突如取材に“乱入”した西武・源田壮亮 ベンチにも届いていた山田陽翔の気迫…まさかの言葉に「胸がいっぱいです」

源田壮亮を中心に集まる西武ナイン【写真:黒澤崇】源田壮亮を中心に集まる西武ナイン【写真:黒澤崇】

2年目の冨士大和はプロ初先発も3回途中で降板した

 計り知れぬ重圧と緊張感、そして目の当たりにした結束力。西武の20歳逸材が、かけがえのない経験を積んだ。9月27日の楽天戦(ベルーナドーム)で高卒2年目の冨士大和投手がプロ初先発を果たし、3回途中を2安打5四球の2失点で降板した。悔しさが残るなか、ベンチから見たのは気迫満点で相手打線を封じ、自身の黒星を消してくれた先輩救援陣の姿だった。

 初回先頭の中島大輔外野手、続く宗山塁内野手へともに3ボールとするなど制球に苦しんだ。この回は2四球から小郷裕哉外野手に先制打を浴びた。3回も連続四球などで2死二、三塁とされると、黒川史陽内野手を2ストライクと追い込みながらも3球目のスライダーが甘く入り中前へ運ばれた。2点目を奪われて交代を告げられた。

「体がちょっとフワついていました。それをコントロールできなかったのが課題かなと。そうなった時、どうやって変化球を入れて、ストレートを(低く)抑えていくかっていうのも大事だと思うので、やっていきたいなと思います」

冨士大和(左)は仲間に支えられながら全力で腕を振った【写真:黒澤崇】冨士大和(左)は仲間に支えられながら全力で腕を振った【写真:黒澤崇】

 リードを許しての降板となったが、2死一、三塁でマウンドを引き継いだ山田陽翔(はると)投手が繁永晟内野手を遊ゴロに仕留めるとグラブを何度も叩き、気迫を前面に出した。イニング跨ぎとなった4回も3者凡退。怒涛の中継ぎリレーの先陣を切った。

試合後の駐車場…山田の取材に入ってきた源田

 山田から9回の甲斐野央投手まで6投手が楽天打線を2安打無四球の無失点に封じ、西武打線が7回に逆転して勝利を掴んだ。まるで冨士の黒星を消そうと救援陣が一つになっているかのようだった。

「いや、もう本当にそうですね。もう自分から流れを変えようと思って投げていました。気持ちを出しましたね」。駐車場を歩きながら山田に話を聞いていると、近くにいた源田壮亮内野手も不意に取材に“乱入”してきた。

「きょうはいつもより球速出ていましたよね?」

 この日はスタメンではなく、ベンチで戦況を見守っていた源田が山田に“直撃”した。「はい、ギアを上げて投げましたね」と右腕も呼応。すると源田は向きを変えて記者にこう力説した。

「いつもより出ていたんです、スピードが。だから気合入ってんなっていうのはベンチ内でもみんな感じていましたね」。気迫が自軍ベンチにも伝わっていたと明かす。そして「チームを鼓舞する投球でしたよ!」と称えた。

 実はロッカールームに戻った際、源田は山田に声をかけたのだという。「戻ってきた瞬間に言ったんですよ。『きょうのヒーローはハルトだよ』って」。試合後のお立ち台は逆転打を放ったアレクサンダー・カナリオ外野手だったが、源田はしっかりと見ていたのだ。勝利への流れを作ったのは山田の熱投だったということを。

気迫の投球を見せた山田陽翔【写真:黒澤崇】気迫の投球を見せた山田陽翔【写真:黒澤崇】

「源田さんにそんなことを言っていただいて、胸がいっぱいですよ」と感激の面持ち。「この話、絶対書いてくださいね!(笑)」とアピールも忘れなかった。自身も22歳とまだ若く、「僕も先輩方にたくさん抑えてもらっていたので、僕も抑えようと思いました」。冨士からは「ありがとうございます」と感謝されたという。

冨士と同期の篠原「一緒にヒーローインタビューすると思っていたんですけど」

 8回に登板した篠原響投手も同じ思いだった。「自分は勝ち越してもらった直後だったので、まずはチームの勝利とは思っていましたけど、同学年なので、富士が投げた試合だったというのは意識しました」。

 同期入団でお互いに投手とあって「一緒にいる時間は多いですね」と気心の知れた盟友。冨士は早い段階での降板となり、中継ぎ陣へ負担をかけると考えたのか、ベンチで篠原に「ごめん」と伝えてきたという。「全然、大丈夫だよ」と返し、3者凡退の1奪三振で勝利のバトンをつないだ。

「きょうは一緒にヒーローインタビューすると思っていたんですけどね(笑)。冨士に勝ちがつかなくて残念ですけど、これからも一緒に頑張っていきたいと思います」。チームトップの31ホールドをマークし、プロでの実績は数歩リードしている篠原は同じ舞台で躍動する日を待ち望んでいる。

篠原響は同期入団の冨士の思いも背負ってマウンドへ【写真:黒澤崇】篠原響は同期入団の冨士の思いも背負ってマウンドへ【写真:黒澤崇】

「中継ぎ陣もそうですし、野手の皆さんが点を取ってくださって本当に感謝しかないです。中継ぎの方々には、いっぱい迷惑をかけてしまったからこそ、次の登板では僕が助けるようなピッチングをしたいなと思います」

 身長186センチの恵まれた体格と独特のフォームを生かし、覚醒が待たれる左腕の冨士。1軍の凄さと仲間の強さを肌で感じ、さらなる成長を誓った。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

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