広島戦力外で後悔も…“吹っ切った”NPB 新天地で誓った恩返し「ここに入れたのは奇跡」

NTT東日本の韮澤雄也、都市対抗初ヒットで初戦突破「すごくやりがい」
華麗な流し打ちに、一塁ベース上で笑みがこぼれた。元広島でNTT東日本の韮澤雄也内野手が28日、東京ドームで行われた第97回都市対抗野球大会・日本製紙石巻戦に「8番・二塁」で出場。7回無死の第3打席で左前打を放って“都市対抗初安打”をマークすると、5点目のホームを踏み「僕は打つ選手じゃないですけど、1本出て良かったです」と安堵した。
負けたら終わりの一戦で、投打が噛み合ったチームは5-2で初戦を突破。「練習してきたことが初戦で出たのでよかったです。チームで戦っていく、それがすごくやりがいというか、そういう感じがいいなって思いました」と充実感を漂わせた。
花咲徳栄高から2019年ドラフト4位で広島に入団。プロ6年間で通算63試合に出場して打率.133にとどまり、2025年は1軍出場なく戦力外となった。「クビになったときはやっぱり後悔、悔しい感じがありましたね」と率直な思いを明かす。
「高卒だったので、何年かは土台をつくってからみたいな風潮があったので。最初は『怪我だけはするな』という感じでやっていましたが、やっぱりそれじゃあ遅かったなって。もっと1年目から自分ができることを精一杯やって、プレーすることを目標に……そこだけですかね。でも本当に、いろいろな人に恵まれたと思っています。社会人に来て、プロはすごく恵まれた環境でやっていたし、それが当たり前じゃなかったというのはすごく感じています」
スタンドには広島ユニを着たファンの姿も「いましたね。見えました」
12球団合同トライアウトを受験するもNPBからのオファーはなかったが、NTT東日本から声が掛かった。同社に元プロ選手が加入するのは珍しく、ましてやかつて所属経験のない選手を加えるのは超異例のことだった。だから韮澤も「僕がここに入れたのは奇跡でもあるので、すごく感謝しています」と言葉に力を込める。
この都市対抗を勝ち抜くことが今の最大目標だが、その先の新たな目標もできた。「堀(誠)さん(投手兼任コーチ)が10年連続出場表彰を受けられていて、本当にすごいことだと思って、そこに少しでも近づけるように。NTT東日本でしっかり活躍して恩返しできたらと思っています」。
まだ25歳だが「NPB復帰」は見ていない。「ここでやると決めて、チームに入ったときからです。すごく歓迎してくれて、それがうれしすぎて、すごくいいチームに入ったなって思って。だからもう吹っ切れています」と清々しい表情で言った。
オレンジ色に染まった一塁側スタンドには、広島のユニホームを着たファンの姿もあった。「いましたね。見えました」。6年間の経験も糧に、韮澤は選んだ道を進んでいく。
(町田利衣 / Rie Machida)