侍J、驚きだった広島26歳の選出 井口監督が掲げた課題…見据える2028年「必ず必要になる」

選出された広島・辰見はリーグ3位の28盗塁を記録
“井口イズム”が見えてきた。野球日本代表「侍ジャパン」の井口資仁監督は7日、都内で記者会見し、“初陣”となる「ラグザス アジアプロ野球チャンピオンシップ2026」の出場28選手を発表した。大会は11月12日から15日まで、東京ドームで行われる。
同大会は出場資格が24歳以下、もしくは入団3年目までに限定されているが、オーバーエイジ(OA)枠(29歳以下)も3人まで認められている。井口監督がOA枠で選出したのは、26歳のロッテ・山口航輝外野手、今年11月に27歳となるソフトバンク・正木智也内野手、26歳の広島・辰見鴻之介外野手の3人だった。
このOA枠の人選に、日本プロ野球の現状と井口監督が目指す野球が表れている。指揮官は今大会のみならず、2028年ロサンゼルス五輪の出場権を懸けて来年11月に行われる「WBSCプレミア12」まで見据え、「オーバーエイジの3人は、来年のプレミアにも必要な選手だと私は思っています。侍のユニホームを着て、彼らがどう成長していくのかを来シーズン見たいと思って選出しました」と期待を寄せた。
最も特徴的なのが、“非レギュラー”の辰見の選出だろう。今季は広島で70試合に出場したが、スタメンはわずか5試合。代走での出場が64試合、守備からの途中出場が1試合、代打出場はゼロだった。それでもセ・リーグ3位の28盗塁をマークした韋駄天である。井口監督は「コーチとのミーティングで『勝つために、いろいろなパターンを作りたい』という意見が多かった。特に『辰見選手の足は必ず必要になる場面がある』という意見が非常に多かった」と選出の理由を明かした。
接戦の終盤に辰見を代走で起用し、二盗成功、さらにワンヒットで同点や勝ち越しのホームを踏む――といったシーンを想定しているようだ。

身長164センチながら驚異的な守備範囲を誇る西武・滝澤は“落選”
辰見とイメージが重なるのが、2019年11月、「第2回WBSCプレミア12」で侍ジャパンに選出されたときのソフトバンク・周東佑京外野手だ。当時の周東は、同年のスタメン出場は22試合に過ぎず、代走出場が47試合、守備からの出場が33試合、代打出場はゼロだった。
それでも当時の稲葉篤紀監督(現日本ハム2軍監督)に選出された周東は、代走のスペシャリストとして大会最多の4盗塁を決め、優勝のキーマンと言える活躍を見せた。
今季パ・リーグ2位の38本塁打を量産した山口と、同5位の28本塁打を放った正木は、日本国内で“絶滅危惧種”となりつつある長距離砲だ。ともに自己最多の本塁打数を今季大幅に更新した2人には、伸びしろも見込まれる。
日本球界からは昨季オフ、村上宗隆内野手がホワイトソックス、岡本和真内野手がブルージェイズに移籍。仮に阪神・佐藤輝明内野手までメジャーへ移籍するようなことになれば、日本球界に“天性のホームランバッター”といえる打者が極めて少なくなる。井口監督は、プレミア12のようにメジャーリーガーが参加しない大会を勝ち抜くには、若手長距離砲の成長が不可欠と考えているのだろう。
一方、身長164センチの小兵ながら、遊撃手や二塁手として驚異的な守備範囲を誇り、打撃でもパ・リーグ9位の打率.276をマークした西武・滝澤夏央内野手は選出されなかった。
チームメートで侍ジャパン常連の源田壮亮内野手が発表前に「侍ジャパンは監督の色が出ると思うので、誰が選ばれるか、わからないですよ。(井口)監督と(田口壮)ヘッドコーチがメジャーリーグでプレーされているので、もしかすると“ゴリゴリ系”の選手を集めて打撃に振り切るようなことも、ありうる話ではないでしょうか」と“予言”していた通りになった。
もっとも、滝澤は今季、自己最多の470打席に立つなど小柄な体でフル稼働。これからCSが控えていることもあり、体調面を配慮して選出されなかった可能性もある。
「侍ジャパンは常に世界の頂点を目指し、頂点に立ち続けなくてはならない」と強調した井口監督。さまざまな課題を抱えながらも、“出航”の時が近づいている。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)