村上宗隆、必然だった活躍 監督が確信した“春の光景” 広がる輪…“弱小軍団”を変えた本質

タイガース戦で27号を放ったWソックス・村上宗隆【写真:ロイター】タイガース戦で27号を放ったWソックス・村上宗隆【写真:ロイター】

ベナブル監督が絶賛、村上宗隆は「最高のインパクトを与えてくれている」

 ホワイトソックスが好調だ。15日(日本時間16日)の敵地タイガース戦に勝利し、今季成績を63勝58敗としてア・リーグ中地区の首位に立っている。過去3年連続100敗以上を喫したチームを大きく変えたのが、この日27号を放った“ルーキー”村上宗隆内野手だ。若いホワイトソックスにあって、ウィル・ベナブル監督は村上の「経験に期待したい」と頼りにしている。

 村上やカルソン・モンゴメリー内野手、ミゲル・バルガス内野手らの活躍もあって5月下旬には貯金を作り、地区首位の座を掴んだ。“たまたま”と見られていたホワイトソックスの躍進だが、後半戦に入っても勢いが衰えることはない。地元シカゴのファンからは「ジョークにしかならなかったチームが、まさかの真剣勝負を続けている」「これが本来の姿」など驚きや喜びの声が続々上がっている。

 もちろん、その中には村上加入による影響の大きさを指摘するものもある。太平洋を越え、日本からやってきた26歳の若武者がチームに与えたインパクトの大きさは、就任2年目の指揮官も認めるところだ。

「ムニー(村上の愛称)は最高のインパクトを与えてくれている。ムニー本人も最高な人物。入団したその日から、チームにとってとても特別で意味ある存在となっている」

 村上が驚くべき速さでチームに溶け込んだことはご存じの通り。ベナブル監督は村上が備えるコミュニケーション能力の高さをスプリングトレーニングの頃から感じていたという。

「内野ノックを受けている時、ムニーが積極的にマイドロスとコミュニケーションを取る姿を見かけたんだ。すると、次はバルガス、アントナッチと次々と我が広がっていった。言葉の壁は多少あったかもしれないが、ムニーはその壁をぶち壊して、チームメート一人ひとりと交流を図るように努めていた。だからこそ、チームメートは喜んで彼を仲間として迎え入れたし、開幕以来ムニーが披露し続けるパフォーマンスはアメージングの一言。違う国にやってきて、これだけ速く自然体でプレーできているのは素晴らしい」

1勝1敗が命運を左右する正念場、指揮官が期待する村上の経験

Wソックス・村上宗隆(左)とブレイデン・モンゴメリー【写真:アフロ】Wソックス・村上宗隆(左)とブレイデン・モンゴメリー【写真:アフロ】

 郷に入っては郷に従う、ではないが、誰しも新たな環境に身を置いた時は、その環境に慣れる努力をするだろう。ただ、環境に慣れることや合わせることに精一杯になってしまうと、本来の自分を見失ってしまうこともある。ベナブル監督いわく、村上は柔軟性と同時に芯の強さも持ち合わせた人物だという。

「ムニーは非常にプロフェッショナルで、トレーニングに関しては日本にいる時から続けているルーティンがある。決して手を抜くことなく、そのルーティンをやり通す強さを持っている。一方で、実はチームからトレーニングに関して少し違うアプローチや考え方をしてみないか、と持ちかけたことがあるんだ。その時もしっかりと聞く耳を持って、自分がいいと思ったことは積極的に取り入れる。ムニーはこのバランスが非常によく取れていると思う」

 左太もも裏の負傷から復帰した7月10日(同11日)以来続いていた連続出塁試合は8月13日(同14日)に「27」で途絶えたが、シーズン最終盤を迎えるここからの戦いでこそ、村上の存在と経験値が生きてくると指揮官は説く。

「ここから直面する優勝争いであったり、プレーオフ進出争いといったプレッシャーの掛かる場面や緊張の連続となるような状況を経験した若手選手たちは少ない。だからこそ、グリチックやベニンテンディといったベテラン選手や、日本一の経験やWBCを戦い抜いた経験を持つムニーの存在は大きい。一番大事なのは、しっかり腰を据えて状況を客観視し、慌てずに自分のやるべきことに集中すること。力みすぎず、いかに肩の力を抜いて試合に臨めるか。それはムニーが今、毎日していることで、その姿こそが若手選手の手本になると考えている」

 3年連続100敗以上のチームが、いきなり地区優勝するなんて漫画のような話――しかし、村上はヤクルト時代の2021年に2年連続最下位からの劇的な優勝を果たした経験を持っている。焦ることなく、自分たちの力を信じて戦い抜くことがいかに大切か。ここからのホワイトソックスがどんな底力を見せてくれるのか、期待したい。

ベンチでWソックスナインとハイタッチする村上宗隆【写真:ロイター】ベンチでWソックスナインとハイタッチする村上宗隆【写真:ロイター】

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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