オフの人気企画「マリキャン」…初期メンバーが続々“離脱”
オフシーズンの人気企画が存続のピンチかもしれない。ロッテの澤田圭佑投手は移籍4年目の今季、8年ぶりにシーズン40試合登板をクリア。中継ぎ陣に欠かせない存在として奮闘している。移籍1年目だった2023年にオフシーズン特別企画として始まった千葉ロッテマリーンズキャンプ部(通称「マリキャン」)で中心的な役割を担うなど、すっかりチームに溶け込んでいる右腕が、マリキャンの思わぬ現状を説明した。
2023年オフから球団公式YouTubeで公開されてきたアウトドアのキャンプ企画「マリキャン」。大のキャンプ好きである澤田が“隊長”を務め、初期メンバーには荻野貴司、美馬学、唐川侑己、益田直也が名を連ねた。千葉県内のキャンプ場に赴き、テント張りや買い出し、バーベキューやさまざまなゲームに興じるのである。
グラウンドでは見られない選手たちのリラックスした姿や、焚火を囲んでの本音トークなど見どころが満載。ロッテだけでなく野球ファンの間で評判となっており「超絶神企画」「ほっこりする」「続いてほしい」という声や、澤田に「ロッテに来てくれてありがとう」といったコメントが上がっている。
そんな中、荻野は退団してチェコリーグに移籍し、美馬は引退して2軍投手コーチに就任。昨年まではメンバーを入れ替えながら、3年連続でオフシーズンに開催されてきた。ただ今年は、唐川も今季限りでの現役引退を表明。初期メンバーから現役選手でチームに残っているのは隊長の澤田と、通算250セーブを達成した益田だけという状況になっている。
SEASON3の昨年は「美馬っち現役生活お疲れさまでしたスペシャル」として美馬も参加。当時、澤田は「集大成」と説明しており、今年は唐川を“卒業生”として送り出す企画が期待されるが、先行きは不透明だという。
「今年はどうなるか、ちょっとわからないです」
澤田はマリキャンの現状について明かした。「実は去年も開催できるかわからない状況だったんで、今年はあるかわからないような感じで思っています。なので球団の方に聞いてもらえればと思います」。
今年から背番号54…復活を支えてくれたジョニーに感謝
立大から2016年ドラフト8位でオリックスに入団した澤田は、2年目の2018年に自己最多47試合に登板して5勝0敗8ホールド、防御率2.54とブレーク。以降もオリックス救援陣を支えたが、2021年オフに右肘のクリーニング手術を受けた。翌2022年にはトミー・ジョン手術。初めてシーズンの登板がないまま、オフに戦力外通告を受けた。
2023年に育成選手としてロッテに加入。リハビリを経て右肘の状態は回復し、支配下登録されると、中継ぎの一角を担って登板数を年々伸ばしてきた。2023年は17試合、2024年は21試合、2025年が29試合。そしてプロ10年目の今季、17日のZOZOマリンスタジアムでの楽天戦で1回を3者凡退に抑えるなど、キャリアハイに迫る41試合に登板し、2勝1敗11ホールドを記録している。
マリキャンの隊長としても存在感を見せている澤田が、そもそもキャンプに興味を持ったのはオリックス時代。右肘手術からのリハビリ中、トレーニングが十分にできず、ストレスを抱えているのを感じてくれたのか、「先輩がキャンプに連れていってくれたんです」と振り返る。「リラックスするというか、いろんなことを考えられて自分の時間を作れる」と魅力にはまっていった。
手術を乗り越えて復活し、今年から背番号は「54」。ロッテの「54」はかつて「ジョニー」こと黒木知宏(現・投手コーチ)が背負った番号だ。ロッテ入団直後の2023年2月のキャンプ、澤田はまだリハビリ中だったが「最初からジョニーコーチが気にかけてくれていたんです」と復活を支えてくれたことに感謝する。
黒木コーチも現役時代は右肩や右肘の故障に苦しんだ。澤田は「今もいろんな話をしますけど、人として尊敬しています。そういう人がつけた番号を背負って投げられるという喜びはあります」と口にする。
決して大きなことは言わず、黙々と自分の仕事をこなす。今後の目標についても、数多く登板したい意欲を示しつつ、具体的な数字は「考えていない。調子は普通です。1試合1試合、頑張るしかない。それ以外ないかなと思います」と謙虚に語る。そんな姿勢も魅力の1つで、ファンの心をつかんでいる。全盛期の力強さを取り戻している投球とともに、オフの企画からも目が離せない。
(尾辻剛 / Go Otsuji)