古豪・所沢商に訪れた復活の“兆し” 甲子園に3度出場も陥った部員不足…5年ぶり県大会出場の背景
所沢商の遠藤斐湧、中里幸太郎、杉田礼夢(左から)【写真:河野正】夏の甲子園を3度経験…低迷経て所沢商が5年ぶりに秋季埼玉大会に出場する
夏の甲子園を3度経験した所沢商は、熊谷と並んで埼玉の公立校では4番目に多い出場回数を誇る。しかし近年は低迷期が続き、春と秋は地区予選敗退を繰り返し県大会にすら参陣できないでいた。それがこの秋、2021年秋季大会以来5年ぶりに地区予選を突破。鮮やかな青色のユニホームが、来春の選抜大会につながる県大会へ戻ってきた。
2021年秋は3回戦で敗れたものの、県大会出場という最低限のノルマを果たした。ところが2022年春から今春まで、加盟校なら参加できる夏の選手権大会を除き、9季続けて西部地区予選で姿を消す不振に見舞われた。部員不足が停滞した最大の要因で、2023年春の新入部員は3人いたが、年度内に全員が退部。現3年生は1つ上の先輩がひとりもいない環境の中で戦ってきた。
2011年度卒業の穐本捺希(あきもと・なつき)監督は、右翼手として活躍した41期生で2023年4月に母校へ赴任し、同年の秋季大会終了後から指揮を執る。初任地の幸手桜に4年間奉職していた時から、所沢商の不調には気をもんでいた。
「部員が少なかったので何から着手していいのか思案しましたが、選手が生き生きと楽しく野球に打ち込める環境づくりが大切だと考えました。OBの大先輩も私がやりやすいように指導すればいいと背中を押してくださったので、責任は重いがスムーズにスタートできました」
だが、有能な新入生が集まらないことには展望は開けない。穐本監督が在学中の3年間は平均して100人弱が在籍し、タイトル争いを繰り広げた全盛期は最大で113人の部員を抱える大所帯だった。
中学生のスカウティングを積極的に始めたが、才気煥発な人材は特待生制度や施設面でリードする強豪私学を志願する。これはどの競技にも共通した時代の流れだ。
声だしを行う所沢商ナイン【写真:河野正】地道なスカウティングが実り、“有力選手”が入部
穐本監督が初めて采配を振るった2024年春は代表決定戦で敗れ、秋は1回戦で5回コールド負け。2025年春も1回戦で5回コールド、秋は代表決定戦で8回コールド負けするなど、大差で敗れる負の連鎖が収まらず、県大会出陣の目標はとん挫した。
それでも指揮官は辛抱強く近隣の有望な中学生に声を掛け、夏休みの体験入部に誘った。努力が実を結んだのが現2年生の時だ。隣接する入間市の中学選抜チームの主力が6人も入学してきた。どんな体験会だったのか?
所沢商の穐本捺希監督(右)【写真:河野正】穐本捺希監督「練習の雰囲気が変わったことを感じる」
(河野正 / Tadashi Kawano)