CSで巨人、阪神を撃破「6連勝とはいえ苦しい戦いだったと思います」
横浜DeNAベイスターズは、レギュラーシーズン3位から「2026 JERA クライマックスシリーズ(CS) セ」を駆け上がり、2年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。巨人と阪神を相手に無傷の6連勝。相川亮二監督が決断の裏側を明かす連載「ヨコハマ・アイ」の第6回は、CSでの“勝負のあや”を紐解く。また5月の電撃トレードでチームを離れ、現在はソフトバンクの正捕手を務める山本祐大捕手への思いも明かした。
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ファーストステージで巨人に2連勝、ファイナルステージでは阪神に4連勝。相川監督は「6連勝とはいえ、苦しい戦いだったと思います。(試合数を)やればやるほど選手のコンディションは苦しくなる中で、6連勝できたことは少し、そこだけはプラスなんじゃないかと。何より選手たちが一番頑張った結果です」と頼もしく戦った選手たちに目を細めた。
ファーストステージ開幕前日に行われた会見。巨人の橋上秀樹監督代行、阪神の藤川球児監督がともに「勢い」という言葉を使ってDeNAを警戒した。これに即座に「“勢い”と言われますが、(後半の)3か月をしっかり戦ってきたという自信がある」と応じた。改めて、その意図を説明する。
「そもそも運の要素ってすごく大きいですし、野球におけるそういう要素は間違いなくあることだと思います。でも、ただただ勢いなのかと言われたら僕はそうは思わないし、後半の3か月で間違いなく選手たちが力をつけて勝ち切ってくれたのは『3か月、勢いだけだったのか?』という思いがあったので。評論家の皆さんも『勢いに乗れば』とおっしゃっているのをよく目にしていて『やっぱりそういう印象なんだな』というのは僕も感じていて、本当にそうなのかと。周りにもですけど、チーム全体に『俺たちは勢いだけじゃない』ということが言いたかったので」
6試合を勝ち切り、そこは証明できたのか――。「それはわからないですね。やっぱりレギュラーシーズンとはまた違うと思うので。短期決戦を勝っていく上ではそういう勢いは必要なことだとは思いますけど、みんなに『それだけじゃない』というのを伝えたかったということです」と冷静に現状を分析した。
「ビハインドで好調の佐野を代えるというのはなかなかの勝負でした」
アドバンテージを含めた対戦成績3勝1敗で迎えた17日の阪神との第4戦。3-3の7回に森下翔太内野手にソロを浴び、CS6試合目で初めてリードを許す展開になった。それでも4-5の9回2死二、三塁から三森大貴内野手が中前へ2点適時打を放って逆転に成功。聖地に響く“あと1球”コールからの劇的な勝利を呼び込んだ。指揮官が「勝ち切ったポイント」に挙げたのは、前日16日の第3戦から繋がっていた。
主に代走など“スーパーサブ”を担う三森は、ファーストステージでは出番なし。16日のファイナルステージ第3戦に「6番・中堅」で初出場していた。中堅で起用されていた蝦名達夫外野手はこの時点で打率.167と調子が上がらず、才木浩人投手相手に巡ってきたチャンスで4打数2安打と結果を残した。
そして翌17日は3-5の8回、宮崎敏郎内野手が右前適時打を放って1点差に迫り、なおも無死一、二塁の場面で二塁走者・佐野恵太外野手の代走として出場。先述した9回がこの日の初打席だった。相川監督が回顧する。
「最後に勝ち切ったポイントとしては、僕は三森を3戦目に先発にできたところなのかなと。三森が例えば先発していなかったとき、あそこの場面でどうだったか。前日4打席立って2本ヒットを打っているのも当然関わっていると思います。佐野に代走を出したところも、シーズンと変わりないと言えば、ないんですけど、8回ビハインドで好調の佐野を代えるというのはなかなかの勝負ではありました。そこが“勝負のあや”。それで彼(三森)に回ってきて打つのは、偶然の積み重ねもあるんですけど、その準備はシーズンからやってきたこととほとんど変わりないと思うので、強く感じたのはそういうところです」
さらに「片山もそうですし、捕手を3人併用しながらというところもですね」とも。第4戦に先発したドラフト4位ルーキーの片山皓心投手は、起用を迷いながら投手コーチの後押しで抜擢を決めた。全6試合で戸柱恭孝、古市尊、松尾汐恩を2試合ずつスタメンマスクで起用。「ディフェンスの大きな強み。彼らが自分たちの力を発揮してくれた結果」と称えた。
試合後に自ら切り出し采配ミスを反省「いち早く発信できたらと」
第3戦では初回に佐野にバントのサインを出すも失敗。2回にはスタートを切った三森が二塁でアウトになる場面があり、試合後には報道陣の前で自ら「普段やらないことを僕がやらせてしまって。いい結果にならなかったというのは、采配を反省しないといけない。僕が采配ミスをしてしまった」と切り出し、反省の言葉を述べていた。
“あえて”発した意図については「ミーティングもあるのでみんなの前で話すことはできますけど、いち早く何かを発信できたらいいなと思ったところです。失敗は失敗なので、そこで流れが変わることは当然ある中で、選手たちが力を発揮して勝ち切ってくれた。失敗したこともエネルギーにして戦ってくれたということです。自分としては反省点でしたから」。選手への思いが溢れての行動だった。
勝敗が決すると、一目散に藤川監督のもとに向かった。握手をして、交わした言葉に、次なる戦いへの決意を込めた。
「『1年間ありがとうございました』というお礼と、僕らが勝たせてもらったので『もう少し頑張ってきます』という話をさせてもらいました。すごく大きなプレッシャーを抱えながらやっているのはどの監督も一緒だと思いますし、自分たちが勝ったとはいえ、一緒にプロ野球を盛り上げるためにやってきた監督とチームではあるので、そういうものも僕自身はやるべきことだと学んできたので」
忘れぬ2024年パレードの景色「またそれを見せたいし、そのために」
24日からは、貯金42と圧倒的な強さを誇るソフトバンクと相対する。「勝つことは当然考えますけど、一番はいいゲームをしたい。ホークスさんも最高のプレーをしてもらって、それをベイスターズが上回れるか、それ以上のプレーができるか。負けに関しては自分が責任を負うべきことなので、選手たちはとにかく最高のプレーをして、相手にも最高のプレーをしてもらって、そういう日本シリーズにしたいなと思います」と頂上決戦を見据えた。
“扇の要”を担う山本とは、担当コーチ時代から長い時間をともに過ごした。シーズン途中に他球団に移籍して、正捕手に君臨する難しさもわかっている。最高の舞台での“再会”となるが「個人的なことになってしまうので」と言及することを控えた。
2024年、日本シリーズ制覇を祝して行われたパレードの景色は、今も胸に刻まれている。
「ベイスターズのために、横浜の街にベイスターズファンがあそこまで集まってくれて、大きな声援を送ってくださる姿をバスに乗りながら見たときのことは忘れません。日本一になって、自分たちもそうですけどファンの皆さんがあれだけ喜んでくれるんだということを感じられた瞬間でした。またそれを見せたいし、そのために戦えると思います」
あと4勝に挑む、2026年最後の戦い。再びあの歓声を浴びるためにも、王者相手に全力でぶつかっていく。
(町田利衣 / Rie Machida)