指示を“無視”した岡本和真「耳を貸さなかった」 指揮官が明かす逸話…想定外だった反応「次は何を?」

チームメートからの信頼も厚いブルージェイズ・岡本和真【写真:ロイター】チームメートからの信頼も厚いブルージェイズ・岡本和真【写真:ロイター】

ブルージェイズは17連戦の真っ只中…岡本和真が迎えた正念場

 ブルージェイズの岡本和真内野手が踏ん張り時を迎えている。8月に入ってから出場9試合で打率.152、本塁打数はゼロ。9日(日本時間10日)の敵地フィリーズ戦では左膝に自打球を当てる場面もあった。主砲のブラディミール・ゲレーロJr.内野手からは「下を向くなよ」とのメッセージ。10日(同11日)からは本拠地でレッドソックス、ヤンキースと重要な同地区対決が待っているが、復調の狼煙を上げることはできるか――。

 9日(同10日)フィリーズ戦の第4打席、岡本のバットから久しぶりに快音が響いた。3点を追う2死一塁の場面で、左翼へ安打を放ち、一、二塁にチャンスを広げると後続が続き一気に同点。勝負どころで強さを発揮した。試合後、岡本は「まあ、何でも出て良かったなっていう……」と控え目だったが、3試合ぶり、そして15打席ぶりに出た安打に、気持ちは少し軽やかになっていただろう。

 チームは現在、7月31日から続く17連戦の真っ只中。1週間でヒューストン→シカゴ→フィラデルフィアを休みなく転戦したのだが、最近5戦のうち4戦が延長に突入。7日(同8日)は唯一延長戦ではなかったが、悪天候で試合開始が2時間1分遅れ、27個目のアウトが記録された時には日付が変わっていた。

 翌日、岡本をスタメンから外したジョン・シュナイダー監督は「オーク(岡本の愛称)は疲れているんだと思う。肉体的にも、精神的にも」と、その理由について話した。その前にスタメンを外れたのは、7月28日(同29日)敵地でのナショナルズ戦。休養日は1日あったが、右太もも裏を痛めたゲレーロJr.が3戦先発を外れたこともあり、岡本に休みを与えられず、かつ一塁守備の負担を強いるしかない状況を、指揮官は苦慮していたのだろう。

メジャー1年目から攻守にわたる活躍を見せる岡本和真【写真:ロイター】メジャー1年目から攻守にわたる活躍を見せる岡本和真【写真:ロイター】

 メジャー移籍1年目。日本より圧倒的に休みの少ないスケジュールに加え、時差を伴う移動による疲労は、岡本の体に確実に蓄積されている。さらには、慣れない環境で生活したり、チームでは“新入り”として気を遣ったり。いずれも承知の上で決めたメジャー移籍であっても、実際に経験して初めて分かることもある。

 シュナイダー監督の言葉を伝え聞いた岡本は、「慣れないことっていうのは、もう8月ですしね。疲れもあるのかって言われたらアレですけど、みんな一緒だと思いますし、そこはあんまり変わらないかなって。シンプルに僕が打てていないから、(監督は)そういう言い方をしてくれたんじゃないかなと思います」と潔かった。

左膝に自打球、心配した監督が駆け寄ると…“まさか”の反応

 ただ、15打席ぶりの安打の2球前に当てた自打球は、疲れの影響を否定はできないように見えた。カウント2-2から内角に沈む95マイル(約153キロ)のシンカーを捉えにいったが、打球は左膝内側を直撃。痛みのあまり打席から外れ、深呼吸を繰り返した。トレーナーと通訳を伴い、心配そうな表情を浮かべながら駆け寄ったシュナイダー監督が、この時の様子を振り返る。

「駆け寄った時の様子から『いいか、どんな感じがするか正直に言ってくれ。痛いんだったら言わなきゃダメだぞ』と伝えたほどだった。でも、返ってきた答えは『次は何を投げてくると思います?』(笑)。これは大丈夫だなと分かったよ。『スイーパーを狙うんだ』と伝えたけど、打ったのはシンカー。アドバイスに耳を貸さなかった岡本が正しかったようだ(笑)」

 緊迫した場面でも周囲をクスッと笑わせ、その場を和ませるセンスは、まだ健在。肉体的な疲労は隠せないが、精神的にはもう少し余裕がありそうな点に一筋の光明が見える。それでも岡本が正念場を迎えていることは周囲の目にも明らかだ。岡本のことが大好きなゲレーロJr.は、こうメッセージを送る。

「誰が見ても疲れているのは明らか。だから、とにかく下を向かずに行こうって話をしたんだ。とにかく前に進むこと。長いシーズンだから、不調な時があっても一生続くわけじゃない。必ず上向く時は来る。たまには80%くらいの力でプレーして、残りのエネルギーを次のために溜めておいてもいいんだよって」

打線をけん引する岡本和真(左)とブラディミール・ゲレーロJr.【写真:ロイター】打線をけん引する岡本和真(左)とブラディミール・ゲレーロJr.【写真:ロイター】

 ディラン・シーズ投手やマイルズ・ストロー外野手らチームメートはもちろん、関係者が「頼りになるし、面白い」と口を揃える岡本評。チームにはすっかり“愛されキャラ”として馴染んでいる様子で、みんなが岡本の背中を押している。

 9日(同10日)現在、チームは地区最下位ではあるが、ワイルドカード出場圏まで3.5ゲームとまだプレーオフ出場の可能性は消えていない。ここから一気に追い上げるためにも、しっかりと踏ん張って乗り越えていきたいところだ。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

RECOMMEND

CATEGORY