昨季は球宴出場、規定打席到達も…今季は打率1割台に低迷
相手投手より、自分自身との戦いに苦しんできた。ロッテ・寺地隆成捕手は3年目の今季、2度の2軍落ちを経験。持ち味の左右に打ち分けるシャープな打撃を発揮できていない。打率は1割台に低迷。不振の原因は「メンタル面」と自己分析する。
「相手に研究されているというよりは、どうしても自分から崩してしまっているということが多いのかなと感じています。やっぱりメンタル的にやられてしまって、初球から打ちにいけないとか、そういうのがありましたね」
活躍すれば相手のマークは厳しくなる。攻め方も変わってくる。考えさせられ、悩むのは当然だろう。経験の浅い若い選手なら、なおさらだ。自分の打撃を見失い、甘いファーストストライクに手が出なくなっていた。
明徳義塾高から2023年ドラフト5位指名を受けて入団。1年目の2024年は2軍で104試合に出場してイースタン・リーグ2位の打率.290といきなり片鱗を示した。10月には1軍に初昇格してプロ初打席で二塁打。シーズン最終戦ではスタメンマスクも経験した。
2年目の昨季は開幕1軍。4月は13試合に出場して32打数11安打で打率.344をマークした。徐々に出場機会を増やして正捕手の座をつかみ、監督推薦で球宴にも初出場。終盤は失速して打率.256まで下がったものの、規定打席にも到達するなどブレークの1年になった。
今季も開幕1軍。開幕直後は打率が3割を超えるなど順調に安打を重ねたが、4月15日の日本ハム戦(ZOZOマリンスタジアム)で5打数無安打に終わって打率3割を切ると、徐々に数字が下降した。5月に入ると打率1割台に低迷。6月10日に2軍落ちした。同30日に1軍復帰も状態は上がらず、8月3日に再び2軍落ち。積極性を失っていた自身の打撃を見つめ直した。
「タイミングをしっかり取る中で、自分の強いスイングをするということを一番、心がけています」。8月19日に1軍復帰。「状態は良くも悪くもない。今回は少し上がってきているように思うし、ボチボチって感じです」と試行錯誤は続く。
諦めない正捕手の道「どちらでも勝負できるように」
自身の打撃を「良いところは、当てるのが得意」と説明する。ただ「ボールに対して当てるのが得意なんですけど、悪く言ってしまえば手打ちになってしまうということが多い」と口を引き締める。意識して積極的にバットを出す中、「良い部分と悪い部分をしっかり自分の中で確認して、しっかり強いスイングをする」ことを心がけている。
サブロー監督は寺地の打撃に関して「教えることはない」と評したことがあるほどセンスを認めている。2軍監督だったルーキー時代も「悪いところはあるけど、あまり教えてない」という。技術面は非凡で、あとはプロで生き抜く上での精神面と体力面が必要になってくる。
体重に大きな変化はないというものの、上半身は「筋量が増えました。去年より大きくなったと思います」とたくましさを増している。高卒3年目の21歳は線の細さを感じさせず、「もっと足を太くしたい。ガッチリしたいですね」とさらなるパワーアップを図っている。
捕手登録ながら、今季は一度も捕手での出場はなく、主に三塁で起用されている。高校時代も2年夏まで守っていたポジションだが、プロは明らかにレベルが違う。「緊張感と打球の強さとか全然違います」と戸惑いはあるものの、「やり始めて間もないので、難しいプレーをするのは急には無理だと思う。1つずつ丁寧にアウトを積み重ねることだけを考えています」と前向きに取り組む。
もちろん、捕手を諦めたわけではない。いずれは正捕手を争いたい気持ちは「自分の中では全然あります」と力を込める。「三塁もやらせてもらって自分の引き出しが増えていると思う。どちらでも勝負できるように、自分でもレベルアップできればなと思います」と三塁挑戦をプラスに捉え、飛躍の足がかりにしたい考えだ。
「7番・三塁」で出場した25日のソフトバンク戦(ZOZOマリンスタジアム)では、難敵左腕のリバン・モイネロ投手から8回に中前打。2度目の1軍復帰後、5試合連続安打とした。ただ、翌26日の同戦は3打数無安打に終わり、同日終了時点で打率.181。苦悩は続くが「試合に出させていただいている以上はしっかり責任を持ってプレーします」と前を向く。
「数字は気にすることなく、自分の良さを消さないように、持ち味を試合で出せるようにやりたい」。まだ21歳。今の苦しみをこの先の野球人生に生かし、プロの荒波を乗り越えていく。
(尾辻剛 / Go Otsuji)