藤浪晋太郎、“復活”のカギは 制球難以外の改善点…阪神OBがあげた条件「簡単ではない」

MLBで日本人投手最速165.1キロをマークも改善されない制球難
来季の構想から外れているDeNAの藤浪晋太郎投手は27日、ファーム・リーグ中地区最終戦となった巨人戦に先発登板。3回8安打5失点で降板した。今季も制球難を克服できず、1軍では3試合0勝1敗、防御率6.30。自己最速165.1キロを誇る32歳右腕と契約を結ぶ球団は現れるのか。そして“復活”の鍵はどこにあるのか。OBが考察した。
「実力的には申し分ないものを持っています。あれだけ速い球を投げられるのは、それだけで才能です」。現役時代にヤクルト、日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)で、計21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は、こう評価した上で「僕は藤浪と同時期に同じチームにいたことはありませんが、気になるのは、彼について阪神時代から『信念が強く、周囲のアドバイスに耳を貸さなくなることがある』という評判が数多く聞こえてくることです」と語る。
藤浪は大阪桐蔭高3年の2012年、エースとして史上7校目の春夏連覇の原動力となり、ドラフト1位で阪神に入団。プロでも1年目から3年連続2桁勝利(10勝、11勝、14勝)という順風満帆のスタートを切った。ところが、その後は制球難がクローズアップされるようになり低迷。2022年オフにポスティングシステムでメジャーリーグへ移籍し、アスレチックスなどでプレーした。昨年7月にDeNAと契約を結び、2年半ぶりに日本球界復帰を果たしていた。
「球界屈指といわれるDeNAのデータ班の動作解析などをもってしても、課題克服につなげることはできなかったということです」と野口氏。オリオールズ時代の2023年8月、メジャーリーグの日本人投手最速記録である102.6マイル(165.1キロ)をマークしたストレートは、今季も最速156キロ、平均151.3キロを計測していた。
一方、今季1軍初登板・初先発となった7月11日の巨人戦では、初回先頭から3者連続四球という大荒れの滑り出しで、3回3安打4奪三振6四球3失点で降板。制球難の課題は克服されないままだった。

「野球選手である前に1人の人間であれ」という野村克也氏の教え
「人の話をちゃんと聞けることは、野球界で生きていくための必須条件だと思っています。歯車がかみ合わない状態に陥った選手が自分で、改善すべき点に気づくのは難しいことです。その上、人の話を聞かないとなったら、上手くなるすべがありません」と野口氏は指摘した。
「もちろんアドバイスが100%正しいかどうかはわかりませんし、従うかどうかは別の話で、有益だと思ったら採り入れればいいのです。ただ、はなから聞く気のない選手は絶対によくなりません」と付け加えた。
野口氏自身はプロ1年目から9年間、当時監督の野村克也氏(2020年死去)の薫陶を受けた。「『野球選手である前に、1人の人間であれ』というのが野村さんの教えの1つでした。それは、選手としての技術だけでなく、人間性も磨いていかなくてはならないという意味の他に、周囲から良いものを吸収して選手として成長していくために、人間性を磨くことが欠かせない、という意味も含まれていたと理解しています」とうなずく。
「仮に、聞く耳を持つ素直さが足りなかったことが、藤浪の成長を阻害していたとすれば、周囲が驚くくらい、ガラリと変わる必要があると思います。もちろん簡単なことではありません」と野口氏は見ている。
おそらく藤浪には、アマチュア時代や若手の頃から、アドバイスしてくれる人間は公私にわたり、数多くいたと思われる。来季構想外にはなっているがこのまま引退するには惜しすぎる、並外れた潜在能力の持ち主だからこそなのだが……。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)