阪神にまた現れた“勝ちパ候補”「誰を外すの?」 専門家が称えた23歳右腕「計算に入れていい」

育成ドラフト1位・神宮、デビューから7試合連続無失点
強力な救援陣の中で、また逸材が頭角を現している。セ・リーグ首位の阪神は23日、横浜スタジアムでのDeNA戦に5-3で勝利。2連勝として2位・巨人に3.5ゲーム差をつけた。7回に登板した育成出身の神宮僚介投手は、打者2人を完璧に封じて無失点。7月3日に支配下登録された23歳右腕は、デビューから7試合連続無失点と存在感を増している。
3-2と1点差に詰め寄られた7回1死一塁。この日2安打を放っている4番・エンカーナシオンを迎えた場面で、神宮が4番手でマウンドに上がった。2球目の内角直球で三ゴロに仕留めると、続く宮崎も直球で一ゴロ。相手に傾きかけていた流れを、再び阪神に引き戻した。
東京農大北海道オホーツクから2025年の育成ドラフト1位で阪神に入団。7月に支配下登録され、8月8日の中日戦(京セラドーム大阪)で1軍デビューを果たすと、ここまで7試合で計6イニングを投げて許した安打は2本のみ。四球は1つだけで8三振を奪い、無失点投球を続けている。
横手投げからナチュラルにシュートする直球は140キロ台中盤をマーク。現役時代にヤクルト、日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)の4球団で、通算21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「あの球は、やっぱり右打者は嫌でしょう」と解説した。
「最近はサイドスロー、アンダースローが少なくなってきた中で、凄くアクセントの利く存在なんじゃないかなと思います。サイドスローから146キロとか出ている。あの投げ方だとナチュラルにシュートする。もう大きな戦力になっていると思います。計算に入れていいピッチャーだと思います」
阪神救援陣は今季、2年目の工藤泰成投手が新守護神に定着しつつある。同じく2年目の木下里都投手も勝ちパターンの一角を担っている。2人はともに160キロを超える直球が持ち味の本格派右腕。クセ球を武器とする、タイプの違う神宮も、入団1年目から早くも欠かせない存在となっている。
球自体も非凡だが、野口氏は精神面も高く評価。「何より度胸というかマウンドさばきが素晴らしいですよ。全然慌てない。ピンチに出ていっても動じず、普通に投げ、抑えて帰ってくる。そこが素晴らしい」。今後については「右打者が続くところで使われると思います」と推測した。

2軍戦で石井大智が復帰「リリーフもローテーション制」
「今は右打者のところで“右キラー”という感じで結果を出していますけど、これからは左打者にも投げなきゃいけない状況も出てくると思います。そのときにどうやって乗り切っていくか」と、野口氏は課題も指摘したが、伸びしろは十分で、楽しみな部分が多い右腕だ。
この日は2軍戦で、石井大智投手が復帰登板。2月にアキレス腱を断裂して離脱していたが、152キロを計測するなど1軍復帰の道も見えてきている。昨季50試合連続無失点を記録した右腕の実戦復帰は朗報である一方、救援陣が充実しているだけに、チームにとってはうれしい悩みが増えることになる。
「これ『どうすんねん』って感じです。石井が戻ってくるってなったとき、誰を外すのでしょうね。リリーフもローテーション制でいけそうな感じになっています。うれしい悲鳴ですよ。先発投手は5回まで投げればOKみたいになる。短期決戦になると、どんどん代えていける。そう考えると、やっぱりタイガースが頭一つ抜けている感じがします」
2位・巨人とのゲーム差を3.5に広げ、2年連続リーグ優勝に突き進む阪神。28日からは甲子園で巨人との3連戦が控える。「この3連戦は、リリーフ陣は全員3連投する感じで臨むと思います。これだけメンバーがそろってくればいける。阪神が勝ち越せば、優勝の確率はかなり高まるでしょう」と野口氏は見ている。
ペナントレースが佳境を迎えた時期に、個性的なタイプの投手が戦力として計算できるのは心強い限り。いまだ失点を許していない育成出身ルーキー神宮の存在が、リーグ連覇を目指すチームを加速させていく。
(尾辻剛 / Go Otsuji)