阪神に3連敗も…専門家が称えた巨人の眼力 逆転Vのカギにあげた“不気味な能力”

同率首位で迎えた直接対決3連戦でスイープされるも残り39試合
■阪神 3ー2 巨人(13日・東京ドーム)
巨人は11日から13日まで本拠地・東京ドームで、同率首位で迎えた阪神との直接対決3連戦に臨むも3連敗。宿敵に3ゲーム差をつけられた。それでも今シーズンはまだ39試合残されている。元同僚の野球評論家は、橋上秀樹監督代行の手腕に逆転Vの可能性を感じている。(成績は全て13日時点)
3連戦でスイープされた巨人は、阪神との今季対戦成績が7勝13敗となり、5試合を残して負け越しが決まった。とはいえ、阪神との直接対決だけで順位が決まるわけではない。「優勝争いの行方はまだわかりません」。こう強調するのは、現役時代にヤクルト、日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)の4球団で通算21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏だ。ヤクルト、日本ハムで現役時代の橋上監督代行とチームメートだった経験がある。
「橋上監督代行には、人を見て、適材適所に当てはめる力があると思います。実際、阿部慎之助前監督の時にあまり出ていなかった選手が数多く重用されているでしょう」と指摘する。
阿部前監督の突然の辞任を受けて、5月26日に東京ドームで行われたソフトバンク戦から指揮を執っている橋上監督代行。以降のチームの成績は31勝25敗2分(勝率.554)で、今のところ前監督の下での24勝22敗(勝率.539)を上回っている。
2年目の浦田俊輔内野手は6月以降1番に定着し、リーグ3位の打率.283をマーク。13日の阪神戦の5回には、2死走者なしから右前打を放ち出塁し、すかさず二盗に成功した。2008年の鈴木尚広氏以来、巨人では18年ぶりにシーズン30盗塁の大台に到達。盗塁王争いで単独トップに立った。松本剛外野手との1・2番コンビも機能し定着している。
高卒2年目の石塚裕惺内野手も7月22日に1軍再昇格後、スタメン出場が増えている。今季育成選手としてスタートした22歳の笹原操希外野手は、6月に支配下登録と1軍昇格を勝ち取り、存在感を放っている。
「阿部前監督も好きだったし、癖を見つける名人もいる」
「橋上代行は2軍から推薦があったら、パッと1軍に上げて使い、結果を出させている。当たり前のようですが、なかなかできないことです。下から上がってきた選手を使うには、レギュラークラスやベテランを外さなくてはいけないわけですから」と野口氏は称える。
13日の阪神戦では、2軍から昇格させたトレイ・キャベッジ外野手と中山礼都外野手を即スタメン起用。キャベッジは4打数無安打3三振だったが、中山は3回に左中間へ先制1号2ランを放った。
一方、スタメン出場が減ったベテランの坂本勇人内野手も、代打では打率.316(19打数6安打)1本塁打7打点、出塁率.391と活躍。丸佳浩外野手も代打で打率.323(31打数10安打)2本塁打11打点、出塁率.400を誇り、決して腐らせてはいない。
橋上監督代行の持ち味は、起用面だけではない。野口氏は「阿部前監督もそうでしたが、橋上監督代行は相手投手の癖を見つけるのが好きです。しかも巨人には、癖を見つける名人の西山一宇さん(チーム戦略室長)もいる。これは、ひょっとしたら、なのですが、何か(13日に対戦した阪神先発の)下村(海翔投手)の癖を見つけていて、球種をある程度予測できたのではないか。そう勘繰りたくなるほど、初対戦の下村に各打者がタイミングを合わせていました」と指摘するのだ。
3回の中山の先制2ランは、第1打席で4球目の初見のストレートをとらえたもの。4回の攻撃では、先頭の泉口友汰内野手が下村の内角高めのストレートをジャストミートし、右翼線二塁打で出塁。1死後には大城卓三捕手が、ストレート、カットボールを見送った後、3球目の122キロのカーブをとらえ、中前に運んだ。この回、下村は石塚が放った痛烈なピッチャーライナーを見事な身のこなしでダイレクトキャッチし、追加点を阻んで結果的にプロ初勝利を挙げた。しかし、橋上監督代行が率いる巨人の調査・分析能力は実に不気味である。
巨人に選手として在籍経験のない人物としては、戦後初めて指揮を執っている橋上監督代行。その采配は他球団にとって脅威だ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)