてくるから、三振を奪うのが本当に難しかった。アメリカの打者はホームランを狙って強く振ってくるけれど、日本の打者はボールにコンタクトして点を取りに来る。犠牲フライやバント、選球眼の高さでなんとか粘ろうとする。そこが大きな違いだね」
対戦した中で最も打ち取るのが困難だったNPBの打者として、2人の名前を挙げた。
「ホークスのコンドウ(近藤健介)は打ち取るのが本当に難しい打者だった。あとは今、チームメートとしてプレーしているマサタカ(吉田正尚)だね。僕にとって一番厳しかったのはコンドウとマサタカだよ」
「アメリカでは全然やらない(笑)」日米の練習の違いとお菓子の思い出
日米での練習の違いについて話題が及ぶと、投手陣の守備練習についても明かしてくれた。
「日本にいた時は守備練習もたくさんやったよ。でも、アメリカでは……全然やらないね(笑)。でも日本での練習も含めて、全ての経験が自分を成長させてくれたと思う。ロッテでプレーしたからこそ今の僕があるんだ」
一度日本を離れ、2025年に再びロッテへ復帰した際も、ZOZOマリンスタジアムのファンが温かく迎えてくれたことが強く記憶に残っている。
「マリンで投げるのが大好きだった。ファンのみんなは、僕がこれまでの野球人生で出会った中で間違いなく最高のファンだ。いつも熱狂的な声援で後押ししてくれた。また機会があるなら、絶対に日本に戻ってプレーしたいよ。妻も子どもたちも、また日本で生活できる日を楽しみにしているんだ」
厳しい勝負の世界に身を置きながらも、ゲレーロにはロッテ球団ならではの可愛らしい思い出もある。
「ロッテのお菓子もたくさん食べたよ! 『コアラのマーチ』や『チョコパイ』とかね。アメリカに帰る時はスーツケースがいっぱいになるくらい買っていったんだ。子どもたちも大好きなんだ」
グラウンド上での熱い絆、日米の野球文化へのリスペクト、そしてロッテのお菓子への愛——。タイロン・ゲレーロという男の人間味溢れる魅力が、取材の端々から溢れ出ていた。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)