防御率4.82から1.82へ劇的改善、前田健太“復活”の背景 活路見出した原点回帰、本来の姿示す9.6%

復活を遂げた6月以降の安定感
今季から楽天でプレーする前田健太投手は、広島でプロのキャリアをスタートすると、順調に実績を積み上げてエースに君臨。2016年にメジャーへ移籍し、10年間で226試合に登板、68勝をマークした。
だが、久々のNPB適応には時間を要した。持ち味の制球が振るわず、5月までは防御率4.82と苦しんだ。それでもプロ20年目のベテランは2軍調整を経て、6月以降は34回2/3を投げて、与四球はわずか2、防御率1.82と本来の安定感を取り戻した。
メジャー時代はストレートの割合を抑え、スライダーとスプリットを中心に組み立てていた。NPBに復帰した今季も、同様のスタイルで開幕し、5月まではこの2球種で全体の7割近い割合を占めていた。
しかし、6月以降はスプリットの割合を下げ、ストレートとカーブを増やした。メジャー時代の配球から、広島時代の組み立てに回帰した形だ。
配球変更の理由は、球種別のストライク率にある。すべての持ち球を自在に操る前田は、NPB復帰後2か月はスプリットのストライク率がリーグ平均を下回る52.6%にとどまり、浅いカウントでストライクを稼ぐ球種として機能していなかった。そのため、精度に不安のあったスプリットをストライクの取れる球種に置き換え、投球の安定化を図ったとみられる。
省エネ投球でつかんだNPB通算100勝、杜の都の頼れる新戦力
6月以降はスライダーの精度も向上した。ボールが先行した打者有利のカウントでは、スライダーの割合が約6割を占める。
投手不利を打開する最大の武器は、6月以降は同状況でストライク率が83.6%をマーク。ボールが先行しても、絶対の自信を持つスライダーですぐにカウントを整えられる。
カウントを稼ぎ、ボールが先行してもスライダーで整える。この修正により、6月以降は打者を追い込むまでの平均球数が2.82に減少。これは西武の隅田知一郎投手や日本ハム・加藤貴之投手らと同程度で、リーグトップクラスの少なさだ。3ボールまで進んだ打席も5月までの26.7%から6月以降は9.6%に劇的改善。抜群の制球力で抑える本来の姿を取り戻した。
一方、不調の要因となったスプリットも完全に封印したわけではない。カウントが浅い段階での割合を減らした6月以降も、追い込んだ後の割合は不変。低めに投げて空振りを誘う役割が明確になり、ボールゾーンのスイング率や奪空振り率が向上、決め球として機能している。精度が戻れば再びカウント球としても使え、投球の幅はさらに広がる。
8月12日のオリックス戦で7回2失点と好投し、史上145人目のNPB通算100勝を達成した。苦しい戦いが続いている楽天に加わった右腕は、杜の都に再び栄冠をもたらすべく、勝利を積み重ねていく。
※数字はすべて19日終了時点
(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)