高校3年間で130→156キロの急成長 甲子園未出場から侍Jへ…巨人スカウトが評価する“強み”

高岡第一・前田侑大【写真:黒澤崇】
高岡第一・前田侑大【写真:黒澤崇】

今夏の富山大会で最速156キロ…高岡第一・前田侑大が覚醒を遂げた背景

「第14回 BFA U18アジア選手権」(7日開幕・台湾)に出場するU-18日本代表は3日、明大と7イニング特別ルールの練習試合を都内で行い、1-7で敗れた。3番手で登板した高岡第一の前田侑大(ゆうと)投手は、2回を投げて2安打1失点。「硬いマウンドに対応しきれず、球数が多くなってしまった。自信を持っているスライダーやフォークを投げきれなかったのが反省点です」と振り返った。

 富山県高岡市出身の前田は、小学2年で野球を始めた。中学時代は軟式野球でプレーし、高岡第一への入学当初もまだ無名の存在だった。そんな左腕が一躍脚光を浴びたのが、今夏の富山大会だ。2回戦の富山工戦で自己最速を一気に5キロ更新する156キロを叩き出し、続く3回戦の富山北部戦ではノーヒットノーランを達成。準決勝で高岡商に敗れ甲子園の土を踏むことは叶わなかったものの、鮮烈な印象を残した。

「友達からたくさんの連絡やメディアからの取材もありましたが、気にせずに大会に臨んでました。意識してしまうと力みにつながってしまうので」

 エリート街道とは無縁だった前田が急成長したのは、高校に入ってからだ。入学当初の球速は130キロ程度だったが、最後の夏には156キロをマーク。3年足らずで直球の球速を大きく引き上げた。

「スクワットやウエートトレーニングを下半身中心にやって、筋肉量は増えました。夏までに結構走り込みもやりましたし、自分の体調面を意識して管理していました」。地道な鍛錬の積み重ねが、大きな飛躍に結びついた。

高岡第一・前田侑大【写真:黒澤崇】
高岡第一・前田侑大【写真:黒澤崇】

巨人・森中スカウト「一番の魅力は、速い真っ直ぐ」

 全国大会の出場経験がない17歳が、高校入学時には「考えてもいなかった」という侍ジャパンのユニホームに袖を通し、代表合宿で汗を流している。

 8月29日に行われた「侍ジャパン U-18壮行試合 高校日本代表 対 大学日本代表」では、2番手で神宮球場のマウンドへ。雨でぬかるむ悪条件のなか、今秋ドラフト上位候補の渡部海捕手(青学大)のバットをへし折るなど、2回を1安打1失点(自責0)にまとめた。

 バックネット裏に日米のスカウト陣が集結するなか、昨秋から追い続けている巨人・森中聖雄スカウトは「ぬかるんだマウンドでも、ボールが乱れるところがありませんでした」と評価。「やっぱり一番の魅力は、速い真っ直ぐ。春からずっとコントロールは安定しているので、本人も自信を持っているんじゃないかなと思います」と、怪物左腕に熱い視線を送った。

 大会前最後の実戦を終えたU-18日本代表は5日に離日、7日の初戦(対香港)に臨む。国際大会という未知の舞台へ向け、準備に余念がない。「まだ硬いマウンドに慣れることができていないので、あと少しの期間ですけど調整して、大会では良いピッチングができるように」。

 球速130キロから積み上げてきた“雑草魂”を胸に、前田侑大はアジアの頂点を掴みにいく。

(神吉孝昌 / Takamasa Kanki)

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