復活の階段を歩み始めている。昨年オフに楽天を戦力外となり、ロッテと育成契約で新加入した山崎剛内野手。6月5日に支配下契約を掴んだ30歳は、ここまで30試合に出場し、打率.257ながらも守備などで存在感を示している。楽天時代に1度はレギュラーの座をつかみかけたが、無念の戦力外通告――。再び1軍の舞台に立つまでには、険しい道のりがあった。
「まだまだこれから体のキレが出てくると思うので、キャンプに行っているみたいな感じです。膝がしっかり使えているので、めっちゃ筋肉痛です」。野球ができる喜びをかみしめ、大量の汗を流しながら練習に励んでいた。
2017年ドラフト会議で楽天から3位指名を受け、国学院大から入団した。5年目までなかなか結果がついてこなかったが、6年目には自己最多となる117試合に出場し、レギュラーの座をつかみかけていた。しかし、そこから状況が一変する。翌2024年は、わずか5試合の出場にとどまると、2025年シーズンは1軍出場がなく、同年オフに楽天から戦力外通告を受けた。
戦力外通告を受けたとき、山崎に大きな感情の波はなかった。前年から1軍でプレーする機会がなく、左膝の状態も思わしくなかった。2025年には自家骨軟骨柱移植術を受けるなど、長く怪我と向き合ってきた。自分自身でも、置かれている状況は理解していた。そんな中で届いたのが、ロッテからのオファーだった。
芽生えた思い「早く戻らないといけない」
「本当にありがたかったです。不安はありましたけど、しっかり治して必要とされるようになろうっていう、前向きになれました」
もう一度、野球ができる場所がある。その事実が自身を鼓舞した。育成選手としてのスタートに不安を抱えながらも、まずは膝の回復に努めた。
新天地で開幕を迎えながらも、シーズン序盤は痛みが残っていたという。「本当に治るのかな」と思いつつも、今、自分ができる練習を続けながら、少しずつ状態を上げていった。
「本当にもう1回(1軍のグラウンドに)来られているんだ、というか、去年、一昨年を考えたら、あんまり想像できなかったです。でも、今年の最初も膝が痛かったですし、本当に治るのかなっていうなかでやっていましたが、着実によくなってきました」と表情は明るい。
復帰への過程で支えとなったのが、周囲の存在だった。トレーナーをはじめ、スタッフに気にかけてもらうことで、山崎にも「早く戻らないといけない」という“恩返し”の思いが芽生えていった。
再び1軍へ…新天地で感じた変化
6月5日に待望の支配下契約を勝ち取ると、同日に1軍昇格。チームの期待の大きさを感じながらも、プロの世界で定着することは簡単ではない。同14日に出場選手登録を抹消され、再び2軍で調整。約1か月後の7月10日に再昇格を果たした。
悔しい日々を過ごしたからこそ、2度目の昇格では以前とは違う感覚で臨めている。「久々の1軍で、前回はあたふたしていましたが、しっかり1回切り替えて、今回は全然入りが違います」と手応えを口にする。
1軍で結果を残すことだけに目を向けるのではなく、限られた時間の中でどう準備し、どう自分の状態を整えるか。これまでの経験を糧に、再び1軍での戦いに臨んでいる。
新天地で感じたのは、自身の変化だけではない。チームの雰囲気にも違いがあった。「ロッテは個に任されてる感じです。雰囲気もいいですし、やりやすいです」と、すっかり溶け込んでいる。
自らに課した“18盗塁”のノルマ
育成から支配下へ。そして1軍へ戻った。だが、ここで満足するつもりはない。残りのシーズンで、自らに課している明確なノルマがある。
「盗塁をアピールしていきたいです。膝を怪我しても、まだまだ走ることはできるし、本当に必要とされるところで結果を残していけたらなと思っています」
目標は18盗塁と語った山崎。膝の怪我で離脱していたからこそ、もう1度、自分の武器を取り戻したことを証明したい。
戦力外通告、怪我と1度はプロ野球選手としての道が途切れかけた。“未来”が見えないなか、ロッテからの声をきっかけに前を向くことができた。30歳で迎えた新たなスタート。
8月12日のソフトバンク戦では、自身3年ぶりとなる本塁打も放った。ますます必要とされる選手になるために、再びその存在価値を示していく。