CS敗退の阪神を待っているのは 実らなかった藤川監督の“勝ち筋”…短期決戦で露呈した綻び

ベンチで厳しい表情を浮かべる阪神・藤川球児監督【写真:井上学】ベンチで厳しい表情を浮かべる阪神・藤川球児監督【写真:井上学】

3試合連続完封負け…屈辱のワースト記録

 レギュラーシーズンでリーグ連覇を果たしたチームが、7.5ゲーム差をつけた3位のDeNAに屈した。17日の甲子園球場、阪神は5-8で逆転負け。アドバンテージの1勝を含めて1勝4敗でクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ敗退が決まった。9回の「あと1球」コールが悲鳴に変わった場面が脳裏に焼きつくが、4試合を並べ直すと負け方には層がある。

 第一の層は打線の沈黙だ。第1戦0-2、第2戦0-1、第3戦0-4。3試合連続の完封負けはポストシーズン初で、27イニング連続無得点はCS、プレーオフのワースト記録だ。3冠王の佐藤輝明内野手が第1戦で負傷して第2戦はベンチ外。その第2戦では森下翔太外野手も右太もも裏を痛めて交代し、第3戦では前川右京外野手が死球で左手小指を骨折というカオスに陥った。

 常に打線の中心にいた森下、佐藤の名前がないスタメンが表示される中、第3戦は2安打12三振でゲームを終えた。この時点で虎党からは「終わった」という声が漏れ聞こえた。

“第3戦、佐藤輝明と森下翔太はそろって欠場した【写真:井上学】”第3戦、佐藤輝明と森下翔太はそろって欠場した【写真:井上学】

 森下について、藤川球児監督は「レギュラーシーズン中より抱えていたものもある」「全力疾走できる状態じゃない時もありながら出場していた」と明かしている。

 それでも、第4戦で佐藤と森下が打線に戻るとチームは14安打5得点。1回、大山悠輔内野手の適時打がシリーズ28イニング目にして初めての得点だった。森下は2打席連続本塁打。2枚看板がそろえば打線の景色が変わった。

第4戦で投手3人がイニングまたぎ…球界OB「おかしくなっている」

 第二の層は継投だ。藤川監督は第4戦で神宮僚介、木下里都、工藤泰成の3投手にイニングをまたがせた。ある球界OBはこう話した。「プロで結果を残してきた人間にはある意味、嗅覚というのかな『あっ、それアカンで』という勘というか法則がある。上手くいく時だってあるよ。でも、この試合はしっかり結果に残ってるよね。またいだ後におかしくなっている」。

 藤川監督は試合後、「神宮や木下、工藤も時にはイニングをまたいで勝ち星を拾っていくというやり方をしていたので、形が最後まで苦しかったというのは事実ではあります。何とかその形を取り直せるようにしなければいけなかった」と説明。そのうえで「こちらの責任」と頭を下げた。

 ただ、回またぎはこの夏の阪神の勝ち筋でもあった。8月9日の中日戦で工藤が7回から2イニングを無失点で締めた際、虎将は「これがノーマルではないですけど」と語っていた。非常時に作った形を最後の一戦で使わざるを得なかったのか。そして、それが通用しなかったことは来季への宿題として重い。

“CS敗退が決まった瞬間、阪神ベンチは重苦しい雰囲気に包まれた【写真:井上学】”CS敗退が決まった瞬間、阪神ベンチは重苦しい雰囲気に包まれた【写真:井上学】

球団初のリーグ2連覇も、CS4連敗終戦も“同じ阪神”

 SNS上で監督批判が飛んだ一方、敗退後に不満を並べるファンの姿勢に苦言を呈す声も出た。長く続いていくプロ野球の歴史で、2026年のセ・リーグ王者には「阪神タイガース」の名が刻まれる。これが2リーグ制以降、球団初の連覇であり、そのチームを率いたのは藤川監督であることは厳然たる事実だ。

 ただ、3位のDeNAに7.5ゲーム差をつけて優勝した虎も、CSファイナルで4日間、完敗し続けた虎も、どちらも本物の阪神ではある。最悪の波の時にたまたま負けたというのならば、そうならないような調整法を見つけるしかない。

 そして、近未来に見えてきそうな恐怖の現実。3冠王がもし抜けたらの「もし」の面影が、CSファイナルで主軸が欠けたときに見えてしまったことだ。この4年で3度もリーグ優勝する猛虎に沸く阪神ファン。盛者必衰…そんな言葉が杞憂になることを全世界の阪神ファンは望んでいる。

(楊枝秀基 / HideKi Youji)

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