会見の声かき消された「うおーっ!」 部員たち叫び…“油断中”の指名「ドッキリかと」

ヤクルトから3位指名を受けた明大・福原聖矢(左)【写真:宮脇広久】
ヤクルトから3位指名を受けた明大・福原聖矢(左)【写真:宮脇広久】

“想定外”の3位指名に「ドッキリかと思いました」

 22日に行われた「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で、ヤクルトから3位指名を受けた明大の主将・福原聖矢捕手。167センチの小柄で、入団後はNPB最低身長の捕手となる見込みだが、秘められた身体能力は尋常ではない。史上最長の17年連続でドラフト指名選手を輩出している明大の戸塚俊美監督が、1学年先輩で昨年西武から1位指名された小島大河捕手と比べ「引けを取らない」と太鼓判を押した。

 都内の明大リバティタワー内に設置された記者会見場。阪神から1位指名された榊原七斗外野手と楽天2位指名の岡田啓吾内野手が並んで会見している最中のことだった。

 部員らがテレビ中継を見守る隣室から「うおーっ!」と歓声が上がり、榊原の言葉がかき消された。壇上の2人が顔を見合わせ、「誰?」とささやき合う。主将の福原がヤクルトから指名を受けた瞬間だった。

「よくて4位か、それ以降だと思っていました。序盤の指名はないと思っていたので、気を抜いていました。ドッキリかと思いました」。福原はこう振り返り、満面の笑みを浮かべた。

 一躍脚光を浴びたのは、3年生だった昨年の春季リーグだった。絶対的な正捕手だった小島が肋骨骨折の影響で一塁に回り、福原がスタメンマスクを任されると、強肩とシュアな打撃で猛アピール。ワンバウンドの投球を体で止めた後、無理な体勢から矢のような送球を放ち、走者を刺す姿には周囲が目を見張った。戸塚監督も「小島と遜色ないどころか、小島以上のところもあって、これは凄いやと思いました」と目を丸くしたほどだ。

 福原自身も「あのシーズンを境に、社会人のチームから声をかけていただけるようになり、明治の指導者からは『プロも狙えるぞ』という言葉をいただいて、行けるなら行きたいと意識するようになりました」と振り返る。

明大・福原聖矢【写真:加治屋友輝】
明大・福原聖矢【写真:加治屋友輝】

今季のNPB支配下捕手で最低身長は森友哉、甲斐拓也らの170センチ

 小島が卒業して西武に入団し、4年生になった今年は主将に選出された。開催中の東京六大学野球秋季リーグでは、守備の要としてチームを牽引しながら、打撃でも10試合で打率.314、9打点をマークしている。

 とはいえ、167センチの低身長から、ともすると過小評価されがちではある。今年のNPBで最も身長の低い捕手は、168センチのオリックス育成・村上喬一朗捕手だったが、今月5日に戦力外通告を受けて来季は未定。支配下では170センチの西武・森友哉捕手、巨人・甲斐拓也捕手、ソフトバンク・藤田悠太郎捕手の3人が最も小柄な捕手だった。今年のドラフトで指名された捕手の中にも、福原以外に170センチ未満の選手は見当たらず、福原が来季NPBで最低身長の捕手となる見込みだ。

 福原は「俊敏性が自分の持ち味です。そういうところを磨きつつ、体の大きい選手に負けない体力をつけていきたいと思います」と唇を真一文字に結ぶ。

 戸塚監督は「何事も素早い動きができる選手で、プロのスピードにも十分対応できると思います。全く心配はしていません」とうなずき、プロ1年目から活躍した小島と比べても「投手とのコミュニケーション、視野の広さでは福原の方が上だと思います」と評した。

 人一倍、頭を使って野球をやってきた自負がある。「相手の守備体形を見てセーフティバントをしたり、走者の時に相手のバッテリーを警戒させる動きをしたり……昔、巨人でプレーされていた元木大介さん(現ジャイアンツアカデミー校長)のような選手になっていけたらと思います」と将来像を描く。

 元木氏は現役時代、頭脳的なプレーで「クセ者」の異名を取った。2004年生まれの福原は、2005年限りで現役引退している元木氏のプレーをリアルタイムでは見ていないが、「動画の珍プレー集などで、隠し球のシーンなどを見てきました。そういうずる賢さも必要だと思っています」と語る。

 NPB最低身長の捕手は、非常にユニークな“クセ者”として成長していくことになりそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

RECOMMEND

CATEGORY