10月2日ソフトバンク戦で前田悠伍から特大の8号ソロ
とてつもないパワーから放たれる豪快な打球は、見る者を魅了する。阪神から現役ドラフトでロッテに移籍した井上広大外野手が、新天地で才能を開花させようとしている。
8月20日に今季3度目の1軍昇格を果たすと、9月6日のオリックス戦(京セラドーム)で4号ソロ。そこからアーチを積み重ね、10月2日のソフトバンク戦(ZOZOマリン)では、前田悠伍投手の高めの直球を左翼席中段まで運ぶ8号ソロを放った。
2019年ドラフト2位で履正社高から阪神に入団し、昨季までの6年間で通算3本塁打だった男が、わずか1か月の間に5発の量産態勢に入っている。
「(9月に)4本打ちましたけど、凡打の内容があまり良くないので。そこを良くしてけばゲームにも出続けられると思っています。それはゲームに出て失敗しないとわからないところでもあるので、できるだけ失敗の内容を良くできれば、もっと結果も良くなるのではないかと思っています」
51試合で8本塁打を放ちながらも打率.184(125打数23安打)とあって、その表情に満足感はない。しかし2024年の23試合出場が自身最多だった25歳にとって、今季は充実の日々だ。
「いろいろな人が連携しながら僕の打撃がどうしたら良くなるか…」
その姿は、何年も前からチームに在籍しているかのよう。井上自身も「みんなに『1年目って感じがしない』って言われます。僕はなるべく自分から喋りかけていくスタイルの人間なので本当にやりやすいです。みんな意見を聞いたら答えてくれるし、先輩方はよくご飯に連れて行ってくれる。本当に仲がいいチームに入らせてもらいました」と笑う。そんな新たな戦いの場所で、発見もあった。
「バッティングに監督、コーチだけではなく、アナリストさん、トレーナーさんは体の使い方とか、そういうところをマンツーマンで付き合ってくださいます。タイガースのときは打撃コーチが主だったので、いろいろな人が連携しながら僕のバッティングをどうしたら良くなるかとかそういうのもやってくれています。そこは本当にありがたいというか、僕も結果で恩返ししたいなという気持ちになります」
練習中には、サブロー監督から直接打撃のアドバイスを受ける場面も多い。「『こうやって打ってみたら?』というワンポイントアドバイスをいただいています。それがゲームでできれば結果がついてきますし、それができない、崩されたり自分でボール球を振ってしまうようなときはいい結果にも繋がっていないので、しっかりと練習してそれがゲームに出せればいいかなと思ってます」と感謝した。
阪神時代から、練習前と試合後、自主練習でバットを振るのが習慣となっている。「練習はひとりでやりたいっていうのもあったので」。いい感覚は体に徹底的に覚えさせ、悪くなったときには元に戻す作業を欠かさない。体と相談しながら30分の日もあれば、1時間以上バットを振る日もある。「できる限りはやろうかなっていう形なだけですよ」と何事もないように言ってのけるが、その練習量はチームトップクラスだ。
移籍1年目のシーズンは、間もなく終わりを迎える。2度の抹消はあったが「長い間1軍にいて、いろいろな投手と対戦させてもらって本当にいい経験ができています」とうなずく。それでも「今年は思うような結果は出ていないんで、まずはシーズン最後までしっかりやって、この経験を来年に活かせるようにシーズンが終わってからもしっかりと練習していけたらなと思ってます」と高みを見据えた。
自主トレ“師匠”のDeNA牧秀悟は「適当なんです(笑)」
ところで、井上といえばオフの自主トレでは同じ右の大砲であるDeNA・牧秀悟内野手に“弟子入り”した。最近連絡は取っていないそうだが、きっとアーチを量産する姿はチェックしているはず。だが「あの人は褒めてくれないです。適当なんです(笑)」と仲良しならではの“ボヤキ”も……。
一方で、同じく自主トレメンバーの西武・古賀悠斗捕手とは食事に出掛けたり、捕手目線での意見なども聞くそうで「些細なことですけど、ちょっと言ってもらったりしています」と微笑んだ。
「試合に使ってもらえるのは本当にありがたいことですし、監督を含めてコーチ陣の方々にも感謝です。その中でも結果を出さないといけない世界なので、そこはしっかりと結果を求めてやっていきたいです」
残り4試合。飛躍の1年を確固たるものにすべく、井上広大は最後まで走り抜ける。
(町田利衣 / Rie Machida)