ドラ1入団→野手転向→育成降格 阪神“元右腕”の切なる胸中「本当にきつかった」

阪神・西純矢【写真:喜岡桜】
阪神・西純矢【写真:喜岡桜】

西純矢は今季から7年目の今季、野手へ転向した

 阪神・西純矢外野手は岡山・創志学園高時代に世代屈指の好投手と評され、2019年ドラフト1位で入団した。2年目の5月にはヤクルトとのデビュー戦で5回無安打で勝利投手となるなど、成長株として経験を積み始めていたが、2024年に右肘を怪我して手術を受けた。

 2025年オフに野手への転向を決意。プロ7年目となった今季は育成選手として契約を結び、内・外野に挑戦しながらファームで61試合に出場。「本当にきつかった」と語る25歳の再スタートを、元阪神タイガースWomenの田中亜里沙さんが直撃した。(全2回の前編)【聞き手・田中亜里沙、構成・喜岡桜】

――改めて野手に転向した胸中をお聞かせいただいてもよろしいですか。
「球団から『野手で』という話をいただいたので、自分でもしっかりと考えましたし、いろんな人にも相談をして、最終的に転向することを決めました」

――私も野球をしていて、フォームを少し変えるだけでも勇気のいることでした。西選手は不安はありませんでしたか?
「僕の場合はピッチャーから野手への転向なのでポジションが全然違いますし、特に最初は『違うスポーツをやっている』と感じるくらいの大きな変化でした。ほぼ毎日、練習がとにかく長くなりました。守備やバッティングなど全部をやらないといけない。去年のちょうど今頃、基礎練習からスタートしましたが、始めは体力的に本当にきつかったです」

――そうだったんですね。でも投手をした西選手だからこそ、誰よりも投手の心理が分かる打者になれて、それが強みにもなるんじゃないかと思っているのですが……。
「いや、まだ自分はそう思えるほどの選手ではないんです。今シーズンは結果を残せなかったですし、自分のやることにいっぱい、いっぱいで。1年を終えてみて、元ピッチャーという経験を生かせるほどの余裕を持てなかったなって思います」(打率.228、本塁打なし、10打点、出塁率.270)

元阪神タイガースWomen田中亜里沙さん【写真:喜岡桜】
元阪神タイガースWomen田中亜里沙さん【写真:喜岡桜】

走塁は出塁しないと「実戦練習が積めない」

――どこが難しいと感じていますか?
「1番成長を感じにくいのがバッティングです。それと難しいのが走塁でしたね。どれだけ走る練習をしても結局のところ、試合になれば打球などの状況に応じた判断をしないといけなくて。試合で塁に出られないと実戦練習が積めないので、レベルを高めるという点では走塁が難しかったかな」

――高校時代はエースで、打っては高校通算本塁打数28本をマーク。投打で活躍する二刀流のイメージがありましたが、プロの壁は高いなと感じることもありましたか?
「そうですね。ドラフト会議のあとの指名挨拶で(当時監督だった)矢野燿大さんに『ピッチャーとして期待をしている』と言っていただいて、僕もそのつもりで入団したので、野手をやりたいとは思っていなかったんです。(打者での)プロの壁というと、ボールが速くて、1試合のうちに先発、中継ぎとボールの質も異なるので、今の僕には、そこらへんに対応する余裕がないんですよね。慣れかなとは思うんですけど……」

――プロで投手から野手転向をした成功例としては糸井嘉男さん(元阪神など)が有名ですよね。西選手は目標にしている人はいますか?
「その辺がやっぱりまだ手探りなんです。糸井さんは左打ち、自分は右打ちで違うということもありますし、糸井さんは足が速かったんですけど僕は速くない。自分は、プロではそんなにホームランが打てるタイプだとも思ってもいないですし。だから目標を聞かれても、今はまだ答えるのが正直難しいです」

◇◇◇◇◇

 高校時代からバッティングにも定評があった西だが、野手に転向し、改めてプロのレベルの高さを痛感。無我夢中で駆け抜けた2026年シーズンだった。

(喜岡桜 / Sakura Kioka)

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