DeNAで知った「新たな自分」 阪神→巨人を経て…馬場皐輔が見据える「役割」、31歳を変えた取り組み

3球団目となるDeNAでさらなる成長を見せる馬場皐輔【写真:町田利衣】3球団目となるDeNAでさらなる成長を見せる馬場皐輔【写真:町田利衣】

8日に移籍後初登板→勝利投手で上がったお立ち台は「いい景色でした」

 背番号「115」で上がったお立ち台。そこから見た景色は、輝いていた。DeNAの馬場皐輔投手は「青いライトが綺麗で、いい景色でした」と感慨に浸る。8月8日の広島戦(横浜)、3-3の延長11回から移籍後初登板を果たすと、2回1安打無失点3奪三振。12回に筒香嘉智内野手のサヨナラ本塁打が飛び出し、阪神時代の2023年以来、3年ぶりの白星を掴んだ。

 7月30日に支配下契約が発表され、背番号は「96」になった。しかしこの日は新しいユニホームが届いておらず、育成時代の「115」を着用していた。お立ち台に上がったのは、2020年以来だという。「6年ぶりなので、ここ最近で一番、マウンドよりも緊張しました。落ち着いて喋らないとやばいなと思って、めっちゃ考えましたよ」と笑った。

 2017年ドラフト1位で阪神に入団。2022年には44試合に登板するなどブルペンを支えた。2023年オフの現役ドラフトで巨人に移籍するも、在籍2年間でわずか9登板に終わり、2025年限りで戦力外に。今季、育成でDeNAに加入した。

 キャンプは1軍に同行し、オープン戦でも4試合に登板した。実力者ながら、なかなか声が掛からなかったが、2軍27試合で防御率2.22の成績を残し、期限ギリギリでついに支配下切符を手にした。

アナリストの助言を受け、データを活用しながら「自分を知る」

 自身3球団目。31歳にとって、新天地は「新たな自分」と向き合う日々だ。「自分を知るというのが一番大きかったかなと思います。いろいろな側面から自分を見ることができて、そういう意味ですごくいい時間を送れていると思います」。アナリストらの助言を受け、データを活用しながら新たな取り組みに挑んだことが、技術向上に繋がった。その取り組みについて、馬場が明かす。

「まずフォームの測定をしながら、自分のフォームの力の伝わり方を見直して、課題としてやってきました。フォームの微調整というか、重心の意識付け。いろいろなトレーニングをしながら重心を意識付ける。トレーニングとセットでやらないと直らなかったので、今も継続してやっています。また配球面では高めを使ったり、より幅が広がったと思います」

 春先から取り組み始め、まだ途中段階だ。「そんなにすぐ結果は出ないので、じっくりやるしかない。何回も何回も反復です。トレーニングをして投げて、またトレーニングをして投げて、照らし合わせて、測定してどうなのか。それを地道に毎日やっています。直ってきたので続けるしかないですし、まだまだ直していくしかないです」と力強く語った。

2軍ではデータを活用しながらフォームなどを見直した【写真:町田利衣】2軍ではデータを活用しながらフォームなどを見直した【写真:町田利衣】

 支配下昇格には7月いっぱいという期限があった。70人という枠も決まっており、ほかの選手が支配下を掴めば、残る枠は狭まっていく。そんな世界にいるだけに、焦りを抱いた時期があっても不思議ではない。しかし経験豊富な右腕に、心の揺れはなかったという。

「いや、だって今、野球ができていること自体がありがたいことですから。育成でしたけど、1軍に上がったときに不安にならないように、1軍を見据えた投球を7月末の期限までやり切ろうと思っていました。上がったときにちょっと油断したなとか思わないように、それだけを心掛けていました」

巨人では在籍2年でわずか9登板「競争に負けて悔しい思いはしました」

 かつての“ドラ1”も、巨人では分厚い戦力層に阻まれ、戦力外の憂き目にあった。「ピッチング自体は落ちていなかったと思います。ただ競争に負けてしまって、そういうところで悔しい思いはしました」。野球ができなくなるかもしれない不安を味わい、その分、再びユニホームを着られる喜びも大きかった。

「今年は成長というのが課題で、キーポイントにしていたので、そこを目指しながらというか、自分をまた、より成長させていかないと自分を圧倒できないので、そういうところは大切にしています」。プロ9年目で迎えた移籍後初登板で「投球自体は2軍でやってきた通りできました」とチームの勝利を呼び込んだ。

 11日の中日戦(バンテリンドーム)では、ついに届いた「96」のユニホームで1-4の5回から3番手で登板した。先頭の阿部寿樹内野手に四球を与えたが、続く石川昂弥内野手を遊ゴロ併殺打に仕留め、最後は石伊雄太捕手を空振り三振。打者3人で終え、攻撃に流れを繋いだ。

背番号96のユニホームで1軍のマウンドに立った馬場皐輔【写真提供:産経新聞社】背番号96のユニホームで1軍のマウンドに立った馬場皐輔【写真提供:産経新聞社】

 シーズンは残り50試合を切っている。馬場は自らの役目を、しっかりと理解している。

「イニング途中だったらこういう投球をしないといけないとか、ポイントポイントで求められているものがあると思うので、それをやっていくだけです。点差が開いていたら大胆に、走者がいればじっくり、力で押すだけでなくボール球を使ったり。自分のピッチングというよりは、状況に合わせた投球。それが仕事なので、それだけを意識してやっていきます。チームにとって一番大事な2か月間になるので、その役割を大切にしていきたいと思っています」

 令和8年8月8日に挙げたプロ通算8勝目から始まったベイスターズでの物語。まだまだ末広がりの野球人生を歩んでいく。

(町田利衣 / Rie Machida)

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