オリックス廣岡大志を変えた“5か月の空白” 溢れた感情「取り戻したい」…再認識した「喜び」

怪我のため、2軍で調整を続けたオリックス・廣岡大志【写真:橋本健吾】怪我のため、2軍で調整を続けたオリックス・廣岡大志【写真:橋本健吾】

5か月ぶりに実戦復帰を果たし、フルイニング出場を果たすまで回復

 野球ができる喜びを全身で感じながらグラウンドを駆け回る。オリックスの廣岡大志内野手は、5月20日に「腰椎椎間板ヘルニア摘出術」を受け、長きにわたるリハビリ生活を余儀なくされた。コンディション不良も重なり、暗く長いトンネルの中で己の体と向き合い続けた日々。約5か月という空白の時間を経て、29歳は再び土のグラウンドに帰ってきた。

 9月12日、富田林バファローズスタジアムで行われたウエスタン・リーグの阪神戦。途中出場で打席に向かうと、いきなり2点適時打を放ち、鮮烈な実戦復帰を飾った。翌13日の同戦では「4番・指名打者」でスタメン出場。さらに21日の阪神戦では「4番・中堅」として初めて守備に就き、22日には復帰後初となるフルイニング出場を果たした。バットを振り、白球を追い、ダイヤモンドを全力で駆け抜ける。その一つ一つのプレーが、今の廣岡にとってはかけがえのない喜びとなっている。

 試合後、額に大粒の汗を浮かべ、少し息を弾ませながらも、その表情は充実感に満ちていた。

「体との相談もありますし、周囲には心配されながらですけど、こうしてプレーできているというのが一番良かったです。今は、もう普通にやれる状態にまできています」

リハビリ期間の喜び「街を歩いて光合成っす」

 球団スタッフや首脳陣は、慎重に状態を見極めている。だが、本人の言葉には、不安は微塵も感じられない。「その日の調子を見ながらですが、僕自身はもういけますから」。頼もしい言葉の裏には、地道で過酷なリハビリを乗り越えてきた自負が滲む。

 高卒でプロ入りして以降、ヤクルト、巨人、そしてオリックスと渡り歩き、持ち前のパンチ力と高い身体能力を武器に、1軍の過酷な生存競争を生き抜いてきた。これほどまでに長く野球から離れた経験はなかった。もどかしさと焦りを感じながら過ごした日々を忘れることはない。

「しんどかった時のことを思えば、本当に幸せなことです。今までケガでこれほど野球から離れたことはなかったので、野球ができていることが本当に当たり前じゃないなと、強く思うようになりましたね」

 先の見えないリハビリ期間中は「野球ができるか分からない」と弱音を吐いたこともあったが、希望を見失うことはなかった。運動を禁止されていた時期には「ずっとベッドの上にいると病みそうになる。汗をかいたらダメだったんですけど、光を浴びたい。街を歩いて光合成っす(笑)」と、ささやかな喜びを感じるほどだった。

フェニックスリーグにも意欲「実戦感覚を取り戻したい」

 復帰は果たしたが、チームはBクラスが確定し、シーズンも佳境を迎えている。1軍復帰を諦めてはいないが、自身の現在地を冷静に客観視している。

復活に向けて、まずは実戦感覚を取り戻すことが先決となる【写真:橋本健吾】復活に向けて、まずは実戦感覚を取り戻すことが先決となる【写真:橋本健吾】

「今年は現実的に、1軍というよりもまずはしっかりと試合をこなすこと。数か月間実戦から離れていたので。今年というよりは、しっかりと来年のスタートを切るための準備、という気持ちで今はいます」

 約5か月のブランクは、決して甘いものではない。フルイニング出場を果たしたとはいえ、まだ万全の体力に戻りきっていないのが現実だ。

「まだ結構、息が上がってしまうので(笑)。体力の部分はこれからやっていくしかありません。来年、さらに良くなるようにやっていくだけです。実戦感覚を取り戻したいし、フェニックス・リーグも行きたい」

 自嘲気味に笑うその目には、来季への確かな闘志が宿っていた。眩しいスポットライトから離れた2軍のグラウンドで「野球ができる喜び」を再認識した男は強い。諦めることを知らない背番号「30」の逆襲が始まった。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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