「大谷選手、アントーンと申します」 日本語を練習したレッズ右腕「20分かかっちゃったよ」…“願い”託した直筆の手紙

ドジャース・大谷翔平(左)とレッズのティジェイ・アントーン【写真:黒澤崇、アフロ】ドジャース・大谷翔平(左)とレッズのティジェイ・アントーン【写真:黒澤崇、アフロ】

アントーンが翻訳アプリを駆使して書いた149字の“日本語メッセージ”

 レッズのティジェイ・アントーン投手は、ロサンゼルスで行われる今季初のドジャース戦を前に、とある準備を進めていた。

「ああ、これね。彼に渡してみようと思うんだ!」

 カード初戦前。アントーンのロッカールームには、大谷翔平投手の侍ジャパンのユニホームとともに、日本語で書かれた手紙が置かれていた。

「大谷選手、お時間をいただきありがとうございます……」。日本人でもスラスラ読める綺麗な文字で書かれている。アントーンはユニホームに大谷のサインをゲットしようと、直筆の手紙をしたためていた。

 相手チームの選手からサインをもらう行為は、決して珍しいことではない。両チームのロッカールームを行き来していると、スタッフ経由で対戦相手の選手のユニホームやボールが渡され、サインする選手の姿はよく見かける。

 長くプレーしていればサインをもらうチャンスはいくらでもあったはずだが、“苦労人”のアントーンにはその機会がなかなか訪れなかった。

プロ13年目でも…長いリハビリ生活「大谷選手の健康をお祈りしています」

 2014年にプロ入りし、今季が13年目。ただ、プロ入り後は3度のトミー・ジョン手術を経験。メジャーで稼働するのは今季が実質5年目だ。

 今季は5月に再昇格を果たすと、リリーフとしてフル回転。離脱することなく投げ続け、9月になってようやくドジャース戦を迎えた。どうしてもサインの欲しかったアントーンは、“礼儀”として直筆の手紙を添えたのだった。

「この日本語大丈夫かな? 英語の文章を翻訳アプリに入れて、文章を作ったんだ。書くのに20分くらいかかっちゃったよ」

アントーンが大谷に書いた実際の手紙【写真:上野明洸】アントーンが大谷に書いた実際の手紙【写真:上野明洸】

 32歳のアントーンは、筋金入りのコレクターでもある。家にはコレクションルームがあり、スター選手のユニホームが額に入れられ、壁一面に飾られている。

「モリーナ、ウェインライト、カーショー、ムーキー(ベッツ)、イエリッチ、トレバー・ストーリーとか、たくさんあるよ」。スマホを手に、部屋を誇らしげに見せてくれた。

怪我を乗り越えた自分だからこそ…より一層感じる大谷の凄み

 大谷も今季、2度目の右肘手術から復活。アントーンはリハビリの苦労も分かるからこそ、その上で二刀流をこなす大谷には驚きしかない。

リリーフとしてフル回転の活躍をするアントーン【写真:アフロ】リリーフとしてフル回転の活躍をするアントーン【写真:アフロ】

「メジャーリーグで投げるだけでも相当凄くないといけないけど、彼は投打両方やってる。両方をこなせる人なんて、成功させているのは文字通り世界で彼一人だけだよ。しかもそれを最高レベルでやってのける。だからこそ彼は最高なんだ」

「部屋にはたくさんカッコイイユニホームがある。だから、オオタニのサインも必要なんだ!」。少年のように笑ったアントーン。過酷なリハビリを乗り越えて掴み取った宝物は、コレクションルームで輝きを放つことだろう。

(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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