野球人口減少の打開策に? NPBが提言する“新授業”…元プロも期待「ルールを作ってほしい」

初心者も気軽に取り組めるように教本、DVDも制作
学校の授業に“ベースボール型”のスポーツを採り入れてもらおうと、NPB(日本野球機構)が主催する「エデュすぽ!〜教員のための体育授業研究会〜」が17日、京セラドーム大阪で小学校の教員らを対象に行われた。現役の小学校教員、教員を目指す学生らが午前の部に112人、午後の部に101人、合計213人参加した。
この日は午前・午後を通じて、元阪神の桧山進次郎氏と元オリックスのT-岡田氏がゲスト講師、元プロ野球選手や各球団スタッフが講師を務める一方、現役の教員でNPBと協働し、ベースボール型授業の普及を推進している“共創コーディネーター”も運営に携わった。
NPBでは、野球初心者にも気軽に取り組める様々なベースボール型授業を提案し、教本やDVDの制作も行っている。
たとえば、小2向けとされる「キャッチ&ランゲーム」は、5人対5人(もしくは6人対6人)で行う。基本的に、スポンジに樹脂コーティングを施した柔らかいボールをティースタンドに置き、プラスチック製のバットで打つ。フライアウトはなく、守備側はボールを捕球した選手の下に全員が集まり、そろって「アウト!」と声をかける
攻撃側の選手はボールを打った後、守備側から「アウト!」と声をかけられるまで、ひたすらダイヤモンドを走る。一塁まで到達すれば1点、二塁までなら2点、三塁までなら3点、本塁まで還ってくれば4点を獲得。さらに、ボールを打った後、本塁の近くに設けられた“バット点ゾーン”にきちんとバットを置いた選手にはもう1点加算され、最高5点まで獲得できる。打者一巡したらチェンジとなる。
小5向けの「フォースプレーゲーム」は、基本的なルールは同じだが、守備側の選手がボールを持って打者走者の到達よりも早くベースを踏めばアウトとなる。守備側としては、走者の動きを見ながら、捕球した選手がどの塁へ投げるかが鍵になる。

「プロ野球の観客動員は増えているのに、競技人口が減っている」
この日の研究会では、参加者の教員らが実際に“模擬授業”を行い、時おり大きな歓声を上げながら捕り、投げ、打ち、走ることに取り組んだ。
T-岡田氏は「一緒に野球ができて楽しかったです。参加者の先生方も子どもに戻ったような、いい表情をされていた。大人が楽しまないと、子どもも楽しめませんから、本当によかったと思います」と目を細めた。
「プロ野球の観客動員は増えているのに、野球の競技人口は減っている。この状況を、野球をやってきた人間はもっと考えなくてはいけないと思います。野球を観る楽しみだけでなく、やる楽しみを感じてもらえるように、ハードルを下げて身近に感じてもらうことが必要ではないでしょうか」と提起。「こういう野球に近いスポーツを授業の一環として取り入れてもらえたら、うれしいです」と唇を綻ばせた。
もし適当なボールがなければ、新聞を丸めてテープで巻いたもので代用してもよく、環境に応じてルールを変えても構わないとされている。桧山氏は「この研究会は、あくまできっかけに過ぎません。先生方には各学校に持ち帰って生徒たちと話し合いながら、アレンジを加え、ルールをつくっていってほしいと思います」と話す。
共創コーディネーターの1人である大阪・中条小の安本直哉さんも「たとえば、車椅子が必要な選手がいるなら、打った後すぐに代走を出せるルールをつくるとか、みんなが楽しめるように変えていってほしいです」とうなずいた。
一方、参加者の1人である大阪・三先小の浅井公太さんは「すごく楽しかったです。私自身は野球と無縁の人生を送ってきましたが、最近は小学校のどの学年でも、1年に1回くらいは授業で野球を扱っています。自分なりに本などで勉強してきましたが、実際に経験したことで学べたことがありました。子どもたちにこう伝えた方がいいな、という気付きもありました」と収穫を得ていた。
全国の小学校に“ベースボール型”の授業が浸透すれば、自ずと野球人口の減少にも歯止めがかかるはずだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)