前回登板時は同点の6回途中で降板も…この日は6回2安打無失点で5勝目
DeNAは17日、神宮球場で行われたヤクルト戦に勝利し、4年ぶりの8連勝を飾った。石田裕太郎投手が6回2安打無失点の好投でプロ3年目にしてキャリアハイの5勝目。4回に筒香嘉智内野手が2試合連発となる19号ソロで援護した。
筒香はこれで4戦3発と絶好調。試合中に広報を通じて流れてきた本塁打談話は「(石田)裕太郎を楽に投げさせるために、この後も援護していきたいです!」だった。
先発投手を援護するために頑張るのは一見当たり前のことではあるのだが、この言葉には深いワケがある。
石田裕が前回登板した9日ヤクルト戦(横浜)でのこと。石田裕は2-2の6回、先頭のホセ・オスナ内野手に二塁打を浴び、続く赤羽由紘内野手に四球を与えたところで降板した。マウンドに集まった内野陣の中で、筒香は少し強い口調で右腕に語りかけた。さらにイニングが終わってベンチに戻っても、隣に座って長い時間、話し込んでいた。
「もう一段階いい投手になるためにはそういうところも必要なのかなと」
石田裕は「背中を押してもらうような言葉をかけてもらいました」と明かす。2人の間で交わされていた、熱い会話。そこには筒香の「ベイスターズを引っ張っていく右投手にならないといけないから」という、背番号54への大きな期待があった。
「裕太郎のポテンシャル、投げているボールからすればもっと勝ってもいい投手だと思う。でも最後踏ん張れないとか、点を取った後に取られることが多いとか、そこにはやはり原因があると思うから。配球やデータではない、そういうところも見ていかないといけないと思うんです。配球は俺が口を出してはいけないから、そういうところは一回も言ったことはないですけど、練習のときの話ですね」
自身は2020年から海を渡り、2024年途中に帰国するまで米国で4年半を過ごした。メジャーとマイナーを行ったり来たりする中、多くの投手の後ろを守ってきた。2度のサイ・ヤング賞を誇る“最強右腕”ジェイコブ・デグロム投手、オールスターゲームに2度選出されたチャーリー・モートン……。彼らには“共通項”があった。
「いい選手、キャリアが長い選手はこだわりが強いし、キャッチボールの1球、ブルペンの1球の丁寧さ、トレーニングの丁寧さ、ひとつの練習に対する意図があって、そこが違いだと感じました。裕太郎の練習態度が悪いとか、適当にやっているということではなくて、むしろすごく一生懸命やる子。だけどもう一段階いい投手になるためにはそういうところも必要なのかなと。だから『こうやったほうがいいよ』とかではなく、ヒントになればいいなと思って少し話をしました」
力投を後押しする援護弾を放った筒香も笑顔「気持ちの乗ったいい投球」
2023年ドラフト5位で入団した石田裕は、2024年は12試合で4勝3敗、防御率3.97、2025年は21試合で3勝5敗、同3.57。先発の柱として期待された3年目の今季、序盤は好投しながら援護に恵まれない不運も続いたが、ここまで19登板で5勝8敗、同3.01となっている。
幼少期から筋金入りのベイスターズファンだった石田裕にとって、筒香は当時からの“推し”選手でもある。そんな存在に叱咤激励され、自身の“意識”も変わった。2-0の4回2死一塁からオスナに四球を与えると、一塁の守備位置から筒香が駆け寄り言葉を交わした。直後、古賀優大捕手を投ゴロに打ち取り大きく吠えた。6回は3者凡退。力投を後押しするような援護弾を放った筒香は試合後、「気持ちの乗ったいい投球でしたね」と微笑んだ。
石田裕に対する思いは、相川亮二監督も同じだった。前回登板後に「ガムシャラさ」が欠けていることを指摘。プロ3年目を迎えて実績も積み上げてきているが、まだ24歳だ。「投球に余裕を持つこと」は決して「必死さを欠くこと」ではない。あれから1週間。指揮官は「今までで一番気持ちが入ったような姿をみせてくれましたね。(コンディション不良から)復帰してから、初めて気持ちが前面に出ていた。そういうところを見せてくれましたね」とうれしそうにうなずいた。
「試合はつくっているけど勝ちがつかなかったりというところは、最後の1球の集中力かなって。筒香さんや監督にもそういう言葉をいただいたので、ブルペンでも最後の1球に本当にこだわりを持って今週は練習してきました。1球1球、魂を込めて投げました」と石田裕。その思いは確かに届き、チームに勝利を運んだ。
(町田利衣 / Rie Machida)