大谷翔平は「100%に戻らない」 記者が見た受難続きの“右腕”…勝負の10月も満身創痍か

大谷は2試合連続でスタメン外に、負傷者リスト入りの可能性も
【MLB】ドジャース ー レッズ(日本時間10日・ロサンゼルス)
重苦しい時間が流れた。毎試合前に予定されるドジャースの監督会見は、なかなか始まらなかった。午後4時スタートの予定が遅れること20分。デーブ・ロバーツ監督が足取り重く会見場に現れてようやく始まった。
話題の中心はもちろん大谷翔平投手だった。前日の試合後に2試合ぶりの先発復帰を明言していたが、午後3時に発表されたレッズ戦ではまさかのスタメン落ち。会見場に張り詰めた緊張感の中、記者陣の視線が一斉に指揮官へ注がれた。指揮官は、ゆっくりと口を開いた。
「月曜日のスイングで違和感があり、そこから完全に回復していない。今日は休みを与え、医療スタッフと今後の対応を話し合う予定だ」
違和感の部位について問われると、ロバーツ監督は「肘や肩といった特定の一箇所というわけではない。上腕二頭筋を含めた腕全体のことだ」と説明した。4日間の休息を経て復帰したばかりのタイミングだっただけに、指揮官の表情にも落胆の色が隠せない。「4日間休み、4打席に立った後にまた違和感を覚えて前進できなくなった。非常に残念だが、これが今の現状だ」と語った。
記者から「先週の時点で負傷者リスト(IL)に入れておくべきだったか」という直球の質問が飛ぶと、ロバーツ監督は一瞬言葉を詰まらせ、素直な胸の内を明かした。
「今のこの時点から振り返れば、確かに『先週ILに入れておけばよかった』と言えるかもしれない」
当時の判断について、「あの時点では4日間の休息で十分であり、月曜日に復帰してプレーを続けられると全員が信じていた」と振り返りつつも、結果的に再び離脱の危機に瀕している現実を正面から受け止めていた。

7月に右上腕に違和感、まさかのアクシデントもあった
大谷と右腕。今年は受難続きだ。7月3日(日本時間4日)に右上腕の違和感を訴えていたが、記憶に新しいのが7月22日(同23日)の敵地・フィリーズ戦。勝利してグラウンドに出ようとした際に、柵を乗り越えようとしたアレックス・コール外野手のスパイクが右肘に直撃した。
大谷は右肘に手をやった後、しばらく状態を確認していた。同僚の不注意で起きた“事故”。あんなに痛がる表情は、なかなか見たことがなかった。まさかのアクシデント。投手復帰を目指す中で悪化させた可能性がある。
不透明な先行きに対し、ロバーツ監督は現実的な見解と強い信頼を口にした。
「今季終了までに彼が100%の状態に戻ることはないだろう。無理にスイングさせて状態を悪化させることは避ける必要がある。今日を休みにして明日もオフ日なので、来週に向けて彼にとって何が最善かを判断する」
そう前置きした上で力強い眼差しを取り戻し、祈るような思いを打ち明けた。
「時間を置くことで回復すると考えている。以前にも肩の負傷を抱えながら打席での存在感を示し、出場したいという強い意欲も持っている。それが金曜日になるかは分からないが、最終的には準備が整うと確信している」
100%ではなくとも異次元の存在感を放つ大谷の底力を信じ、決戦の秋へ向けて前を向き続けている。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)