巨人・田中瑛斗のシュートが難攻不落なワケ DeNA牧&宮崎が分析…小林誠司は“異なる見解”「なかなか投げられない」

田中瑛斗は20日のDeNA戦で32ホールド目をマークした【写真:荒川祐史】田中瑛斗は20日のDeNA戦で32ホールド目をマークした【写真:荒川祐史】

巨人移籍2年目も躍動…12球団トップの32ホールド

 鋭い切れ味で今年も打者を泣かせている。巨人・田中瑛斗投手は移籍2年目となった今季も躍動。代名詞でもあるシュートを武器に凡打を量産し、勝ち継投の一角として存在感を放っている。セ・リーグを席巻する“魔球”について、小林誠司捕手や対戦相手でもあるDeNAの宮崎敏郎、牧秀悟両内野手を直撃した。

 27歳の田中瑛は2017年ドラフト3位で柳ヶ浦高(大分)から日本ハムに入団。2024年までの7年間で1軍登板はわずか10試合にとどまったが、同年オフの現役ドラフトで巨人へ移籍すると人生が激変した。

 初年度の2025年はチーム2位タイの62試合に投げて36ホールド、防御率2.13と一気に覚醒。今季もここまで47試合に登板して防御率1.80、12球団トップの32ホールド、2セーブをマークしている。そんな田中瑛の投球を支えているのが、宝刀でもあるシュートだ。

 今夏、監督選抜で「マイナビオールスターゲーム2026」に初出場。7月28日の第1戦(東京ドーム)ではマウンドにあがると、打席のフランミル・レイエス外野手(日本ハム)に対し、帽子のつばの裏に記した「シュートいきます」を見せてアピールしたことでも話題となった。

田中瑛斗の“アピール”は、東京ドームのビジョンにも映し出された【写真:栗木一考】田中瑛斗の“アピール”は、東京ドームのビジョンにも映し出された【写真:栗木一考】

 変化の鋭さを証明したのが8月18日のDeNA戦だった。同点の9回に登板し、残念ながら敗戦投手となったが、1死からの牧との対戦が印象的だった。カウント2-2からの6球目、150キロのシュートは内角ストライクからボールゾーンへの軌道となり、スイングした牧の右膝への自打球を誘った。さらに8球目の150キロのシュートも同様に自打球。フルカウントからの9球目のシュートも牧は打ちにいったが、変化が大きく右手首付近への死球となった。

 さらに1死満塁で打席に入った宮崎も、内角へ食い込んでくるシュートにバットを出すと、右膝付近への自打球となった。異例ともいえる1イニングで3度の自打球。リーグを代表する右の強打者コンビは、田中瑛のシュートを興味深く分析した。

DeNA宮崎が明かす攻略が難しい理由、牧が語る“想定外”とは

「それはもう、球の速さもありますし、曲がり幅もあるんですけど、思ったところよりも、もう1個入っているっていう感じです。なのでポイントが合わないというのが武器なのかなと思います」。想定を超える軌道で、内角を“えぐって”くると説明したのは牧だ。

 投げた瞬間は内角ストライクゾーンへのストレートに見えるのだという。「打てると思って打ちにいっていますけど、映像で見たらボール球を振っているみたいなことは多いですね。でも、あれを打たないと始まらないと思いますし、そこの見極めは難しいですけど、自分も今そこは試行錯誤しながらって感じですね」。

 そして天才的なバットコントロールで知られる宮崎は「曲がり幅もすごいですし、打者に食い込んでくる。右バッターは嫌なボールだなと思う」と語る。さらにシュートと“対”となる球種がやっかいだと続けた。

「スライダーがあるので、同じところからどっちかに曲がる。プラス曲がり幅も同じぐらいあるって感じなんで。その両方を追うことは、なかなか難しいけど、どこのコースをどこまで、どのぐらいの曲がりでどこまでを反応するかっていうのは、打席で決めていかないとやっぱ難しいボールになるのかなと思います」

 途中までの軌道は同じ。一定のポイントからシュートなら内角、スライダーなら外角へ同じような幅で曲がっていくため、攻略が難しい。宮崎は対戦ごとに、その日の田中瑛の球速、変化量、さらに自分の調子などを考慮した上で「見極めながら、という感じになりますかね。ここから曲がったらこうしよう、というのはありますね」と明かした。

小林誠司が称賛「あのボールはなかなか投げられない」

 試合中のブルペンで、田中瑛の球を受ける機会が多い小林もその威力を語る。「まあ、わかっていても打てないところがすごいんじゃないですかね」。牧、宮崎は変化量の大きさを認めていたが、小林の“視点”はやや違った。

小林誠司は田中瑛のシュートに無類の“強さ”を感じている【写真:荒川祐史】小林誠司は田中瑛のシュートに無類の“強さ”を感じている【写真:荒川祐史】

「変化、軌道というよりは、やっぱ投げっぷりというか、気持ちの強さというところがすごいと思います。一番自信があって、強い球を投げ切れるっていう。シュートは当ててしまう確率も高いですし、それをしっかり操ることができているというところは強みだと思います」

 甘く入れば痛打されるのは当然だが、内角を狙いすぎると曲がって死球になるリスクも高い。小林は「弱気というか、そういう気持ちが少しでもあると、あれだけ投げられないと思う。やっぱり、田中瑛斗と言ったら、もうシュートのイメージがついていると思う。その中でもどんどん、どんどんシュートを投げて勝負していける。そこが彼の一番の強みかなと思います。メンタルの強さがないと、あのボールはなかなか投げられないですよ」。

 どんな場面でも臆せず、強気に攻める。シーズン終盤へ向け、田中瑛は右打者の内角をえぐり続けていく。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

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