元阪神のピアース・ジョンソン投手は今季レッズと単年契約を結び、ブルペンを支えている。2019年に加入し、“魔球”のパワーカーブを武器に58登板で40ホールド、防御率1.38の無双。すぐに阪神ファンの心をつかみ、「PJ」として愛された。「阪神に入団を決めたことは、今までの人生で最高の決断の一つだよ」。年齢も30代中盤を迎え、将来のキャリアについても触れた。
わずか1年のプレーだったが、日本球界に残したインパクトはすさまじかった。セットアッパーを任され、直球とカーブを武器に58回2/3イニングで91奪三振。ほぼ2球種ながらも、安定感抜群のピッチングを披露した。
前年の2018年はMLBのジャイアンツでプレーしてFAに。その後はマイナー契約の打診しかない中、日本からオファーが舞い込んだ。「当時の僕にとって、ある意味ぴったりだった。マイナーに行くよりも、大きなことがしたかった。そして日本に行くことを決めて、結果として最高だったね」。
日本での活躍もあり、2019年オフにパドレスと契約し、2021年に63登板。その後もロッキーズ、ブレーブスと渡り歩き、2023年には2球団で計67試合に登板するなど、同年から3年連続で50試合以上マウンドに上がっている。
NPBでのプレーを経て、メジャーで活躍する選手は少なくない。今季は元日本ハム、ソフトバンクのニック・マルティネス投手(レイズ)が自己最多を更新する14勝。元ソフトバンク、阪神のロベルト・スアレス投手はブレーブスと3年総額4500万ドル(約70億円)の契約を結び、31試合で防御率0.56と好成績を残している。(現在は怪我もあり離脱中)
「自信によるところが大きいと思う。NPBのように屈指のレベルのリーグで経験を積めると、戻ってきて自信がつく。僕について言えば、自分をよく知ることができたね。あちらに住んでいて、言葉が分からない状態で……。そうすることで人間として成長できるんだと思う。その点も、こちらに戻ってきたときに役立つんだ」
阪神に在籍した2019年はオープン戦を全登板無失点で終えると、開幕戦でも8回に登板して無失点。結局は16試合連続で無失点に抑え、1998年にベン・リベラがマークした開幕から13試合連続無失点の球団外国人記録も塗り替えた。阪神ファンの大歓声を浴びる中で堂々の投球を披露できたことは、これとない自信になった。
「8回は大切なイニング。自分に対する自信を深めることができたし、何より本当に楽しかった。楽しんでいる時こそ、自分の最高の力を発揮できるんだと思う」
堪能した日本での生活…「学ぶのが本当に楽しかった」
たった1年でも、異国での生活は強烈な思い出として残っている。「神戸の六甲アイランドに住んでいたよ。日本での生活は最高だった。楽しかったよ。ただただ違う生活様式を学んだ。旅行も、食べ物も。(米国よりも)色々と違うこともあったけど、最高だったね」。
「ハジメマシテ」「メッチャオイシイ」「ドウイタシマシテ」。今でも日本語をスラスラと扱うジョンソン。「言葉の壁はあったけど、それ以外はすべてを楽しんだ。移動も、食べ物も、野球も、人も、異文化そのものも大好きだった。学ぶのが本当に楽しかった。僕はいまだに『馬鹿ガイジン』だけどね(笑)。すごく楽しかったし、多くのことを学んだ」
“猛虎魂”も健在か。今季、ロッキーズでプレーする菅野智之投手と談笑する機会があったという。
「スガノにコロラドで言ったんだよ。彼はジャイアンツのキャップを被っていたから『阪神タイガースのキャップをゲットしてきてやるよ』ってね。そしたら彼は『ノーノ―ノー。もう日本に戻れなくなるよ』って言ってたね(笑)」
「将来、また阪神からオファーがあれば?」との問いには「もちろん検討するよ」。ニコリと笑った35歳。今季は年俸650万ドル(約10億円)でプレー中。いつかまた、縦縞に袖を通す日は来るだろうか。