人気者キケに訪れた苦境「誰のせいでもない」 自己最低成績も復活の兆し…PSへ語った極意

ジャイアンツ戦の8回に決勝8号ソロ
【MLB】ドジャース 4ー3 ジャイアンツ(日本時間27日・サンフランシスコ)
ドジャースのエンリケ・ヘルナンデス内野手は26日(日本時間27日)、敵地のジャイアンツ戦に「8番・一塁」で先発出場し、9回に決勝4号ソロを放った。10月のポストシーズンを前に、復調の兆しを見せた。
今季は左肘手術で開幕から出遅れ、5月下旬の復帰直後に左脇腹の肉離れで戦線離脱。7月末に復帰したものの、40試合出場はメジャー13年目でキャリアワースト。打率.227、4本塁打、12打点と打撃の調子もなかなか上がってきていないのが現状だ。
明るいキャラクターと勝負強い打撃でファンやナインから愛される“キケ”ことエンリケ・ヘルナンデスだが、今季は幾重もの試練に見舞われた。
試合後のインタビューで、これまでの試練やもどかしさについて問われると、噛みしめるように思いを明かした。
「そうですね、大変でしたが……。まあ、受け入れるしかありません。それが今年自分に与えられた役割です。誰のせいでもありません」
度重なる故障からの復帰、そして選手層の厚いドジャースというチーム状況だからこその葛藤もあった。
「リハビリの関係で最初の数か月を欠場することは覚悟していましたが、復帰後こんなに早く再び離脱することになるとは思っていませんでした。でもそうなってしまいましたし、このようなチームではラインナップに入るのも簡単ではありません。与えられた状況で最善を尽くすしかありませんし、これまでのチャンスを最大限に活かせていなかっただけです」
自身ワーストとなる成績に苦しみながらも、言い訳をいっさい口にせず自らと向き合い続けてきた。
復調への手応えと決勝アーチ「1打席だけに集中できた」
しかし、苦しいシーズンの中でも徐々に光は見え始めている。この日の8回に放った勝ち越しの4号ソロは、まさに自身のトンネルを抜ける一撃となった。打席での感覚について、キケは力強く振り返る。
「ここ数週間は良い状態にあると感じています。もちろん、まだ三振は多いですが、打席の質自体はかなり良くなってきたと思います。打席で気分が良くなかったというよりは、一度に3打席分をこなそうとしてしまうことがあって……。今日は1打席だけに集中して、打てる良い球が来たので良いスイングができました」
焦りから空回りしていたメンタルを整理し、目の前の1球に没頭できたことが結果に結びついた。
レギュラーシーズンの成績がいくら苦しくとも、ポストシーズン(PS)となれば話は別だ。キケといえば、ポストシーズン通算16本塁打、42打点を記録するなど、秋の大舞台で異次元の勝負強さを発揮する「お祭り男」だ。短期決戦を前に、数字がリセットされることやバイ(不戦勝)期間の過ごし方について問われると、頼もしい言葉が返ってきた。
「ただ続けていくだけです。紅白戦などの試合も行いますから、何も変わりません。バイの経験がなくてどうなるか分からない状態なら話は別ですが、私たちは以前にもこの状況を経験しているので、何をすべきかわかっています。その経験があることは助けになりますね」
チーム全体としても、修羅場をくぐり抜けてきた自負がある。
「チームとして多くのことを一緒に乗り越えてきました。あらゆる状況を経験していますし、勝つことがどれほど難しいかも分かっています。チームにとって『オン・オフのスイッチ』なんて存在しませんが、私たちはかなり良いベースボールができている。1〜2試合の結果に惑わされる必要はありません。あとはグラウンドでしっかり仕事をこなすだけです」
言葉の節々から漂うのは、百戦錬磨のベテランならではの絶対的な自信だ。苦しいシーズンを乗り越え、いよいよ訪れる「キケの季節」。秋のグラウンドで再び主役に躍り出る準備は、すでに整っている。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)