西武・與座海人が抱く危機感「契約があるかもわからない」 目の当たりにしたチームの“進化”…宮崎で誓う登板ゼロからの逆襲

宮崎で取材に応じた西武・與座海人【写真:湯浅大】宮崎で取材に応じた西武・與座海人【写真:湯浅大】

夏に腰の手術…フェニックス・リーグで実戦復帰

 西武の與座海人投手が19日に宮崎・南郷スタジアムで行われた「フェニックス・リーグ」の広島戦に先発し、2回2安打無失点の投球を披露した。実績のあるアンダースローではあるが、今季は右肩痛や腰の手術の影響で1軍登板機会なしに終わっており、危機感も抱きながら若手とともに汗を流している。

 チームが日本ハムとのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージに敗れたあと、17日からのクールで宮崎入り。「まだ100ではないですけど。9割ぐらいかな。8、9割って感じですね」。現在の状態を語った。

 入団5年目の2022年に初の2桁勝利(10勝7敗)に到達。それ以降、2024年は7登板に終わったが、先発ローテの一角として投手陣を支えていた。しかし今季は右肩痛の影響で開幕2軍へ。5、6月にファームで5試合に投げたが、8月に自身のSNSで「腰椎椎間板ヘルニア」の手術を受けていたことを明かし、今季は1軍のマウンドに立つことはなかった。

 現在はすでにライブBPなど実戦形式の登板をこなし、宮崎での広島戦で実戦復帰を果たすなど着実に前進している。「あとは感覚を呼び起こす段階」と説明した。

 若手中心のメンバーとともに日々を送っている31歳は、並々ならぬ決意と想像を超えるような危機感も抱き宮崎に乗り込んでいた。

繰り返した“謝罪”の言葉

「僕としては今年は本当にチームに迷惑をかけてしまったので、どうにかそれを取り返せるようにやっているって感じですね。あとは、ほんと契約があるかどうかもわからないので、そこはもう、しっかりフェニックス・リーグでアピールしてって感じです」

 年度ごとにやや“ムラ”のある成績であることは否めないが、実績もあり、球界でも希少なサブマリンは、コンディションさえ戻れば十分に戦力となるはずだ。それでも與座自身は野球人生の“瀬戸際”にいるかのような思いを持っていたのだ。

球界でも希少なサブマリン【写真:小池義弘】球界でも希少なサブマリン【写真:小池義弘】

「やっぱ本当にもうチームに申し訳ないという、ただそれだけ」。繰り返した“謝罪”。「なんて言うのかな、まあ僕としてはより良くなるために取り組んだことが、あんまりうまくいかなかった」と振り返る。

 それでも離脱中には発見することも多かったという。「技術面で進化というのは、今年はあまりできなかったんですけど、それ以外での考え方や知識、体の仕組みとか、他のことで人よりレベルアップはできたのかなと思います」。力強くうなずいた。

 考え方の部分では物事をポジティブに捉えられるようになった。「この厳しい世界にいると、どんどん上には上がいるって見えてしまうんですけど、もう、そこで自分の価値を下げてしまう。そういう人はたくさんいるけど、そうじゃないんだよと。自分が目指しているゴールを、しっかりそこだけを見ていけば、周りに流されず、マインド的な部分で、いい方向に向かっていける」。収穫とともにこの秋の“実り”をより濃いものにしようとしている。

再認識した応援団の凄さ「背中を押される感じはありました」

 離脱中、1軍の試合は「ほぼほぼ毎日見ていました」。時にはベルーナドームにも足を運び、戦う仲間の姿を目に焼き付けていた。
 
「外から見るチームメートの頑張りが、自分の活力にもなっていましたし、勇気をもらったなって。特にね、野手の方々は、去年から変わっている部分がはっきり見えた。プロの人たちでも、この1年でガラッと変われるんだっていうのがすごい、僕にとっては勇気になりました」

 安定した投手力に比べ、打線の弱さが近年の大きな課題だった。しかし、今季は従来のメンバーに加え、若手の成長、助っ人の活躍などにより改善。チーム打率.244、503得点、481打点はいずれもリーグ3位だった。84犠打はリーグトップと、爆発力こそソフトバンクや日本ハムには及ばなかったが、効率のよい繋ぐ打線が4年ぶりAクラス入りの原動力になった。

 現地観戦した際には、今や12球団最強とも言われる左翼席の応援団の凄さも再認識した。「より、背中を押される感じはありました」。1軍復帰への思いはさらに強くなった。

来季は逆襲を誓う【写真:小池義弘】来季は逆襲を誓う【写真:小池義弘】

「まずは日本のアンダースローのなかで…」

 語っていた「目指しているゴール」について問うと、1軍復帰、ローテで活躍は「あくまで過程で、ゴールに向かうためには、必然的に通る道にはなってきます。なので自分で設定したゴールに向かって、ただ黙々とやるだけです」と返ってきた。“本当のゴール”は「もっともっと大きいところ」と笑った。

 思わず深掘りすると「あんまり言いたくないんですけど……」と少し照れくさそうにしながら、こう続けた。

「シンプルに、人数は少ないですけど、まずは日本のアンダースローの中で一番になるっていうのが今のゴールですね。はい」

 強い気持ちがあるから言い切れる。サブマリンの“逆襲”はすでに始まっている。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

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